次世代GPUとして注目を集めるNvidiaのRTX 5090が、発売前から転売業者による異常な価格上昇に見舞われている。最大7,000ドルという価格は、メーカー希望小売価格(MSRP)の2倍から3倍に相当し、市場の供給不足が背景にある。

イギリスや北米では販売店の初期在庫が極端に少ないことが報じられており、これを悪用した転売業者がeBayなどで高額の事前予約枠を提供している状況だ。この転売市場では保証の欠如が指摘されており、消費者リスクも高まっている。

さらに、32GBのフレームバッファを搭載したRTX 5090はAI用途でも需要が高く、状況を一層複雑にしている。一方で、AMDの代替GPUや中古市場の利用、価格正常化を待つといった冷静な選択肢も専門家から提案されている。市場の希少性と高額転売の波にどう対応するか、今後の動向が注目される。

RTX 5090が示す転売市場の現状と課題

RTX 5090の転売市場が過熱している背景には、供給不足に加え、需要の偏りが挙げられる。Tom’s Hardwareによると、英国のOCUKがRTX 5090の在庫を10枚以下しか確保していないと報じられ、これは他地域でも似た傾向があると見られる。

この状況を狙った転売業者が、eBayなどで最大7,000ドルもの価格を付け、メーカー希望小売価格(MSRP)の2倍から3倍の水準で販売している。転売業者はAI技術の普及や高性能なゲーミング市場の成長を背景に需要が拡大するRTX 5090の希少性を利用し、利益を追求している。

しかし、こうした市場動向は本来の消費者に対して不利益を与えるだけでなく、市場の公平性を損なう要因ともなっている。企業や消費者が転売に過度に依存しないためには、公式の販売チャネルの整備や供給計画の透明性向上が必要であると考えられる。

転売価格高騰の裏にあるAI市場の影響

RTX 5090は、ゲーム用途だけでなくAI市場でも注目を集めている。32GBのフレームバッファを備えるこのGPUは、大規模なデータ処理やAIモデルのトレーニングに適しており、AI開発者や研究者からの需要が急増している。

AI市場における需要の増加が、ゲーム市場と競合する形で製品の供給不足をさらに悪化させているのは明らかだ。特に、近年の生成AI技術の発展は、GPUの需要構造を大きく変えた要因である。かつてゲーミング専用と見られていたGPUが、今ではAI市場の基盤技術として位置づけられている。

この変化は新たな市場を生み出す一方で、ゲームユーザーの手に渡るはずの製品が高額な転売市場で取引される状況を生んでいる。企業側がAI用途向けの専用製品を拡充するなどの対策を講じることで、需給バランスの改善が期待される。

AMD製品や中古市場が示す冷静な選択肢

RTX 5090の供給不足が続く中、専門家は他の選択肢にも目を向けるべきだと指摘している。例えば、AMDのRDNA 4 GPUは性能面で競争力があり、供給が安定する可能性が高いとされる。また、中古市場も一定のニーズを満たす手段となり得る。

こうした代替案を積極的に活用することは、転売業者に利益を与えないための有効な手段といえる。特に、AMDの新製品が3月後半に登場するとの情報は注目に値する。これにより、GPU市場全体の供給が改善され、価格の正常化が進む可能性がある。

消費者は最新技術を追い求める一方で、自らの使用目的や予算に見合った製品を冷静に選択する必要がある。市場の一時的な混乱に惑わされず、長期的な視点での判断が求められる局面である。

Source:Tom’s Hardware