Appleが第1四半期決算を発表する直前、複数の証券会社が同社の株価を格下げした。Jefferies、Loop Capitalに続き、Oppenheimerも中国市場での競争激化とAI技術の革新不足を指摘。特に、Apple IntelligenceがiPhoneの販売促進に十分な影響を及ぼしていないとの見方が広がる。

iPhoneの市場シェアは前年同期比で1%減少し、スマートフォン市場全体の成長から遅れを取った。Appleは10月にAI技術を導入し、新たな機能追加を進めているが、消費者の購入意欲を大きく刺激するには至っていない。今後の戦略次第で、成長のカギを握る中国市場の回復が左右される。

第1四半期の売上は1,241億ドル、EPSは2.35ドルと予想されている。iPhone部門の売上は710億ドルに達する見込みだが、市場の期待を超えられるかが焦点となる。Appleの株価は過去1年間で24%上昇しているが、Nvidiaの102%上昇と比較すると、AI分野での競争力が問われている。

iPhoneの成長鈍化と競争激化 中国市場が抱える課題

Appleの成長戦略において、中国市場は長年にわたり最重要地域の一つであった。しかし、近年は販売の減速が顕著であり、2024年の中国市場売上は前年比8%減の669億ドルと低迷した。この背景には、Huaweiなど国内ブランドの躍進があり、特にMate 60 Proの成功がAppleのシェアを圧迫している。

また、中国政府による米国製品の排除や地政学的リスクも、Appleの販売に逆風となっている。中国当局は公務員のiPhone使用を制限する動きを見せており、消費者の間でも国内メーカーを支持する傾向が強まっている。こうした流れの中で、Appleがシェアを維持するためには、価格戦略やローカル向けのサービス強化が不可欠となる。

加えて、人民元安の影響も見逃せない。2024年の為替変動により、Apple製品の価格が相対的に上昇し、消費者の買い控えを招いた可能性がある。Appleは新型iPhone SEの投入などで価格帯を広げる戦略を取るとみられるが、競争環境の激化を考慮すると、その効果は限定的かもしれない。


Apple Intelligenceの成否 AI戦略の転換点を迎える

Appleは2024年10月にApple Intelligenceを発表し、AI機能の強化によるiPhoneの魅力向上を図った。しかし、その影響は想定ほど大きくなく、iPhoneの販売を押し上げる決定的な要因とはなっていない。これは、消費者の求めるAIの方向性とAppleの提供する機能にズレがあるためと考えられる。

競合のGoogleやSamsungは、AIによるパーソナライズ機能や音声アシスタントの高度化を前面に打ち出している。一方でAppleのAIは、プライバシー保護を優先し、クラウド処理よりもデバイス内でのAI運用に重点を置いている。これが一部のユーザーには魅力的に映るものの、広範な市場での差別化要因とはなりにくい。

さらに、AI分野での技術競争は熾烈であり、Nvidiaの台頭や中国のDeepSeek AIの進化により、Appleの戦略が後れを取る可能性も指摘されている。AppleがAIの進化をどのように加速させるのか、今後の発表が市場の注目を集めるだろう。


Appleの株価推移と市場評価 投資家が注視するポイント

Appleの株価は過去12カ月で24%上昇し、Googleの27%とほぼ同水準を維持している。一方で、Nvidiaは102%もの急騰を見せており、AI関連の成長企業との差が明確になってきている。これは、投資家の関心がAppleのAI戦略の不透明性や、中国市場での苦戦に向けられているためと考えられる。

Appleは引き続き強固なブランド力を持ち、iPhone、iPad、Macといった主要製品のエコシステムが安定した収益を生み出している。しかし、ハードウェアの進化だけでは株価を大きく押し上げる要因とはなりにくい。Apple Intelligenceが市場にどの程度の影響を与えるのか、次の四半期決算が評価の分かれ目となるだろう。

また、Appleはサービス部門の成長を加速させており、2025年の第1四半期には260億ドルの売上が見込まれている。特にサブスクリプション事業の拡大が鍵を握るとみられるが、競争が激化する中で、収益性の確保が課題となる。今後の株価動向は、AppleのAI・サービス戦略と中国市場の動向次第で大きく変わる可能性がある。

Source:BloombergYahoo!FinanceInvesting.com