ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイが保有するシェブロン(NYSE: CVX)の配当収入が、今年だけで約7億7,330万ドルに達する見込みである。

シェブロンは37年間連続で増配を続けており、安定したキャッシュフローと自社株買いを背景に、堅実な株主還元を維持している。直近の株価は156.21ドルであり、過去1年間で約4%の上昇を記録した。第4四半期の業績予測では減益が見込まれるものの、同社はパーミアン盆地やカザフスタンでの生産拡大を進め、将来的な成長が期待される。

さらに、シェブロンは2025年1月にヘス(Hess)社を53億ドルで買収し、ガイアナのスタブローク鉱区を含む高収益資産の拡充を図る。この戦略的買収により、中長期的な収益拡大が見込まれ、アナリストの目標株価も12.39%の上昇を示唆している。シェブロン株は、配当収入を重視する投資家にとって引き続き有力な選択肢といえる。

シェブロンの安定した配当とキャッシュフローの裏側

シェブロンが37年連続で増配を続ける背景には、堅実なキャッシュフロー管理がある。同社は2024年第1〜第3四半期において228億ドルの営業キャッシュフローを生み出し、そのうち105億ドルを自社株買いに充てた。

この安定したキャッシュフローの要因は、堅調な石油・ガスの生産と効率的なコスト管理にある。シェブロンはパーミアン盆地やメキシコ湾などの生産拠点で高収益を維持しており、同時に設備投資を抑えることで利益率を確保している。これにより、原油価格の変動に対しても柔軟に対応できる財務体質を構築している。

また、同社は配当性向を慎重に管理し、株主還元を最優先事項としている。市場環境の変化に左右されにくい収益基盤が、シェブロンの安定した増配を支えている。

ヘス社買収がもたらす成長の可能性

シェブロンが2025年1月に完了予定のヘス社買収は、同社の将来の成長を左右する重要な戦略の一つだ。ヘスの主要資産には、ガイアナのスタブローク鉱区が含まれており、この地域は近年、世界の石油業界で注目を集めている。

ガイアナ沖合のスタブローク鉱区は、高品質の原油埋蔵量を誇り、長期的な採掘による安定収益が期待される。シェブロンはこの資産を手に入れることで、北米や中東以外の新たな成長エンジンを確保する狙いがある。

また、ヘスの買収により、シェブロンはシェール資産やメキシコ湾の採掘権も手に入れる。これらの資産は、同社のポートフォリオを強化し、エネルギー市場における競争力を高める要因となる。

シェブロン株は今後の市場環境にどう影響されるのか

エネルギー市場は原油価格の変動による影響を受けやすい。シェブロンの株価も例外ではなく、過去1年間で小幅な上昇を見せつつも、短期的な市場の動向に左右される傾向がある。

今後の市場環境を考慮すると、シェブロンの株価は原油価格の動向に加え、同社の生産拡大やM&A戦略の成否に大きく左右される可能性がある。特に、OPECの生産調整や米国のエネルギー政策の変化が、同社の事業に影響を与える要因となる。

一方で、アナリストの予測では、シェブロン株は今後1年間で12.39%の上昇が見込まれており、中長期的には堅実なリターンが期待される。ただし、投資判断を行う際には、短期的なリスクと長期的な成長のバランスを慎重に見極める必要がある。

Source: Finbold