Windows 10の最新プレビュー更新プログラム「KB5050081」により、新しいOutlookクライアントが一部ユーザーに強制的にインストールされる事態が発生している。Microsoftは、来月のWindowsセキュリティ更新を適用するすべてのWindows 10ユーザーに対し、この新Outlookを自動的にインストールする方針を明らかにした。この動きは、Windows 10のサポート終了を見据え、Windows 11への移行を促進する目的があると考えられる。
Microsoftの意図と影響
Microsoftは1月9日に本変更を発表し、新しいOutlookが既存のOutlookアプリと共存する形で追加されると説明している。デフォルト設定には影響を及ぼさないものの、すべてのユーザーの環境に変更を加えることになるため、企業やIT管理者の間では懸念の声も上がっている。
また、新Outlookは、Microsoft 365のデスクトップクライアントアプリの一部としても自動的に含まれる形となっており、昨年12月にはすでにその方針が発表されていた。これにより、Microsoft 365を利用する企業では、意図せず新Outlookが導入されるケースが増加する可能性がある。
管理者向けの対応策
管理者は、既存の構成に手を加えることで、新Outlookのインストールを防ぐことが可能だ。Microsoftは「新Outlookはデフォルトで“オン”になっているが、設定変更を行えば除外できる」と説明している。しかし、そのためには事前にレジストリ設定を調整する必要がある。
具体的には、Windows 10の更新プログラムで新Outlookのインストールをブロックするために、以下のレジストリキーを追加する必要がある。
レジストリキー設定:
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\WindowsUpdate\Orchestrator\UScheduler_Oobe
REG_SZ値: BlockedOobeUpdaters に [“MS_Outlook”] を指定
加えて、PowerShellを利用すれば、新Outlookの削除も可能だ。
Remove-AppxProvisionedPackage -AllUsers -Online -PackageName (Get-AppxPackage Microsoft.OutlookForWindows).PackageFullName
Windows 11への移行促進か
Microsoftは、「Windows 10のサポート終了(2025年10月14日)を見据え、Windows 11への移行を簡素化するため」と今回の変更の背景を説明している。だが、新Outlookの強制インストールが一部のユーザーに不満を抱かせる可能性もある。
Microsoftはこれまでも、Windows 11の導入を促すために段階的なアップデートを行ってきた。しかし、今回の新Outlookの強制インストールは、その戦略の一環として、より積極的なアプローチに移行したことを示唆している。特に企業においては、従業員の作業環境に影響を与える可能性があり、慎重な対応が求められる。
企業と個人ユーザーの対応策
企業のIT管理者は、Microsoft 365の管理センターで設定を変更し、新Outlookのインストールを防ぐ必要がある。一方、個人ユーザーは、手動でアプリを削除するか、レジストリ設定を変更することで影響を最小限に抑えることができる。
Microsoftは、新Outlookへの移行を進めることで、Windows 11への統合を加速させようとしている。しかし、そのアプローチがどれほどユーザーの支持を得られるかは今後の動向次第といえる。
Source: BleepingCompute