Microsoftは、Windows 11 バージョン22H2以降において、Bluetooth LEオーディオのサポートを導入した。これにより、対応するイヤホンやヘッドフォンの音質とバッテリー寿命の向上が期待される。同社は、Bluetooth LEオーディオの技術的詳細や、独立系ハードウェアベンダーが満たすべきオーディオフォーマットの要件をMicrosoft Learn上で公開している。
主な要件として、オーディオフレームの長さが7.5msまたは10msであること、Basic Audio Profile(BAP)およびTelephony and Media Audio Profile(TMAP)のサポートが挙げられる。なお、Windows 10およびWindows 11 バージョン21H2ではBluetooth LEオーディオはサポートされていない。
将来的には、メーカーのドライバアップデートを通じて、現在非対応のWindows 11デバイスでもBluetooth LEオーディオが利用可能になる可能性がある。さらに、Windows 11 バージョン24H2以降では、補聴器のオーディオプリセットや周囲音の音量調整が可能となる予定である。
Windows 11のBluetooth LEオーディオ対応要件とその技術的背景

Windows 11では、Bluetooth LEオーディオのサポートにあたり、特定の技術要件が設けられている。まず、Windows 11 バージョン22H2以降を実行していることが基本条件であり、さらに対応するBluetooth LEオーディオ機能を備えたハードウェアと互換性のあるオーディオコーデックが必要となる。
これに加えて、メーカー提供のLEオーディオ対応ドライバを適用することで、適切な動作が保証される。特に注目すべきは、Bluetooth LEオーディオの通信方式が従来のBluetooth Classicとは異なる点にある。Basic Audio Profile(BAP)やTelephony and Media Audio Profile(TMAP)のサポートが必須となり、オーディオフレームの長さも7.5msまたは10msに統一されるなど、厳格な規格が求められる。
これらの要件により、消費電力を抑えつつ、音質の向上と遅延の低減を実現している。Microsoftは、Bluetooth LEオーディオの導入によって、対応イヤホンやヘッドフォンの利便性が大幅に向上するとしている。一方で、既存のデバイスが全て対応するわけではなく、ユーザーは自身のデバイスの仕様やドライバの対応状況を慎重に確認する必要がある。
Windows 10と旧バージョンのWindows 11がBluetooth LEオーディオに非対応の理由
Microsoftは、Windows 10およびWindows 11 バージョン21H2以前ではBluetooth LEオーディオがサポートされないことを明言している。これは、これらのバージョンではLEオーディオに必要な新しいオーディオスタックが実装されておらず、ハードウェアが対応していても機能を利用できないためである。
Windows 11 バージョン22H2以降では、新たにBluetooth LEオーディオの通信を制御するシステムが導入された。この技術により、低消費電力でのオーディオ再生や複数デバイスへの同時接続が可能になったが、これ以前のバージョンではOSの制約により利用できない。
加えて、LEオーディオは特定のBluetoothモジュールとオーディオコーデックを必要とするため、ソフトウェア更新だけでは対応できないケースもある。今後、メーカーが対応ドライバを提供することで、現在非対応のWindows 11デバイスでもLEオーディオが利用できる可能性はある。
しかし、Windows 10については公式にサポートが打ち切られており、LEオーディオを利用したい場合はOSのアップグレードが必須となるだろう。
補聴器向けBluetooth LEオーディオ機能と将来的な展望
Bluetooth LEオーディオの活用は、一般的なイヤホンやスピーカーにとどまらず、補聴器などの聴覚支援デバイスにも及んでいる。Microsoftは、Windows 11 バージョン24H2以降で、補聴器向けの新機能を実装すると発表しており、ユーザーはPCを通じて補聴器の音質調整や周囲音のボリューム制御が可能になる。
この機能は、MicrosoftがCanaryチャンネルで実施しているテストの一環であり、補聴器のユーザーにとって利便性の向上が期待される。従来のBluetooth Classicでは、消費電力の問題や接続の安定性に課題があったが、LEオーディオの採用によってこれらの問題が大幅に改善される可能性がある。
ただし、補聴器側がBluetooth LEオーディオに対応している必要があり、現時点では対応機種が限られている。そのため、今後は補聴器メーカー側の対応が重要となる。LEオーディオの普及が進めば、補聴器に限らず、医療機器やウェアラブルデバイスなど、多様な分野での活用が期待される。
Source:Neowin