著名な投資家ウォーレン・バフェットは、2024年の年次株主向け書簡において、現代の株式市場がギャンブル性を強めていると指摘した。彼は、ウォール街が投機的な取引を助長し、個人投資家が取引アプリを通じて短期的な利益を追求する傾向が強まっていると警告している。研究によれば、オンラインで取引を行う投資家の70~90%が損失を被っており、その行動はギャンブル依存症と類似点を持つ。バフェットは、質の高い企業への長期投資こそが持続的な富を築く道であると強調している。

株式市場の「カジノ化」がもたらすリスク

バフェットの指摘する「カジノ化」は単なる比喩ではなく、投資行動そのものに深刻な影響を及ぼしている。特に、個人投資家が取引アプリを利用して高速取引を行うことで、感情的な売買が増加している。結果として、市場のボラティリティが高まり、短期的な値動きに過剰反応する傾向が強まる。

研究によれば、デイトレーダーの大半は長期的に損失を被る。短期的な利益を追求する取引スタイルでは、冷静な判断よりも市場の勢いに流されることが多く、合理的な投資判断が困難になる。ギャンブルと同様に「次こそは成功する」との心理が働き、過度なリスクを取るケースも後を絶たない。

また、アルゴリズム取引の増加により、個人投資家がプロのトレーダーと競争することがさらに困難になっている。こうした状況が続けば、短期取引を行う投資家の損失はさらに拡大し、市場における富の偏在が進む可能性が高い。

長期投資の重要性と市場の安定性

バフェットが長期投資を推奨する背景には、市場の安定性がある。歴史的に見ても、長期間にわたり価値を提供する企業の株式は堅実なリターンを生んできた。短期の値動きに惑わされず、優良企業を見極めて保有し続けることで、投資家は市場の乱高下に左右されることなく、着実に資産を増やすことができる。

さらに、長期投資は市場全体の安定にも寄与する。投機的な売買が市場を揺るがす一方で、着実に株式を保有する投資家が増えれば、市場の健全性が保たれる。バフェットは、企業の本質的な価値を理解し、その成長に投資する姿勢こそが持続可能な資産形成につながると考えている。

市場の変動を避けることはできないが、長期的な視点を持ち、確かな企業を選ぶことで、不確実性を乗り越えることができる。株式市場がギャンブルの場となるのではなく、持続的な成長の場であり続けるためには、投資家の意識改革が求められる。

Source:Investopedia