中国発のAI企業DeepSeekの台頭により、グローバルなテクノロジー市場が揺れ動いている。特にAI技術を牽引する企業群の株価が下落する中、量子コンピューティング業界にもその影響が及んだ。Quantum Computing、IonQ、D-Wave Quantum、そしてRigetti Computingなどの主要プレイヤーが一時9%の下落を記録したが、その後の動きは企業ごとに異なっている。

Rigetti Computingの株価は1月27日に大幅に下落したものの、1月31日には13%以上の急騰を見せた。しかし、52週間の高値から依然35%以上低い水準にあり、この価格は投資家にとって絶好の買い場となる可能性がある。量子コンピューティング市場の成長が見込まれる中、Rigettiはその独自技術と戦略的パートナーシップにより、競争優位性を強化している。

短期的には業績不振やキャッシュフローの課題があるものの、長期的な視点では市場の成長と同社の技術革新が追い風となる可能性がある。アナリストの多くが「強い買い」と評価するRGTI株の行方に注目が集まっている。


DeepSeek AIの影響と量子コンピューティング市場の変動

DeepSeek AIは、低コストかつ高効率なAIモデルを提供することで市場に変革をもたらしている。その影響で、AI技術を主要事業とするNvidia、Microsoft、Googleなどの株価が揺れ動いた。しかし、その波紋はAI企業にとどまらず、量子コンピューティング分野の企業にも広がっている。

特にQuantum Computing、IonQ、D-Wave Quantum、Rigetti Computingといった企業の株価は1月27日に大幅に下落し、一部は9%超の下落率を記録した。その後、Rigetti Computingは1月31日に13%以上の急反発を見せたが、それでも52週間の高値と比較すると35%以上低い水準で推移している。

Rigetti Computingの事業概要と成長戦略

2013年に元IBMの研究者チャド・リゲッティによって設立されたRigetti Computingは、量子コンピュータのハードウェアおよびソフトウェアの開発を手掛ける。同社の強みは、超伝導量子プロセッサの開発および「Fab-1」と呼ばれる独自の製造施設にある。

また、クラウド型の「Quantum Computing as a Service(QCaaS)」を展開し、企業がリモートで量子コンピューティングの能力を活用できる環境を整備している。この技術基盤と戦略的パートナーシップにより、同社は市場での競争力を高めている。

財務状況と課題

Rigettiはまだ黒字化を果たしていない。直近の四半期決算では売上高が前年同期比23.4%減の240万ドルにとどまり、市場予想を下回った。しかし、1株当たりの損失は前年同期の0.17ドルから0.08ドルへと縮小し、営業活動による現金流出は4210万ドルに増加したものの、短期負債を上回る現金残高を確保している。

同社CEOは、売上成長よりも研究開発と技術開発を優先する方針を強調しており、この点が中長期的な成長戦略の鍵となる。

今後の展望と投資判断

マッキンゼーの予測によると、量子コンピューティング市場は2035年までに最大2兆ドル規模に成長するとされている。Rigettiはこの成長を取り込むべく、化学、ライフサイエンス、金融、モビリティといった分野での事業拡大を進めている。

また、2024年12月には84量子ビットの「Ankaa-3」量子コンピュータを発表し、2025年半ばには4つの相互接続された9量子ビットチップを備えたシステムを開発予定だ。これにより、2量子ビットの忠実度を99.5%以上に引き上げ、年内には100量子ビット超のシステムを市場投入する計画である。

こうした技術進化と市場成長を踏まえ、アナリストの多くがRGTI株を「強い買い」と評価している。現時点の株価低迷を押し目買いの好機と捉える投資家も少なくない。

Source:Barchart.com