ドナルド・トランプ氏が再び大統領に就任したことで、暗号通貨市場に大きな変化が生じた。ビットコインの価格は就任式前に10万9,000ドルを超え、史上最高値を記録。政権による規制緩和や暗号資産推進の姿勢が市場の期待を押し上げた。

トランプ氏はデジタル資産に関する大統領令に署名し、規制の見直しや国家備蓄の可能性を模索する作業部会を設置。さらに、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の創設を禁止する措置も講じた。一方、米国証券取引委員会(SEC)は親暗号派の指導者を起用し、暗号タスクフォースを新設。これにより、新たな製品開発や市場参入が進む見通しである。

暗号ETFの申請は30件以上寄せられ、業界は新政権の方針に応じて大胆な展開を見せている。中でも、ブラックロックのスポットビットコインETFは注目を集めており、金融市場への影響が期待される。

トランプ大統領が署名した大統領令がもたらす規制緩和の影響

トランプ大統領は、デジタル資産と金融技術に関する大統領令に署名し、暗号通貨市場に変化をもたらした。この大統領令では、デジタル資産の国家備蓄の可能性や既存の規制の見直しに重点が置かれ、政府として暗号通貨を戦略的に活用する意向が示された。同時に、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の導入を禁止する措置が取られた点も注目される。

このような規制緩和の動きは、市場参加者にとって歓迎される一方で、デジタル資産の備蓄に関する具体的な方針が欠如しているとの指摘もある。特に、トランプ氏が以前のビットコイン関連の発言で「戦略備蓄」を支持していたにもかかわらず、今回の措置は可能性を模索する段階に留まっている。これにより、政府の対応が慎重すぎるとの批判も一部で上がっている。

暗号通貨は政府の関与が強まる中で新たな発展を迎えているが、その裏には規制による市場安定化と創造的革新のバランスが求められるという課題がある。今後、作業部会による規制方針の明確化が、企業活動や市場動向に与える影響が注視されるだろう。

SECの親暗号派人事と新たなタスクフォース設立の意義

米国証券取引委員会(SEC)は、新政権の方針を反映し、暗号業界に対して柔軟な姿勢を見せ始めた。その一環として、仮議長に親暗号派であるマーク・ウイエダ氏が就任し、新設されたCrypto Task Forceが暗号市場の規制を明確化する役割を担う。さらに、SAB 121の撤回によって銀行や金融機関が顧客の暗号資産を保管する道が開かれたことも、大きな進展といえる。

このような政策転換は、暗号業界との対話を重視する姿勢を示しており、規制を明確化することで市場の透明性向上が期待される。また、SEC委員のヘスター・ピアース氏がタスクフォースを率いることで、暗号関連の問題に対する具体的な解決策が提示される可能性がある。しかし、政策の転換が急激であるため、一部の専門家は過度な期待に対するリスクを警告している。

規制緩和の動きは市場活性化の一助となる一方、透明性と信頼性の確保が進むか否かが市場の成長を左右する重要な要素となるだろう。SECの取り組みが市場の長期的な安定に寄与するかどうかは、今後の具体的な規制施策の実施にかかっている。

暗号ETFの増加と市場の試金石としての役割

新政権の政策変更に伴い、SECには暗号ETFに関する30件以上の新規申請が提出された。その中には、ライトコインやソラナなどの主流暗号資産を対象としたものだけでなく、レバレッジ商品やミームコインETFといったリスクの高い商品も含まれる。特に、ブラックロックのiShares Bitcoin Trust(IBIT)によるスポットビットコインETFは、市場にとって大きな試金石とされている。

暗号ETFの急増は、規制当局と市場の間で新たな攻防を引き起こす可能性がある。ブルームバーグのアナリスト、ジェームズ・セイファート氏は、これらの申請がSECの新指導部の限界を試そうとする動きだと指摘している。この試みは市場に革新をもたらす一方で、適切なリスク管理が求められることは言うまでもない。

市場が拡大し続ける中で、規制当局の対応が投資家保護と市場成長の両立を実現できるかどうかが焦点となる。ETF商品の普及が暗号市場全体の信頼性向上に貢献すれば、今後の資産クラスとしての地位が一層確立されるだろう。

Source: Investopedia