Intelは、AIベースのアップスケーリング技術「XeSS(Xe Super Sampling)」の対応ゲームが150本を超えたと発表した。2022年の登場以来、対応タイトル数は着実に増加しており、特にこの半年で50%の伸びを記録している。

ゲーム業界では、アップスケーリング技術が高解像度・高フレームレートを実現する標準技術として定着しつつある。AMDのFSR(FidelityFX Super Resolution)やNVIDIAのDLSS(Deep Learning Super Sampling)と並び、IntelのXeSSも採用が広がっている。しかし、最新の「XeSS 2.0」に対応するタイトルはわずか2本にとどまる。

AIを活用したフレーム生成などの強化機能を備えたこの技術が十分に活用されるには、さらなる対応ゲームの拡充が求められる。

Intel XeSSの普及が進む中で浮上する課題と今後の展望

IntelのAIアップスケーリング技術「XeSS」は、150本以上のタイトルで採用されるまでに成長を遂げた。しかし、その進展と並行して、最新バージョンであるXeSS 2.0の普及が進まないという課題が浮き彫りになっている。

競合のAMD FSRやNVIDIA DLSSが積極的にアップデートを行い、最新技術の対応を拡大しているのに対し、Intelの対応タイトル数は依然として限られている。特に、AIを活用したフレーム生成などの技術革新が求められるなかで、XeSSがどのように市場競争を勝ち抜いていくのかが注目される。

XeSSの技術的な特長とAMD・NVIDIAとの比較

XeSSは、IntelのAIベースのアップスケーリング技術であり、ゲームの解像度を引き上げることでパフォーマンスと画質のバランスを最適化する仕組みを持つ。この点において、AMDのFSRやNVIDIAのDLSSと比較されることが多いが、それぞれの技術には明確な違いが存在する。

NVIDIA DLSSは、専用のTensorコアを用いたディープラーニング技術を採用し、高精度なフレーム補完やアップスケーリングを実現する。一方、AMD FSRは、より多くのGPUで利用可能なオープンソース技術であり、ハードウェアを問わずに動作することが特徴だ。

XeSSは、DLSSとFSRの中間的な特性を持ち、Intel Arc GPUに最適化されている。特にXeSS 2.0では、AIベースのフレーム生成技術が導入されているが、現時点では対応タイトルが少ないため、その恩恵を受ける機会が限られている。競合技術が対応タイトルの拡充に注力するなかで、IntelがどのようにXeSSの普及を推進するかが重要な課題となる。

XeSS 2.0の遅れが示すゲーム開発環境の変化

XeSS 2.0の対応タイトルがわずか2本にとどまる背景には、ゲーム開発環境の変化が影響していると考えられる。特に、大手ゲームエンジンのUnreal EngineやUnityは、NVIDIA DLSSやAMD FSRの統合を先行させる傾向にあり、Intelの技術が後回しにされるケースが少なくない。

また、ゲーム開発者にとって、新技術の導入にはコストと時間が伴う。NVIDIAやAMDが長年にわたってパートナーシップを築いてきたのに対し、Intelはまだゲーム開発市場において後発の立場にある。これが、XeSS 2.0の普及スピードの遅れにつながっている可能性がある。

しかし、Intelは過去数年でゲーム開発者向けのサポートを強化しており、今後の新作タイトルでXeSS 2.0の対応が拡大する可能性もある。特に、『シヴィライゼーションVII』や『アサシン クリード シャドウズ』のようなビッグタイトルが対応予定であることから、これを契機に技術の認知度が向上し、開発者の採用意欲が高まることが期待される。

アップスケーリング技術の未来とIntelの戦略

アップスケーリング技術は、今後のゲーム業界において不可欠な要素となることが予想される。特に、4K解像度やレイトレーシング技術が一般化するにつれ、パフォーマンス向上のための補助技術としての需要は高まる一方である。

Intelは、XeSSの対応ゲームをさらに増やし、開発者向けのサポートを強化することで市場での競争力を高める必要がある。また、AMDやNVIDIAに対抗するためには、専用ハードウェアに依存しないフレーム生成技術の普及も重要になる。

今後、IntelがXeSS 2.0の対応拡大をどのように進めるのか、そしてアップスケーリング技術の進化がゲーム体験にどのような影響を与えるのかに注目が集まる。

Source:Tom’s Hardware