Appleは、最新の四半期決算において、売上高が1,243億ドルと前年同期比で4%増加し、純利益も7%以上増加して363億ドルに達したと報告した。この成長は、iPadやMacの売上が予想を上回ったことや、サービス事業が13.9%増の263億ドルに達したことが寄与している。
一方、iPhoneの売上は約1%減の691億ドルとなり、中国市場での売上も11%以上減少して185億ドルとなった。ティム・クックCEOは、AI機能「Apple Intelligence」が新デバイスの販売を後押ししていると述べており、特にiPhone 16シリーズの販売が好調であると指摘している。
しかし、中国市場におけるAI機能の展開は依然として不透明であり、同市場での売上減少の一因と考えられる。投資家は、Appleの慎重なAI展開とエコシステムの拡大が、中国市場での課題にもかかわらず、同社の業績を支えていると見ている。
Apple Intelligenceは新たな成長戦略となるのか

Appleは、近年の業績向上の要因としてサービス事業の拡大を挙げているが、今後の成長を支える柱としてAI技術「Apple Intelligence」に注力している。ティム・クックCEOは、AIがApple製品の進化において重要な役割を果たすと強調し、特にiPhone 16シリーズの販売促進に貢献していると述べた。
しかし、現在のところ、Apple Intelligenceが消費者の購買意欲を大幅に押し上げる決定的な要素となっているかは不透明である。Apple Intelligenceは、デバイス内のデータを活用したパーソナライズ機能や通知の要約、画像編集機能などを提供している。
特に、デバイス内処理を重視する点が他の競合AIと異なるが、こうしたアプローチは、プライバシー保護を優先するAppleの戦略と合致している。Appleのサービス事業は、App StoreやiCloud、Apple Musicなどが順調に成長しており、今後Apple Intelligenceを活用した新たなサブスクリプションサービスの可能性も考えられる。
しかし、Apple Intelligenceの展開速度には課題もある。特に、競合するGoogleやOpenAIと比較すると、AppleのAI技術は市場投入が慎重で、既存のユーザーにとって革新的な進化と捉えられるかどうかは未知数である。加えて、中国市場ではApple Intelligenceの普及が進んでおらず、中国国内のAI企業との競争も激化している。
Apple Intelligenceが長期的に業績を牽引するかは、今後の機能強化と市場の反応にかかっている。
中国市場での苦戦と競争環境の変化
Appleにとって、中国市場は米国に次ぐ重要な収益源である。しかし、直近の四半期において、同市場での売上が11%以上減少し、iPhoneの販売も約10%減少したと推計されている。この背景には、競争の激化や、地元メーカーの成長が大きく影響している。
特に、HuaweiやXiaomiなどの中国企業が、自国市場向けの高性能スマートフォンを投入し、シェアを拡大している点がAppleの業績に影を落としている。Huaweiは、独自のSoCであるKirinチップを搭載したMateシリーズを発表し、特にハイエンド市場での存在感を高めている。
加えて、中国政府が国内企業の製品利用を推奨する動きもあり、Apple製品の需要に影響を及ぼしているとの見方もある。また、Apple Intelligenceの一部機能が中国市場では未導入であり、競争力を維持するための施策が求められている。
このような状況の中で、Appleは中国市場での販売戦略を強化する必要がある。過去には価格戦略の変更や、旧モデルの値下げを行うことで販売数の維持を試みたが、長期的な対策としては、よりローカライズされた製品やサービスの開発が不可欠となるだろう。また、インド市場など新興国での販売拡大を進めることで、中国市場での影響を補う動きが求められる。
米中関係の変化とAppleのサプライチェーン戦略
Appleは、製造拠点の多くを中国に依存しているが、米中関係の変化が同社の供給網に影響を及ぼす可能性がある。特に、今後の米国政権の政策次第では、中国からの輸入関税が再び課される可能性があり、Appleの生産コスト上昇につながることが懸念されている。
これに対し、Appleはすでに一部の生産をインドやベトナムに移管する動きを加速させており、サプライチェーンの多様化を進めている。過去のトランプ政権時代、Appleは中国からの輸入関税の免除を確保していた。ティム・クックCEOがトランプ氏と良好な関係を築いたことが背景にあり、今回の政権交代の可能性が、再びAppleに影響を及ぼすかどうかが注目される。
現在のバイデン政権下でも、中国製品に対する規制が強化されており、Appleは引き続き生産拠点の分散化を模索している。Appleにとって、中国は製造拠点としてだけでなく、重要な市場でもあるため、米中関係の変化が同社の成長戦略に与える影響は大きい。
短期的には、供給網の多様化によってコストを抑制しながら、中国市場での競争力を維持する必要がある。一方で、長期的には、インドや東南アジア市場での成長を加速させ、米中関係に依存しない経営基盤を築くことが重要となるだろう。
Source:TechSpot