シカゴ・オプション取引所(Cboe)は、WisdomTree、Bitwise、21Shares、Canary Capitalと協力し、XRP(リップル)の現物ETFを米国証券取引委員会(SEC)に申請した。これらの申請は、SECが2024年1月にビットコイン現物ETF、同年夏にイーサリアム現物ETFを承認した流れを受けたものである。

しかし、XRPにはビットコインやイーサリアムのような確立された先物市場が存在せず、規制上の不確実性も残っている。SECは現在、リップル社との訴訟において、XRPの販売が未登録証券取引に該当するかどうかを巡り控訴中である。これらの状況下で、Cboeと各資産運用会社は、XRP現物ETFの上場を目指している。

CboeのXRP ETF申請が意味するものとは

Cboeは、WisdomTreeやBitwiseなどの資産運用会社と共に、XRPの現物ETFを米国証券取引委員会(SEC)に申請した。これは、ビットコインおよびイーサリアムの現物ETFがすでに承認され、市場で取引されている状況を踏まえた動きである。しかし、XRPにはCME先物市場が存在せず、規制環境も不透明なままとなっている。

申請された4つのXRP ETFは、それぞれ異なる運用戦略を持つ可能性があるが、いずれもXRPの現物取引を基盤とし、従来の金融市場と暗号資産市場の橋渡しを目指すものとなる。しかし、SECはこれまで暗号通貨の規制に慎重な姿勢を取り続けており、特にXRPに関してはリップル社との法廷闘争が続いていることから、承認に向けたハードルは決して低くない。

さらに、市場全体の動向もXRP ETFの将来に影響を与える可能性がある。直近の暗号資産市場の冷え込みにより、XRPを含む主要アルトコインは大幅に下落している。このような市場状況の中でETFが承認された場合、価格への影響や流動性の確保が課題となる。Cboeの申請は、規制の不確実性を抱えつつも、暗号資産の伝統的金融市場への統合を推し進める試みといえるだろう。

SECのリップル控訴がXRP ETFの行方を左右する可能性

SECとリップル社の法的対立は、XRPのETF承認において極めて重要な要素となる。SECは、XRPが証券に該当すると主張し、リップル社の販売手法が米国証券法に違反しているとする訴訟を続けている。この裁判では、リップル社が機関投資家向けに行ったXRPの販売が証券取引に該当するかどうかが争点となっている。

SECは、従来の「ハウイーテスト」を用いてXRPが投資契約であることを証明しようとしており、2024年に入ってからも控訴を継続している。一方で、昨年の判決では、リップル社が一般投資家に販売したXRPは証券に該当しないとの判断が下されており、SEC側の主張は一部退けられた。この判決が確定すれば、XRPの規制リスクは緩和される可能性があるが、控訴審の行方次第では、ETF承認プロセスが長引く懸念もある。

この状況を受け、XRP ETFの申請者たちは、リスクを軽減するために市場監視体制を強化し、取引の透明性を確保するための措置を講じている。例えば、WisdomTreeは、XRPをリップル社から直接購入せず、既存の取引市場から調達する方法を採用すると申請書内で明言している。このような対応策が、SECの懸念を払拭できるかどうかが、XRP ETFの承認に向けた鍵となるだろう。

暗号市場全体の冷え込みとXRP価格の変動

XRP ETFの承認を巡る動きとは別に、暗号市場全体の価格変動もXRPの今後に影響を与える要素となっている。ビットコインやイーサリアムが急落する中、XRPもまた過去数週間で25%以上下落しており、市場全体の弱気トレンドに引きずられる形となっている。特に、ドージコインやカルダノとともにXRPは時価総額上位の暗号資産の中でも大きな下落率を記録している。

この背景には、昨年末に発生した暗号市場の急騰の反動や、米国金融政策の不透明感が影響している可能性がある。暗号通貨市場は、これまで金融政策や投資家心理に敏感に反応しており、今回の市場低迷もその流れを反映している。一方で、SECの規制方針やETFの承認プロセスが進展すれば、XRPをはじめとする暗号資産の市場環境が改善する可能性もある。

現時点では、XRPの価格動向は依然として不安定であり、ETFの承認可否がさらなる価格変動の引き金になることは避けられない。投資家にとっては、今後のSECの判断と市場の流れを慎重に見極めることが重要となるだろう。

Source:Decrypt