サムスンが欧州で新たに取得したトリフォールドスマートフォンの特許が公開された。この3カ月間で同社が申請した特許は急増しており、競合ファーウェイの「Mate XTトリフォールド」への対抗策と見られる。特許の内容は、折り畳み角度の調整と複数のカメラ制御に関する技術を含んでおり、異なるアスペクト比のカメラを最適に活用する設計が特徴だ。
また、スマートフォンに限らず、ラップトップやタブレットへの応用も示唆されている。折り畳み式デバイス市場では、アップルも過去に類似の特許を取得しており、競争は一層激化している。サムスンは新技術を武器に、折り畳みスマートフォンの市場で主導権を握る戦略を強めている。
サムスンのトリフォールド特許の技術的特徴 折り畳み構造とカメラ制御の進化
サムスンが欧州で公開した最新の特許は、従来の折り畳みスマートフォンとは異なる新たな機構を示している。特許文書によれば、このトリフォールドデバイスは、3つの異なるパネルが自在に折り畳める構造を持ち、特定の角度でロックされる仕組みが採用されている。
この設計により、異なる形態への変形が可能になり、スマートフォンからタブレットへシームレスに移行できる利便性を備える。さらに、今回の特許では複数のカメラの制御が焦点となっている。特許に示された技術では、異なるアスペクト比を持つカメラを用途に応じて最適化し、折り畳み状態によって撮影のアングルやフレーミングを自動調整する機能が含まれている。
これにより、動画撮影時の視野角の変化や、折り畳みモードによる撮影の制限を最小限に抑える設計が可能となる。これらの進化は、単なるハードウェアの革新にとどまらず、UIやソフトウェアの最適化とも密接に結びついている。特許には、複数のディスプレイを連携させ、ユーザーが折り畳み状態に応じて最も適した画面構成を選択できるシステムも示されている。
従来の折り畳みスマートフォンの課題であった継ぎ目や視認性の問題を解決し、よりスムーズなユーザー体験を提供することが狙いとみられる。
競争が激化する折り畳みスマートフォン市場 ファーウェイやアップルの動向
折り畳みスマートフォン市場は、ここ数年で急速に拡大しており、各社の競争はますます熾烈になっている。2024年9月、ファーウェイが「Mate XTトリフォールド」を発表したことは、業界に大きな衝撃を与えた。このデバイスは、世界初のダブルフォールド式デザインを採用し、従来の折り畳みスマートフォンの概念を超える製品として注目された。
サムスンがこの発表直後から特許申請を加速させたことは、競争の激しさを物語る。一方で、アップルも折り畳みデバイスへの取り組みを進めている。2016年にはトリフォールド型の特許を取得し、さらに2年前には関連特許を追加したことが報じられた。しかし、現時点では市場投入に至っておらず、慎重に技術開発を進めているとみられる。
サムスンやファーウェイが次々と新技術を投入する中で、アップルがどのような戦略を採るのかが今後の焦点となる。このように、各社が次世代スマートフォンの技術競争を繰り広げる中で、折り畳み技術の進化はデバイスの形状や使用方法を根本から変えつつある。
特に、3画面を自在に活用できるトリフォールド型は、スマートフォンの利便性を拡張し、新たな市場を創出する可能性が高い。今後、どのメーカーが先駆者として市場をリードするのか、その動向が注目される。
Source:Patently Apple