ブロックチェーン企業リップルは、2月に最大8億ドル相当のXRPを売却する可能性に備えている。オンチェーンデータによれば、同社は毎月10億XRPをアンロックし、一部を売却のために確保、残りを再ロックする手法を継続している。今回、リップルは1億XRPをアンロックし、そのうち3億XRPを準備金として確保した。これは市場価格で約7億9500万ドルに相当する。
リップルの売却戦略は過去にも見られたものであり、1月にも同様に3億XRPを確保し売却したが、市場はこの売り圧力を吸収し、XRP価格は安定を維持した。現在のXRP価格は2.65ドルで、年初から24.36%の上昇を記録している。市場データによると、リップルの売却XRPは中央集権型取引所へ送金され、最終的に市場で流通することが多い。しかし、これまでの動向から判断すると、今回の売却が直ちに価格を押し下げるとは限らない。
リップルはXRPの最大保有者として、仮想通貨市場での影響力を持つ。2012年から続く継続的な供給増加は市場の課題であるものの、XRPの需要拡大が価格維持の鍵となる。今回の売却がどの程度市場に影響を与えるのか、今後の動向が注目される。
リップルのエスクロー管理とXRP供給の仕組み
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リップルは、創設時に保有していたXRPの大部分を市場に徐々に供給するため、エスクロー口座を活用している。同社は毎月10億XRPをアンロックするが、その全てが直ちに市場に放出されるわけではない。通常、一定量を売却用に確保し、残りを再ロックすることで、供給を管理している。
今回、リップルは「Ripple (26)」および「Ripple (27)」のアカウントから合計10億XRPをアンロックしたが、これらのトークンはまだ市場に流通していない。代わりに、過去にアンロックされた「Ripple (24)」および「Ripple (25)」のXRPが利用された。このうち2億XRPと5億XRPがエスクロー口座「Ripple (12)」および「Ripple (13)」へ再ロックされ、2028年第1四半期に満期を迎える予定である。
このように、リップルは売却を計画的に行いながらも、長期的な供給管理を維持している。市場での突然の供給増加を抑えることで、XRPの価格変動リスクを低減する狙いがあると考えられる。しかし、売却のタイミングや規模によっては、短期的な価格変動の要因となる可能性があるため、投資家は今後の動向に注意を払う必要がある。
XRP売却の市場動向と取引所への影響
リップルが確保したXRPは、オンチェーンデータによると最終的に中央集権型取引所の入金アドレスへ送金されるケースが多い。これは、取引所を介して市場で売却されている可能性を示唆している。1月には3億XRPが売却されたが、XRP価格は安定を維持し、年初から24.36%の上昇を記録している。
過去の動向を分析すると、市場はリップルによるXRP売却を一定の範囲で吸収していることがわかる。リップルの売却量は年々減少傾向にあり、2024年の月平均2億XRPという数値は、以前と比較すると相対的に抑えられている。これにより、XRPの売り圧力は一定程度軽減されていると考えられる。
しかし、大規模な売却が短期間で行われる場合、一時的な供給過剰となり、市場価格の下落要因となる可能性がある。特に流動性の低い時間帯や、市場全体のセンチメントが弱い場合は、価格のボラティリティが高まる傾向にある。そのため、今後リップルがどのような売却戦略をとるのかは、市場の需給バランスを左右する重要な要素となる。
XRP価格の持続性と市場における今後の展望
リップルの売却戦略は、XRP市場における供給動向を決定づける要因の一つであるが、長期的な価格動向は需給バランスに依存する。特にXRPのユースケース拡大が進めば、市場での需要が増加し、売却による供給増加の影響を抑えることができる可能性がある。
XRPは国際送金や決済ソリューションにおいて利用される機会が増えており、企業や金融機関との提携が進めば流通量の増加にもつながる。加えて、XRP Ledgerの技術進化が進めば、新たな用途の開発が期待され、市場での評価が高まることも考えられる。
一方で、規制環境の変化や競争の激化はリスク要因となる。特に米国における証券問題や、他のブロックチェーンプロジェクトとの競争がXRPの市場ポジションに影響を与える可能性がある。リップルによるXRP供給が続く中、市場がこの売り圧力をどのように吸収し、価格がどのように推移するのか、今後の動向が注視される。
Source:Finbold