Apple Watch Series 10は、広視野角のOLEDディスプレイを採用し、常時表示モードにおいても秒針の動きを表示できるようになった。しかし、この機能に対応する文字盤は「Flux」「Reflections」「Activity Digital」の3種類に限られている。

さらに、最新のwatchOS 11.3で追加された「Unity Rhythm」を加えても、対応文字盤は合計4種類にとどまる。ユーザーからは、より多くの文字盤でこの機能を利用したいとの要望が高まっている。Appleは、毎年新しい文字盤を追加する一方で、一部の古い文字盤を削除する方針を取っている。

特に、常時表示の秒針機能を備えていない文字盤が対象となる可能性が指摘されている。今後のwatchOSのアップデートで、すべての文字盤が常時表示の秒針に対応することが望まれる。特に、「Utility」や「California」などの標準的なアナログ文字盤において、この機能の実装が期待される。

Apple Watchの文字盤戦略の変遷とカスタマイズ制限の背景

Appleは、Apple Watchの文字盤デザインを長年にわたりコントロールし続けてきた。初代モデルでは、限られた選択肢の中でシンプルなデザインが採用されていたが、Series 4以降、より多様なスタイルが導入された。しかし、近年の動向を見ると、Appleはむしろカスタマイズの幅を狭めているように見える。

watchOS 7以降、特定の文字盤が削除される一方、新たに追加される文字盤は極めて限定的になった。特に、サードパーティ製の文字盤が未だに許可されていない点は、競合製品と比較して大きな違いである。Wear OSを採用するスマートウォッチでは、多くのサードパーティ製文字盤が提供されており、ユーザーは自由にカスタマイズできる。

一方、Appleは独自のデザイン言語を維持しながら、統一されたユーザー体験を重視している。その結果、カスタマイズ性よりもブランドとしての一貫性が優先される構造となっている。さらに、AppleはwatchOSの進化とともに、旧世代の文字盤を段階的に削除している。

例えば、watchOS 10ではSiriフェイスを除く一部の従来型文字盤が姿を消した。これは、ハードウェアの進化に伴い、古いデザインの最適化が難しくなったためとも考えられる。しかし、ユーザーにとっては、新しい機能に対応した文字盤の選択肢が限られることが不満要因となっている。Appleの今後の戦略次第では、さらに多くの文字盤が消える可能性も否定できない。

常時表示秒針機能の制限が示すAppleの設計思想

Apple Watch Series 10では、常時表示モードにおいて秒針をリアルタイムで表示できる新機能が導入された。しかし、これに対応する文字盤は「Flux」「Reflections」「Activity Digital」「Unity Rhythm」の4種類に限られている。ハードウェアとしてはすべての文字盤がこの機能をサポートできるはずだが、Appleは意図的に利用可能な範囲を制限している。

この背景には、バッテリー消費の管理があると考えられる。常時表示モードで秒針を動かすことは、画面のリフレッシュレートや電力消費に影響を及ぼす。Appleが特定の文字盤に限定しているのは、バッテリー駆動時間を最適化しながら、新機能の安定性を確保するための戦略だろう。

また、秒針の常時表示が可能な文字盤の多くは、視覚的にミニマルなデザインが採用されており、リフレッシュレートの負担を抑える工夫が施されている。しかし、この制限はユーザー体験の面で課題を生じさせている。

例えば、従来から人気の高い「Utility」や「California」などのアナログ文字盤は、常時表示の秒針機能を持たない。これにより、特定の用途でApple Watchを使用しているユーザーは、不便を強いられることになる。特に、正確な時間計測を求めるプロフェッショナルな環境では、秒単位の視認性は重要な要素となる。

Appleは、watchOSのアップデートを通じて、この機能をより多くの文字盤に開放する可能性もあるが、現時点では明確な方針は示されていない。Apple Watchの設計思想が「制限の中で最適化された体験」を重視する方向にあることを考えれば、今後もすべての文字盤にこの機能が開放されるとは限らないだろう。

Appleの文字盤戦略とユーザー期待のズレ

Appleは、新しい機能を追加する一方で、一部の文字盤を削除し、利用できるオプションを狭める傾向にある。これは、ブランドとしての統一感を保ちつつ、Apple Watchのデザインを進化させるための意図的な戦略だ。しかし、ユーザーにとっては、好みの文字盤が削除されることや、新機能を利用できる文字盤が限られることに不満を抱く要因となる。

Appleがサードパーティ製の文字盤を認めない背景には、デバイス全体のパフォーマンス管理やデザインの統一性がある。しかし、競合製品と比較すると、ユーザーのカスタマイズの自由度が大きく制限されているのは事実である。特に、スマートウォッチをファッションアイテムとして利用する層にとっては、より自由なカスタマイズが求められている。

また、新たに追加された「Unity Rhythm」文字盤のように、watchOSのアップデートごとに新しいデザインが導入されるものの、既存の文字盤が削除されることも多い。Appleの戦略は、年間を通じて少しずつ新しい機能を提供し、ユーザーの関心を維持することにあると考えられるが、それが必ずしもすべてのユーザーにとって歓迎されるものとは限らない。

今後、watchOSの更新でどのような文字盤が追加・削除されるのかは注目されるポイントである。Appleの方針が変わらない限り、ユーザーは新しい文字盤が追加されるたびに、これまで使用していたデザインが失われる可能性に直面することになるだろう。Appleの文字盤戦略が今後どのように展開されるのか、引き続き動向を見守る必要がある。

Source:9to5Mac