Microsoftは、Windows 11のCanaryチャンネル向けに新たなプレビュービルド「Build 27783」を公開した。今回のアップデートでは、ファイルエクスプローラーに「共有」タブが追加され、ユーザーが共有ファイルに素早くアクセスできるようになった。この機能により、MicrosoftアカウントやMicrosoft Entra IDアカウントを使用している場合、他者と共有されたファイルを「ホーム」画面の「共有」タブから簡単に確認できるようになった。

また、「最近使用したファイル」や「お気に入り」などのセクションでも、新たなファイルタイプのサポートが追加され、DesignerやLoop、Power BI、Formsといったアプリケーションで作成されたファイルも一覧に表示される。

システム全体の改良と修正

今回のビルドでは、拡大鏡の機能強化も行われている。新たに「CTRL + ALT + マイナス(-)」のキーボードショートカットが追加され、拡大鏡ユーザーがズームレベルを簡単に切り替えられるようになった。また、「画面に合わせてズームをリセット」や「最後に使用したズームレベルにリセット」といったオプションも導入され、ユーザビリティの向上が図られている。

加えて、タスクバー、入力関連、ウィンドウ管理、グラフィックス、リモートデスクトップなど、各種機能に関する多数のバグ修正が実施された。特に、タスクバー上のアプリにカーソルを合わせた際にプレビューウィンドウが正しく表示されない問題、ALT + Tabでアプリを切り替える際のウィンドウフリーズ、リモートデスクトップの起動失敗問題などが修正された。

既知の問題と今後の対応

今回のビルドでは、いくつかの既知の問題も報告されている。Copilot+ PCにおいて、Canaryチャンネルへ移行する際にWindows HelloのPINと生体認証が失われる可能性があるほか、「SFC /scannow」コマンドを実行するとエラーが発生する問題の修正に取り組んでいる。また、一部の環境ではエクスプローラーのウィンドウを最小化後に正しく復元されない不具合が確認されている。

さらに、Hyper-Vおよびそれに依存する機能(WSLなど)が正しく動作しなくなる問題も報告されており、Microsoftはこの問題について詳細な調査を進めている。

Windows 11の進化と企業への影響

Windows 11のCanaryチャンネルのアップデートは、新機能の追加だけでなく、システムの安定性向上にも重点を置いている。特に企業環境では、リモートデスクトップの安定性が求められるため、今回の修正は業務効率向上に寄与すると考えられる。加えて、ファイルエクスプローラーの「共有」タブの追加により、Microsoft 365を活用する企業のワークフローが一層スムーズになるだろう。

また、拡大鏡の改善によるアクセシビリティ向上は、業務環境におけるユーザビリティの向上につながる。今後のWindows 11の進化が、企業のIT管理や働き方にどのような変化をもたらすか注目される。

Microsoftの開発戦略と今後の展望

Windows 11のCanaryチャンネルでの試験的な機能追加は、Microsoftの継続的なイノベーション戦略の一環である。特に、クラウド連携やコラボレーション機能の強化は、今後のOS開発の大きな方向性を示している。

企業が求めるのは、安定したOS環境と、業務効率を高める革新のバランスである。Microsoftは、定期的なアップデートを通じてユーザーのフィードバックを収集し、安定性と機能性の両立を目指している。今後のWindows 11の開発動向は、企業のデジタル戦略にも大きな影響を及ぼす可能性がある。

Source: Neowin