Windows 11の最新アップデート「24H2」では、Dolby Digital(AC-3)コーデックのサポートが削除された。この変更は公式にアナウンスされていないが、一部のユーザーにとって深刻な影響を及ぼしている。特に、新規インストールやプリインストールされたデバイスでは、AC-3コーデックが含まれていない場合がある。
AC-3コーデックは、映画や音楽の多くのコンテンツで使用されており、特にPlexなどのメディアプレイヤーでの再生時に影響が発生することが確認されている。しかし、Redditユーザーらの報告によると、「AnWave 2024 Split Feature Release」というサードパーティーのプログラムを利用することで、AC-3のサポートを復元する方法が発見された。
GitHubで提供されている「Microsoft.Dolby.Digital.Atmos.Pack」をインストールすることで、AC-3対応を再び有効にできるという。また、Plexでの音量低下を回避するためには、オーディオ設定の調整が必要となる。特にステレオスピーカーを使用する場合、デフォルト設定のままでは音量が不安定になるケースがあるため、「Audio Device」設定を手動で調整することが推奨される。
この変更が正式な仕様なのか、一時的なものなのかは不明だが、ユーザー側での対策が求められている。音声再生に問題が発生している場合、上記の手順を試すことで改善が見込まれる。
AC-3コーデックの削除がもたらす影響とその背景

Windows 11 24H2でAC-3(Dolby Digital)コーデックのサポートが削除されたことは、単なる技術的な変更ではなく、特定のユーザー層にとって実用面での影響が大きい。この変更により、特にPlexなどのメディアプレイヤーを使用してAC-3形式のコンテンツを視聴するユーザーにとって、音声が出ない、または適切にデコードされないという問題が発生している。
Microsoftは公式なサポート文書で「多くのデバイスメーカーがAC-3コーデックをプリインストールする」と述べているが、新規にWindows 11 24H2をインストールしたユーザーや、このバージョンがプリインストールされたPCを購入したユーザーは、AC-3のサポートが欠落している可能性がある。そのため、従来どおりに音声を再生できない状況に直面することになる。
この変更の背景には、特許ライセンスの問題があると考えられる。Dolby Digitalの技術はライセンス制であり、Microsoftはコスト削減の一環として、AC-3コーデックを標準機能から外した可能性がある。一方で、多くのメディアプレイヤーがEAC-3(Dolby Digital Plus)には引き続き対応していることから、Microsoftが新しい音声フォーマットへの移行を進める意図があるとも考えられる。
ただし、EAC-3は従来のAC-3とは互換性がないため、AC-3形式のコンテンツを再生するには追加の対応が求められる。
AC-3復元方法と注意点 サードパーティーソフトの活用
Windows 11 24H2でAC-3コーデックが削除されたものの、サードパーティーソフトウェアを利用すれば、従来どおり音声を再生することが可能である。特に注目されているのが、Redditのユーザーによって共有された「AnWave 2024 Split Feature Release」を利用する方法である。
このプログラムはGitHubで入手可能な「Microsoft.Dolby.Digital.Atmos.Pack」を用いてAC-3のデコード機能を復元する。導入手順は比較的シンプルで、まずGitHubからMicrosoft.Dolby.Digital.Atmos.Packをダウンロードし、ZIPファイルを解凍した後にインストーラーを実行する。
その際、AnWaveのポップアップが表示されるが、訪問案内をスキップして進める必要がある。次に、「Microsoft Dolby Digital Plus Encoder and Decoder」をインストールし、デバイスを再起動することで、AC-3形式のコンテンツを再生できるようになる。
ただし、サードパーティーのソフトウェアを利用する際は、信頼性やセキュリティ面でのリスクを考慮する必要がある。特に、非公式なプログラムのダウンロードやインストールを行う際は、提供元の信頼性を確認し、不審なファイルが含まれていないかチェックすることが重要だ。
加えて、将来的なWindowsアップデートによって、この方法が利用できなくなる可能性もあるため、代替手段を検討しておくことも必要だろう。
メディアプレイヤーの設定変更で対応可能なケース
AC-3コーデックが利用できなくなった場合でも、メディアプレイヤーの設定を適切に調整することで、問題を回避できる場合がある。特にPlexでは、デフォルト設定のままだとステレオスピーカー環境で音量が著しく低下することが報告されている。
この問題を解決するには、Plexの設定メニューで「Plex for Windows」→「Player」に移動し、「Show Advanced」を有効にした上で、「Audio Device」の設定を手動で調整する必要がある。特に、出力デバイスが「Auto」のままだと、適切なオーディオチャンネル設定が行われず、一部の音声が再生されないことがあるため、使用するスピーカーに合わせた設定を行うことが推奨される。
また、「Audio Passthrough」オプションを無効にすることで、Plex側で音声を適切にダウンミックスできる可能性が高い。一方、PlexではなくEmbyを使用することで問題を回避できるケースもある。EmbyはWindows版アプリにおいて、ネイティブで多くのコーデックをサポートしており、AC-3音声の再生においても互換性が高い。
このように、環境に応じたメディアプレイヤーの選択が、音声再生の問題を解決する手段の一つとなる。
Source:Neowin