アルファベット(NASDAQ: GOOGL)の株価見通しに明るい兆しが浮上している。Needhamのアナリスト、ローラ・マーティン氏は目標株価を210ドルから225ドルに引き上げ、クラウド事業の成長がその主要な理由であると分析した。現行株価196.07ドルから14.75%の上昇余地が期待され、収益予測も前年比12%増の964億ドルと見積もられた。この楽観的な予測は、2025年においても継続的な「買い」評価の多さを裏付けている。

一方で、中国の新AIモデル「DeepSeek」のリリースがシリコンバレー全体に波紋を広げ、Google株も短期的な下落に見舞われたが、その影響は他のテック企業に比べて軽微である。市場混乱の中で注目すべきは、Googleのコアビジネスの市場支配力とクラウド事業の優位性であり、長期的な成長が見込まれている点である。

アルファベットのクラウド事業が目標株価を引き上げる原動力に

Needhamのローラ・マーティン氏がGoogle株の目標株価を210ドルから225ドルに引き上げた背景には、クラウド事業の成長がある。同社のクラウド部門は、市場での競争が激化する中でも、企業向けサービスの需要を巧みに取り込み、安定した収益基盤を築いている。アナリストは、同部門の前年比成長率が業界全体の平均を上回ると予測しており、これが収益予測を964億ドルに引き上げる要因となった。

Google Cloudはデータ分析、機械学習、セキュリティソリューションなど、多岐にわたるサービスを展開しており、特にAI技術を活用した分野で高い評価を得ている。一方で、AmazonやMicrosoftとの競争は熾烈であるが、Googleは独自の技術力を武器にシェア拡大を目指している。クラウド事業の成長が目標株価の引き上げを支えている事実は、同社の戦略的優位性を改めて示していると言える。

さらに、クラウド事業の強化がGoogleの他の部門と相乗効果を生み出している点も注目に値する。特に広告部門やYouTubeとの連携により、データ活用の効率性が向上し、収益機会を広げている。このような構造的優位性が、アルファベットの株価見通しをより明るいものにしているのは確かである。

中国の新AIモデル「DeepSeek」が市場に与えた衝撃

中国の革新的なAIモデル「DeepSeek」のリリースが、シリコンバレーを含む世界のテクノロジー市場に大きな波紋を投げかけている。この新モデルは、検索エンジンやデータ解析分野において画期的な技術を導入しており、Googleをはじめとする米国のテクノロジー企業にとって潜在的な脅威となっている。実際、Google株はリリース直後に1.63%下落した。この下落幅は、Nvidiaの12.88%やAMDの4.61%と比較すると小さいものの、「DeepSeek」の存在感を無視することはできない。

中国がAI分野で台頭する背景には、国家主導の研究開発投資や膨大なデータ量を活用した機械学習がある。一方で、Googleはこれまでの市場支配力と革新性をもって対抗する意向を示しており、競争は一層激化するだろう。この技術競争がもたらすリスクは、短期的な株価の変動だけにとどまらず、長期的な業界の勢力図にも影響を及ぼす可能性がある。

ただし、Googleは既存の技術基盤やグローバル市場でのブランド力により、依然として優位性を維持していると見られる。この新たな競争環境が、Googleにさらなる成長のきっかけを提供する可能性も否定できない。こうした状況を踏まえると、「DeepSeek」のリリースは、単なるリスクではなく、新たな機会とも捉えられる。

株価評価の多様性が示す市場の複雑性

1月以降、Google株には11件の目標株価改定が記録されているが、そのうち6件が「買い」の評価であった。一方で、「買いから買い」や「中立から中立」への再評価が多く、1月には大きな格上げが見られなかった点が注目される。特に、Citizens JMPのアンドリュー・ブーン氏による「強い買い」から「保留」への格下げが唯一の大幅な変更である。

この動きは、アルファベットに対する市場の評価が依然として二極化していることを示している。特に、最も高い目標株価がWolfe Researchによる230ドルであったのに対し、最も低い目標株価はWells Fargoの190ドルであった点は、投資家心理の複雑さを象徴している。

こうした評価の分散は、Googleの市場支配力が依然として強固である一方、クラウド事業やAI競争などの外部要因が影響を及ぼしていることを反映している。今後、これらの要因がどのように収束し、株価に影響を与えるのか、慎重な注視が求められるであろう。市場が持つ多層的な評価は、投資戦略を練る上での重要な指針となる。

Source:Finbold