現在、世界最大の時価総額を誇る半導体大手Nvidiaが、AI需要の急増を背景に市場を席巻している。しかし、2025年にはその勢力図が変わる可能性がある。予測によれば、クラウドコンピューティング分野で圧倒的な存在感を示すAmazonが、利益率の拡大とAIブームを追い風に世界最大の企業へと台頭する可能性が高い。

Amazonは、北米eコマース事業やクラウドサービス部門Amazon Web Services(AWS)の収益成長を武器に、営業利益率を過去最高水準にまで引き上げつつある。特に、AI関連需要の高まりがAWSの売上拡大を後押ししており、2025年には収益成長がさらに加速する見通しだ。これにより、Amazonは収益規模と利益率の両面で他の巨大テクノロジー企業を凌駕するポテンシャルを備えている。

Amazonが利益率拡大に向けた転換期を迎える背景

Amazonは、これまで成長戦略の一環として大規模な投資を続けてきたが、近年その姿勢に変化が見られる。同社の営業利益率は過去12か月間で9.8%と、過去最高を記録した。この数字は、特に営業利益率35%を誇るクラウド事業のAmazon Web Services(AWS)が牽引している。AWSは売上の20%未満を占めるが、同事業の高い収益性が全体の利益拡大を支えている。

一方で、北米eコマース事業がAmazonの収益構造を大きく変えつつある。この事業は、第三者eコマース手数料やサブスクリプション収入、広告収入など高利益率の収益源を活用し、営業利益率5.9%を記録した。この領域にはさらなる成長の余地があるとされ、特に研究プロジェクトへの支出抑制が利益率向上の鍵となる。これらの要因が重なり、Amazonは利益率を15%から20%に引き上げる可能性を秘めている。

しかし、利益率の成長を実現するためには、Alexaのような非収益性の高いプロジェクトへの投資効率化が求められる。これに成功すれば、Amazonは他のハイテク企業に比べて高い成長性を示す企業として評価されるだろう。

AIブームがAWSを支える持続的成長エンジン

AI関連の需要が急拡大する中で、AmazonのAWSは大きな恩恵を受けている。同事業の売上成長率は昨年同期の12%から19%へと回復し、2025年にはさらに30%まで成長する可能性がある。この背景には、企業や政府がAI技術の導入に積極的に投資していることがある。たとえば、ソフトバンクが発表した1,000億ドル規模のAI投資は、市場全体におけるAIインフラ需要を象徴する動きである。

AWSは、こうした需要の増加を直接的に取り込むポジションにある。同事業はAIツールや計算能力を提供する基盤として、ますます重要性を高めている。特に、大規模な資本支出の増加がAWSの収益を押し上げる見通しである。クラウドインフラへの投資が進む中で、AWSは高い競争力を維持するだけでなく、新たな顧客層を獲得する機会をも広げている。

ただし、この成長が確実に続くには、競合他社との技術競争において優位性を保つことが求められる。AWSが引き続き市場をリードするならば、Amazon全体の収益成長もさらに加速するだろう。

Amazonが世界最大の企業となるシナリオ

Amazonが2025年に時価総額で世界最大の企業となる可能性は、数学的な計算と市場の動向から支持されている。同社の直近12か月間の収益は6,200億ドルで、前年比11%の成長を達成した。この成長率が15%まで加速すれば、年間収益は7,130億ドルに達する。この規模は、eコマース、小売、クラウドといった市場を横断的に支配するAmazonの多角的な事業モデルの強さを示している。

さらに、利益率を20%まで引き上げることで、営業利益は1,426億ドルに達する計算となる。この数値は、NvidiaやAppleなどの競合他社を上回るものであり、同社が市場において最大の価値を提供する企業であることを示す可能性がある。特に、AWSがクラウド事業で利益の大半を生み出す中、eコマース事業が収益基盤の安定性を担保する。

ただし、この成長には研究開発や投資戦略の効率化が欠かせない。出典元であるThe Motley Foolが指摘するように、投資効率を高めることでAmazonは成長軌道を維持できる。これらの条件が揃うならば、Amazonは2025年に市場をリードする企業として新たな地位を築くだろう。

Source:The Motley Fool