ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイが6億1500万株以上のアップル株を売却し、その一部をドミノ・ピザへ投資したことが市場で大きな波紋を呼んでいる。アップルは過大評価されているとの指摘があり、さらに税制上の観点も売却の理由と考えられる。バフェットのテクノロジー株に対する慎重な姿勢が、今後のポートフォリオ戦略にどのような変化をもたらすのか注目される。

一方、ドミノ・ピザは成長の可能性を秘めたバリュー株として評価されており、既存のグローバル戦略と財務状況を考慮すると、堅実な投資先と見なされる。ただし、負債比率の高さが懸念材料となる。アップルの成長鈍化が指摘される中、長期的な展望において同社がどのような戦略を打ち出すのかも焦点となる。バークシャーの投資判断が市場全体に与える影響は小さくなく、今後の株価動向に要注視である。

アップル株の売却理由と市場への影響

バークシャー・ハサウェイは、同社のポートフォリオの26%以上を占めるアップル株を過去4四半期で大規模に売却した。アップルは競争優位性の高い企業であるが、現在の株価は適正市場価値を20%以上上回っていると指摘され、過大評価の懸念が強まっている。バフェットが売却を決断した背景には、将来的な税制変更への備えや、テクノロジー株への慎重な姿勢があると考えられる。

また、2023年11月にパートナーであるチャーリー・マンガーが逝去した後、アップル株の売却が加速した点も注目される。マンガーはテクノロジー企業への投資を支持していたが、その影響力が低下したことで、バフェットの方針が変化した可能性がある。


ドミノ・ピザへの投資と今後の成長性

アップル株の売却により、バークシャーは約250億ドルの資金を確保し、その一部をドミノ・ピザに投資した。ドミノ・ピザの株価は現在適正市場価値をやや下回っており、収益性の高さと成長戦略が評価されている。特に「フォートレッシング戦略」(市場シェア拡大のために店舗数を増やす戦略)やグローバル展開が成功すれば、今後の株価上昇が期待される。

ただし、同社は資本集約型の業界に属し、負債比率が高いという課題も抱えている。配当政策は安定しているものの、長期的に持続可能かどうかは慎重に見極める必要がある。


アップルの今後の展望

アップルは2024年に30%以上株価が上昇し、史上最高値を記録した。しかし、今後12か月間の株価上昇率はほぼ横ばいと予測されている。短期的には、米中関係の悪化や独占禁止法の影響など、いくつかのリスク要因が存在する。

長期的な視点では、iPhone 16やApple Intelligenceの導入が成長を支える要因となる。特に、サービス収益の成長率は年間11.4%と予測されており、ハードウェア売上の成長鈍化を補う可能性がある。


バークシャー・ハサウェイの今後

バークシャー・ハサウェイは強固な財務基盤を持つが、保険事業の収益減少や鉄道・エネルギー部門の成長鈍化といった懸念もある。バフェットが引退した後、同社の投資方針がどのように変化するのかも重要なポイントとなる。

Source:ForbesMotley Fool