Microsoftが提供するWindows 11 24H2の最新アップデート(KB5050009)が、多くのユーザー環境において技術的なトラブルを引き起こしている。オーディオデバイス、USB機器、ウェブカメラといった基本機能が正常に動作しなくなり、Bluetoothヘッドフォンから音声が出力されない、USB DACが認識されない、ウェブカメラが起動しないといった問題が相次いで報告されている。
アップデートのアンインストールによる一時的な解決策はあるものの、根本的な修正は未だ提供されていない。Microsoftが今後どのような対応を取るのか、ユーザーからの関心が高まっている。
Windows 11 KB5050009が引き起こす問題の詳細
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1. オーディオとBluetoothの不具合
Windows Latestによると、最も多く報告されているのがBluetoothオーディオ関連の問題である。Bluetoothヘッドフォンが正常に接続されているにも関わらず音が出ない、YouTubeなどの動画再生時に無限バッファリングが発生する、オーディオレンダーエラーが表示されるなど、ユーザーの体験を著しく損なう症状が発生している。
2. USB DACとヘッドフォンの非互換性
USB接続のデジタル・アナログ・コンバーター(DAC)やヘッドフォンが動作しなくなる事例も確認されている。JDS Labs ODAC、Fiio E17K、HyperX USBヘッドセットなどが影響を受け、「APIを完了するためのシステムリソースが不足しています」といったエラーメッセージが表示されることもある。
3. ウェブカメラの動作不良
ノートPC内蔵カメラやDell P3424WEBのような外部ウェブカメラも、アップデート後に認識されなくなる問題が報告されている。「デバイスを開始できません」「カメラが検出されません」などのエラーメッセージが表示され、業務やオンライン会議に影響を及ぼしている。
4. ゲームやシステムの安定性への影響
特定のゲームタイトル(Fortnite、Assassin’s Creed など)において、Alt+Tab操作でのクラッシュやシステムのフリーズが発生している。クラッシュ後はタスクマネージャーすら開けず、強制再起動が必要になるケースも多い。
5. インストール時のトラブル
アップデート自体が正常に適用できない問題も発生しており、エラーコード「0x80070005」や無限ループの再起動などが報告されている。また、Smart App Controlが正規のアプリを誤ってブロックするケースも確認されている。
Microsoftの対応と回避策
現時点でMicrosoftは公式な修正パッチを提供していないが、1月28日にリリースされたプレビューアップデート(KB5050094)で一部のUSB DACの問題が修正されたとされる。しかし、新たなバグが発生する可能性があり、適用には慎重さが求められる。
回避策として、以下の対応が推奨されている。
- 問題のあるアップデートをアンインストール
- 設定 → Windows Update → 更新履歴 から KB5050009 または KB5050021 を削除する。
- 自動更新を一時停止
- Microsoftが安定した修正パッチを提供するまで、Windows Updateを一時停止する。
- ドライバーの手動再インストール
- デバイスマネージャーを使用し、USB DACやウェブカメラのドライバーを再インストールする。
- レジストリの編集(上級者向け)
- USBデバイスの “EnhancedPowerManagementEnabled” の値を変更することで、一部の問題が改善する可能性がある。
まとめ
Windows 11 24H2のアップデート(KB5050009)は、オーディオ、Bluetooth、USBデバイス、ウェブカメラなどの基本機能に深刻な影響を及ぼしている。ユーザーの間では、影響を受けたデバイスの利用が制限されることで業務や日常の作業に支障が出るとの声も多い。Microsoftの対応が待たれる中、影響を受けたユーザーは適切な回避策を講じ、今後のアップデートにも慎重になることが求められる。
Source:Cyber Security News