Samsungの最新フラッグシップスマートフォン「Galaxy S25+」の分解動画が公開され、内部構造の改良点が明らかになった。外観上は前モデルとの違いが少ないが、バッテリー交換の容易さや冷却機能の強化といった実用的な進化が確認されている。
Samsungは、新たに大型の粘着タブを採用することで、バッテリーの取り外しをより簡単にした。また、完全に本体を分解することなくディスプレイの交換が可能となった点も、修理性の向上を示す。もっとも、iPhone 16と比較すると修理プロセスは依然として複雑であり、利便性の点では劣る部分もある。
さらに、Snapdragon 8 Eliteの冷却を強化するため、ヒートシンクが大幅に大型化されていることが分かった。高負荷時の発熱を抑えることで、安定したパフォーマンスを維持する狙いとみられる。PBKreviewsは、Galaxy S25+の修理のしやすさを10点満点中9点と評価した。
Samsungは公式に純正パーツを提供しており、消費者が修理しやすい環境を整えている。一方で、Fairphone 5のような修理性に特化したモデルと比較すると、さらなる改良の余地があると言える。
バッテリー交換の容易化と修理性向上 Samsungの戦略的転換点
SamsungはGalaxy S25+において、バッテリー交換のしやすさを大幅に改善した。新たに採用された大型の粘着タブにより、バッテリーの取り外しが従来モデルよりも容易になったことが分解動画で明らかになった。これまで、Samsungのフラッグシップモデルは密閉構造を重視しており、ユーザー自身がバッテリーを交換するのは困難であった。
しかし、近年の環境規制強化や消費者の修理ニーズの高まりを受け、方針転換が進んでいると考えられる。この変化の背景には、欧州連合(EU)などの規制が影響している。EUでは、電子機器の修理しやすさを向上させる「修理する権利(Right to Repair)」の動きが活発化しており、メーカーに対してバッテリー交換の簡素化を求める流れが強まっている。
Samsungがこの方針に対応することで、今後の市場競争力を高める狙いがあると見られる。また、修理のしやすさを評価するPBKreviewsのスコアでも9点という高評価を獲得しており、同社が修理性向上に本格的に取り組み始めたことが裏付けられた。
しかし、AppleのiPhone 16の修理プロセスと比較すると、依然としてSamsungのスマートフォンは分解工程が多く、修理コストや作業時間の面で改善の余地がある。Samsungが今後どこまで修理性向上を進めるのか、引き続き注目される。
冷却性能の強化 Snapdragon 8 Eliteの発熱対策に向けた新設計
Galaxy S25+では、SoC(システム・オン・チップ)の冷却性能を強化するため、大型のヒートシンクが搭載された。これにより、高負荷時のパフォーマンス維持が期待される。分解動画によると、このヒートシンクは前モデルと比較して顕著に拡大されており、Snapdragon 8 Eliteの発熱問題に対処するための設計変更が行われたことが分かる。
Snapdragon 8 Eliteは、最新のプレミアムスマートフォン向けチップセットであり、処理性能の向上が図られている。しかし、その高い性能と引き換えに発熱量も増大しており、これがサーマルスロットリング(熱による性能抑制)の原因となるケースがある。
そのため、Samsungは従来のベイパーチャンバー冷却構造を改良し、ヒートシンクの大型化による冷却効率の向上を目指したと考えられる。このような対策は、ゲーミング用途や長時間の高負荷動作において特に重要である。Samsungが今回のモデルで冷却性能を重視した背景には、競合メーカーの動向も影響している可能性がある。
たとえば、ASUSのROG PhoneシリーズやRedMagicのゲーミングスマートフォンでは、積極的に冷却技術が導入されており、ハードウェア面での差別化が図られている。Galaxy S25+のヒートシンク拡大は、Samsungがプレミアムモデルとしての競争力を維持するための施策の一環とみることができる。
それでも、スマートフォンの薄型化と発熱対策の両立には依然として課題が残る。ヒートシンクを大型化することで冷却効率は向上するが、その分、本体サイズや重量への影響も避けられない。今後、Samsungがどのようにバランスを取るのか、次世代モデルの設計にも関心が集まる。
修理性向上の流れと消費者の選択肢 競争環境の変化
SamsungがGalaxy S25+で修理性を向上させたことは、スマートフォン市場における新たなトレンドを示唆している。特に、環境規制の強化やユーザーの意識変化が、メーカーの設計方針に影響を及ぼしていることは明白である。Samsungは純正パーツの提供を積極的に行っており、公式ルートで修理できる環境を整えているが、これが業界全体の標準となるかは未知数である。
一方で、Fairphone 5のような完全モジュール設計のスマートフォンも存在し、消費者にとって修理性の選択肢が広がっている。Fairphoneは、工具なしでのバッテリー交換やモジュールごとの部品交換を可能にするなど、修理しやすさに特化した設計を採用している。これに対し、Samsungのアプローチは修理しやすさと密閉性のバランスをとる方向にある。
このような市場の変化は、長期的に見れば製品のライフサイクルを延ばし、電子廃棄物の削減にも貢献する可能性がある。しかし、修理性向上が消費者の購買行動にどれほど影響を与えるかは、まだ判断が難しい。価格やスペックと並んで「修理しやすさ」が主要な購入基準となるかどうか、今後の市場動向が注目される。
Source:NotebookCheck