Nvidiaは、新型GPU「GeForce RTX 5090」と「RTX 5080」の需要が供給を大幅に上回る見通しを示し、発売直後の在庫不足を警告した。1月30日の発売を前に、MSIは「RTX 5090の出荷は2月6日まで開始されない」と発表し、英国の小売業者Overclockersも「RTX 5090の在庫は10枚未満」と報告している。
事前組み立てPCメーカーPowerGPUは「RTX 5090の供給は過去最悪で、少なくとも3カ月間は品薄が続く」と指摘。中国メディアBenchlifeは、NvidiaとAICパートナー間の調整不足が影響し、RTX 5090の市場価格が大幅に高騰する可能性があると報じた。
一方、ミドルレンジモデル「RTX 5070」および「RTX 5070 Ti」の発売スケジュールは変更なし。カリフォルニア州では購入希望者が店頭でキャンプを始めており、Nvidiaは「可能な限り供給を増やす」としているが、品薄の解消は見通せない。
RTX 5090の需要過多が引き起こす市場の混乱
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RTX 5090の高い需要は、ゲーマーやクリエイターによる性能向上の期待に起因する。新世代のGPUアーキテクチャとAI支援技術の発展により、フレームレートやレンダリング速度が飛躍的に向上する見込みだ。そのため、発売直後から転売市場の影響を受け、希望小売価格を大幅に上回る価格で取引される可能性が高い。
さらに、大手PCメーカーがこの供給不足の影響を受けることで、高性能PCの組み立てが遅延することも懸念される。特に、クリエイティブ業界ではレンダリング速度の向上が求められるため、RTX 5090の不足が制作スケジュールに影響を与える可能性がある。
供給不足の背景にある半導体市場の課題
今回のRTX 5090の供給不足は、半導体市場全体の供給問題とも密接に関連している。近年の半導体不足は、パンデミックによる生産の停滞やサプライチェーンの混乱による影響を受け、完全な回復には至っていない。特に、先端プロセスを採用した半導体の生産は、限られたファウンドリーによって行われており、Nvidiaもその影響を受けている。
また、競合メーカーとの製造ラインの取り合いも問題となっている。特に、AI分野でのGPU需要が急増しているため、RTX 5090の生産ラインが他の用途へと割かれている可能性も指摘されている。結果として、在庫不足はしばらくの間続くと考えられる。
今後のGPU市場の展望とユーザーの対応策
Nvidiaは供給の安定化に向けて生産量の増加を図っているが、市場全体の需要を満たすには時間がかかる可能性がある。特に、プレミアムモデルのRTX 5090は、一般消費者向けの流通量が制限されることが予想されるため、入手難易度は当面の間高いままとなるだろう。
一方で、RTX 5070や5070 Tiといったミドルレンジモデルの発売が控えており、これらが一部の需要を吸収することが期待される。特に、ゲーム用途ではミドルレンジモデルでも十分なパフォーマンスを発揮するため、高価格なフラッグシップモデルを無理に狙うよりも、より手頃なモデルの購入を検討するのも有効な選択肢となる。
Source:Gizmodo