ビットコイン(BTC)は先週、10万9000ドル超の史上最高値を記録したが、現在は10万5000ドルを下回っている。それにもかかわらず、保有者の利益率データは市場の強気構造を示しており、大規模な弱気の兆候は見られない。長期保有者の利益率は70%に達し、短期保有者や新規投資家も引き続き利益を上げている。
市場全体での売り圧力は、長期保有者が利益確定のためにビットコインを売却している中、短期保有者と新規投資家がその影響を吸収する形で抑制されている。この安定した構造は、トランプ大統領の就任による暗号資産市場の好材料や政策的な追い風によって支えられていると推測される。
ビットコインは執筆時点で10万4737ドルで取引されており、30日間で8.71%の上昇を記録。これらの要因を考慮すると、現在のビットコイン市場が持続的な強気基調を維持する可能性が高いと見られる。
ビットコイン保有者の層別利益率が示す市場の安定性
CryptoQuantが提供するデータによれば、ビットコイン保有者の利益率は保有期間に応じて明確に分かれており、それぞれ異なる市場動向を反映している。長期保有者は70%という高い利益率を維持しており、この層が引き続き利益を確定する動きが市場全体に影響を及ぼしている。
一方、短期保有者や新規投資家も利益を確保しており、特に短期保有者は14.5%の利益率で、迅速な市場の動きを捉えていることが分かる。このような利益率の分散が、市場の安定性を支える重要な要因となっている。
CryptoQuantのアナリストであるCrazzyblockk氏は、これらの層が現在市場に与えている影響について詳細な洞察を示している。特に、新規投資家がわずか4.7%の利益を上げている点は、リスク回避の姿勢が強まる一方で、過度な売り圧力を抑える役割を果たしていると指摘できる。この利益率データは、市場が急激な下落に見舞われる可能性を低くしており、長期的な強気相場を支持する材料と言えるだろう。
トランプ政権の政策が暗号市場に与える影響
ドナルド・トランプ大統領の就任が、ビットコイン市場に新たな期待をもたらしている。トランプ政権は暗号通貨分野を推進する姿勢を示しており、その象徴的な動きとして、SECによる「SAB 121」の撤廃や国家的なデジタル資産備蓄の設立を検討する行政命令が挙げられる。これらの政策は、市場に対する規制緩和や信頼性の向上を目的としており、暗号資産の価値をさらに引き上げる可能性を秘めている。
政策的支援は、市場参加者の心理に重要な影響を与える要因である。現在のビットコイン価格が市場全体の強気基調を反映しているのは、単にトランプ氏の就任効果だけでなく、このような政策的な後押しが背景にあると考えられる。ただし、規制の進展が必ずしも一貫性を持つとは限らず、今後の動向次第では市場の反応が大きく変わる可能性も否定できない。したがって、トランプ政権下の政策が中長期的に市場へどのような影響を与えるかを注視する必要がある。
長期保有者の動向が示唆する未来の課題
著名な暗号アナリストであるアリ・マルティネス氏の報告によれば、長期保有者が過去1週間で7万5000BTCを売却している。この大規模な売却行為は利益確定を目的とした動きであり、市場に一定の売り圧力を与えていることは否定できない。しかし、この売却分は短期保有者や新規投資家によって吸収されており、市場全体の価格への直接的な悪影響は限定的である。
一方で、短期保有者や新規投資家が損失を出し始めた場合、市場が強い弱気相場に転じるリスクも孕んでいる。特に、これらの層が市場全体の安定を支える重要な役割を担っていることを考えると、利益率の推移が今後の価格動向を占う鍵となる。市場参加者は、このような動向を注視しつつ、柔軟な戦略を構築する必要があるだろう。長期保有者の行動が示す市場の現実は、投資家にとって将来の課題と新たな機会を同時に提供していると言える。
Source: Bitcoinist