Appleは、AppleCare+の2〜3年分の一括購入オプションを、実店舗およびデバイス上での購入手段として廃止する予定である。この変更は、来週にも実施される見込みだ。これにより、Apple Storeでデバイスを購入する際、AppleCare+を一括で購入することができなくなり、月額または年額のサブスクリプション形式のみが提供されることになる。

また、デバイス上での一括購入オプションも後日廃止される予定であり、購入時にAppleCare+を契約しなかったユーザーにも影響を及ぼす。唯一の例外として、Appleのオンラインストアでデバイス購入時にAppleCare+を追加する場合のみ、一括購入が可能となる見通しだ。

例えば、14インチMacBook ProのAppleCare+は、3年間の一括払いで279ドルで提供されており、年間99.99ドルのサブスクリプション形式と比較して約20ドルの節約となる。この動きは、Appleが将来的にすべてのAppleCare+購入をサブスクリプション形式へ移行する計画の一環と考えられるが、現時点では一括払いのオプションが完全に廃止されるわけではない。

この変更により、ユーザーは購入方法の選択肢が制限される可能性があり、今後の動向に注視が必要である。

AppleCare+の販売戦略転換の背景にある狙いとは

AppleがAppleCare+の複数年一括払いオプションを廃止する背景には、同社のビジネスモデルの変化があると考えられる。これまでAppleは、製品販売を軸とした収益モデルを展開してきたが、近年はサービス部門の拡大に注力している。AppleCare+のサブスクリプション化は、この流れを加速させる施策の一環とみられる。

Appleの決算報告によれば、サービス部門は近年の業績を牽引する重要な収益源となっている。特に、定期的な課金が発生するサブスクリプションサービスは、収益の安定化に貢献しており、Apple MusicやiCloudと同様にAppleCare+もこのカテゴリーに組み込まれつつある。

月額・年額払いへ移行させることで、ユーザーの解約を防ぎながら継続的な収益を確保する狙いがあると考えられる。また、Appleは近年、アップグレードプログラムやデバイスレンタルの拡充を進めており、AppleCare+のサブスクリプション化はこれらの施策と連動する可能性がある。

たとえば、iPhoneのサブスクリプション購入とAppleCare+の継続課金を組み合わせることで、ユーザーがAppleのエコシステムに留まりやすくなる。この変更は、単なる購入方法の変更にとどまらず、Appleの長期的な戦略の一環と見るべきであろう。

ユーザーへの影響とAppleCare+の新たな価値

今回の変更により、Apple Storeの実店舗やデバイス上でAppleCare+の一括払いを利用していたユーザーにとっては、選択肢が制限されることになる。これまで一括払いを選択していた理由として、総額を抑えられる点や、更新手続きを気にせず済むメリットが挙げられる。

サブスクリプション形式への移行によって、支払い総額がわずかに増加する可能性がある点は、多くのユーザーにとって気になるポイントだろう。一方で、サブスクリプション形式の導入により、ユーザーは柔軟な支払いプランを選択できるようになる。

たとえば、短期間のみAppleCare+を利用したい場合や、デバイスの使用期間に応じて契約を調整したい場合には利便性が向上する。特に、製品のリースや短期間での買い替えを検討するユーザーにとっては、サブスクリプション形式の方が合理的な選択肢となる可能性がある。

さらに、AppleCare+のサブスクリプション化は、保証内容のアップデートと連動する可能性もある。Appleは過去にも保証サービスの内容を拡充してきた経緯があり、今後のAppleCare+のサービス内容にも変化が生じることが考えられる。Appleがどのような追加価値を提供するのか、今後の動向が注目される。

Source:9to5Mac