2024年第4四半期の決算発表を控えたテスラは、昨年の株価62.5%上昇という驚異的な実績に反し、年初の勢いが失速している。179万台の車両納入という結果は、ウォール街予測を下回り、テスラ初の年間減少を記録した。一方で、同社のフルセルフドライビング技術やロボタクシー事業といった未来志向のプロジェクトは、投資家に依然として強い期待を抱かせている。

第4四半期の決算では、収益成長を支える要因とリスクが交錯する。コスト効率の高さやエネルギー事業の成長が利益率を支える一方、販売価格低下と納入台数の不足が重荷となる可能性がある。こうした短期的な課題に対し、テスラの将来を占う決算内容が、株価の行方を大きく左右すると見られる。

第4四半期決算が示すテスラの課題と可能性

テスラは2024年第4四半期において納入台数の予測未達という課題に直面した。495,570台という実績は、目標である504,770台を下回り、年間でも179万台と初の納入台数減少を記録した。この結果、同社の短期的な業績に対する市場の不安が強まる一方で、エネルギー事業やAIを基盤とする新規プロジェクトが注目されている。特にエネルギー部門では、メガパックの出荷量減少にもかかわらず、30.5%の粗利益率という記録的な成績を達成した。

これらの事実は、テスラが単なる電気自動車メーカーではなく、多岐にわたる分野で成長を続けている企業であることを示している。一方で、納入台数や販売価格の低下は、同社が成熟企業として直面する現実である。こうした状況から、短期的な評価だけでなく、長期的な視点で同社のポテンシャルを捉える必要があると考えられる。

AIとロボタクシー事業が描く未来のモビリティ

テスラはフルセルフドライビング(FSD)技術やロボタクシー市場への参入を通じて、次世代モビリティの実現を目指している。これらの取り組みは、同社の未来に対する投資家の期待を一段と高めているが、現時点では具体的な収益にはつながっていない。特にアメリカ政府による規制緩和が、同社の自動運転技術に追い風となる可能性が議論されている。

これらの分野は短期的な収益性よりも、長期的な競争優位性を形成する要因として捉えられるべきである。ただし、競争が激化する市場環境において、テスラがそのポジションを維持し続けるには、技術開発のスピードやコスト競争力が重要である。市場のリーダーであることは容易ではないが、テスラの取り組みは未来のモビリティ市場で大きな影響を及ぼす可能性がある。

株価と業績の乖離が示す投資家心理

2025年初頭のテスラ株は、基礎的な業績指標とは大きく乖離した水準で取引されている。2025年の予想利益1株あたり2.82ドルに基づくPERは144倍を超え、短期的な株価上昇余地は限られていると専門家は指摘している。Barchartのレポートによれば、テスラ株の評価は自動運転やAI、エネルギー貯蔵といった未来技術に対する期待感に大きく依存している。

このような市場の熱狂は、同社の業績が期待を裏切った際に調整を余儀なくされる可能性がある。しかし、投資家心理は、テスラがもたらす未来のビジョンに引き続き強く影響されている。特にロボタクシー事業の成功やエネルギー事業の成長が現実のものとなれば、株価の基礎となる評価も変化する可能性があるだろう。

Source: Barchart