アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)は、人工知能(AI)分野のブームを十分に活用できていない中、ここ数日で株価が4.66%下落し、年初来の損失が3.05%に達した。一方、中国が大規模言語モデル「DeepSeek」をリリースしたことで、半導体株全般に影響が及んだが、ウォール街では依然として強気の見解が多い。

ウェドブッシュのアナリスト、マット・ブライソン氏は、AMDの目標株価を200ドルから150ドルに引き下げたものの、28%超の上昇余地を示唆しつつ、「アウトパフォーム」評価を維持した。AI GPUの売上見通しは下方修正されたが、サーバー事業の成長が一部を補うと分析されている。2月4日の決算発表を控え、中国市場参入の影響やAMDの次の一手が焦点となる。

AMD株価下落の背景にある中国「DeepSeek」リリースの影響

1月27日にリリースされた中国の大規模言語モデル「DeepSeek」は、AI技術が国家戦略として注目される中国市場における新たな進展を象徴している。このリリースは、半導体業界に大きな波紋を呼び起こし、AMDをはじめとする関連株価の変動に影響を及ぼした。特に、エヌビディア(NVIDIA)と比較してAI分野での立ち位置が相対的に不利とされるAMDにとって、今回の動きは株価下落の要因の一つと見られる。

この状況において、中国が独自のAIモデルで市場に参入することで、既存のプレーヤーにどのような競争圧力がかかるかは未だ不明である。ただ、AI市場の成長性を考えれば、AMDがGPUやサーバー事業で存在感を示し続けることは必須である。ウェドブッシュのマット・ブライソン氏の分析によれば、これらの競争要因が現在の市場期待に織り込まれている一方、AMDの事業多角化が株価の安定材料となる可能性が指摘されている。

ウォール街の見解と目標株価に見るAMDの将来性

ウェドブッシュの最新報告によると、AMDの目標株価は200ドルから150ドルに引き下げられたが、依然として現在の株価から28%超の上昇余地が見込まれている。この背景には、AIグラフィックス処理ユニット(GPU)に対する売上見通しの低下があるものの、サーバー事業の成長が一定の補完役を果たすという評価が含まれている。同様に、シティによる目標株価の引き下げ(175ドル)も、市場期待の調整を反映しつつも楽観的な見方を崩していない。

興味深い点は、ウォール街全体の平均目標株価が173.28ドルであることだ。この数値は、現在の株価水準を大きく上回っており、投資家心理に一定の期待感を抱かせる。また、HSBCが設定した最低目標株価110ドルでさえ、AMDの事業基盤が大きく崩れることは想定していないようだ。これは、AI市場が短期的なボラティリティを抱える一方で、長期的な成長余地が強く支持されていることを意味している。

AMDの決算発表が投資家心理に与える影響

2月4日に予定されているAMDの決算発表は、投資家にとって今後の展望を判断する重要な機会となる。AI分野での市場シェア獲得に遅れを取っていると指摘されるAMDだが、サーバー事業の成長や多角化戦略がどの程度実現されているかが焦点となるだろう。

中国のAI市場参入が持つ未知数の影響に加え、米国と中国の技術競争がAMDに及ぼす影響も注目点である。このような不確実性が高い中、AMDが次の一手としてどのような計画を提示するかが、投資家心理に大きく影響するだろう。ウェドブッシュやシティといったウォール街の分析は、慎重な楽観主義を反映しており、これが実際の業績とどのように一致するかが決算発表後の市場反応に直結する。

Source: Finbold