デジタル決済大手のPayPal(ティッカー:PYPL)の株価は、第4四半期決算発表後に10%急落したものの、堅調な業績と2025年に向けた前向きなガイダンスが示されている。売上高は83.7億ドルで予想を上回り、EPSや総決済額も好調だった。しかし、Apple Payとの競争激化によるブランド決済の成長鈍化が市場の懸念材料となり、株価下落を招いた。

この状況は、ウォーレン・バフェットの「市場が恐れるときこそ貪欲であれ」という格言の実践機会を浮き彫りにする。現在の株価バリュエーションは過去5年平均や業界平均を大きく下回り、割安感が強い。ウォール街のアナリストは過半数が「買い」と評価しており、今後の成長期待が依然として高い。市場の過剰反応を逆手に取ることが、長期的な投資成功への鍵となる。

PayPalの決算が示す市場の不安と成長の可能性

PayPalは第4四半期決算で堅調な業績を発表したにもかかわらず、株価は10%下落した。この下落の要因として、市場がブランド決済の成長鈍化に対して過剰に反応したことが挙げられる。Apple Payをはじめとする競争の激化が懸念される中、PayPalは決済市場において依然として強い存在感を持っている。

決算の詳細を見ると、売上高は83.7億ドル、EPSは1.12ドル、総決済額は4,378億ドルと、いずれも市場予想を上回った。しかし、ブランド決済の成長率が前年比6%にとどまったことが失望を招いた。Mizuhoのアナリスト、ダン・ドレブ氏はApple Payの市場拡大がPayPalのシェアを奪っていると指摘している。

一方で、PayPalは自社株買いを積極的に行い、150億ドル規模のプログラムを発表した。2025年には約60億ドルの自社株買いが予定されており、企業の収益性向上に向けた強い意志が感じられる。このような動きが株価に与える影響は中長期的に注視する必要がある。

割安なバリュエーションと投資家にとっての選択肢

決算発表後の株価下落により、PayPalの評価は大きく引き下げられた。しかし、バリュエーションの観点から見ると、現在の株価は過去5年間の平均よりも約50%低い水準にある。また、業界平均と比較しても28%割安であり、長期投資の視点からは魅力的な水準といえる。

特にフリーキャッシュフローの見通しが明るい。2025年には60億〜70億ドルのキャッシュフローが見込まれ、1株あたり6〜7ドルとなる。収益の安定性が高いことを考慮すると、市場が現在の株価を過度に低く評価している可能性がある。

ウォール街のアナリストの見解も好意的で、27人のうち15人が「買い」、12人が「ホールド」と評価しており、「売り」の意見は存在しない。平均目標株価は97ドルで、現在の水準から約23%の上昇余地があると見られている。この状況を踏まえると、短期的な市場の不安よりも、長期的な成長ポテンシャルに着目することが求められる。

ウォーレン・バフェットの哲学が示唆する投資戦略

PayPalの株価急落は、ウォーレン・バフェットの投資哲学が持つ意味を再認識させるものとなった。「他人が恐れるときに貪欲であれ」という格言は、まさに今回の状況を示唆している。市場の過剰反応による株価の下落は、慎重な投資家にとって絶好の機会を提供する。

バフェットは一貫して、短期的な市場の動揺よりも企業の本質的な価値に注目する姿勢を貫いている。今回の決算においても、PayPalの業績は堅調であり、収益基盤は健全であるにもかかわらず、市場はブランド決済の成長鈍化という一要素のみに反応した。これは典型的な短期的な市場心理の影響であり、長期的な視点では魅力的な買い場となりうる。

投資家にとって重要なのは、成長が期待できる企業の価値が市場によって過小評価されたときに適切な判断を下すことだ。PayPalの現在の評価水準を考慮すれば、長期的な視点でポートフォリオに組み込むことは理にかなった選択肢となる可能性が高い。

Source:TipRanks