「ビッグショート」で名を馳せたマイケル・バーリが注目するアリババ(NYSE: BABA)の株価が、2025年に向けて新たな局面を迎えている。年初来で22%の上昇を見せ、最新取引では103.51ドルを記録。過去1週間だけで約7%上昇し、伝説的トレーダーであるピーター・ブラントは今後数か月以内に株価が200ドルに達する可能性を指摘している。
ブラントは、BABAの週足チャートに見られる上昇三角形パターンを根拠に、約95%の上昇余地を予測。特に117.82ドルの重要な抵抗線を突破すれば、急激な株価上昇が見込まれると分析する。ただし、決算発表シーズンの影響には注意が必要である。
一方、アリババは堅調な成長基調を維持しており、アナリストは2024年第4四半期の売上高を前年同期比7.06%増と予想。ウォール街でも「強気の買い」評価が維持され、BABA株は再び投資家の関心を集めている。
アリババ株の上昇予測を支えるテクニカル分析の要点

ピーター・ブラントが示唆するアリババ株の急騰には、明確なテクニカル分析の根拠がある。特に注目されるのは週足チャートに形成されている「上昇三角形」パターンであり、このパターンは強気相場の継続を示唆する典型的な形状である。BABA株は長らく117.82ドルの抵抗線を突破できずにいたが、ここを明確に超えた場合、価格上昇の加速が見込まれる。
加えて、過去数年間のアリババの株価推移を振り返ると、大きな下落の後に反発を見せる局面が多かった。過去最高値から約70%の下落を経た現在、投資家の間では「割安感」が広がっている。こうした心理が買い圧力を強め、テクニカル的なブレイクアウトを後押しする可能性が高い。
ただし、市場の楽観論とは裏腹に、アリババの業績動向やマクロ環境は慎重に見極める必要がある。決算発表や中国政府の規制動向が予想外の影響を与えた場合、テクニカル的な期待値だけでは十分ではない。短期的なトレンドに乗るだけでなく、ファンダメンタルズを考慮した戦略が求められる。
競争環境と事業構造の変化がもたらす影響
アリババの成長戦略は、単なるEコマース事業の拡大に留まらない。TmallやTaobaoといったプラットフォームが中国国内で大きな影響力を持つ一方で、Cainiao(物流)、クラウドコンピューティング、海外Eコマースなどの多角化も進めている。特にクラウド部門は、中国国内市場のみならず東南アジア市場でも急成長を遂げており、長期的な収益源として注目される。
一方で、競争環境の激化も見逃せない。国内では京東(JD.com)や拼多多(Pinduoduo)などのライバル企業が台頭し、価格競争が激化している。加えて、米国との対立や規制強化の影響で、アリババの海外市場戦略には不透明感が残る。こうした環境下で、企業としての適応力が試される局面が続く。
こうした競争環境の変化は、株価に二面的な影響を与える可能性がある。成長分野の進展によって新たな収益機会が生まれる一方で、価格競争や規制リスクが企業価値を抑制する要因となる。したがって、アリババ株を評価する際には、単なる短期的な業績指標ではなく、事業戦略の長期的な持続可能性を見極める必要がある。
ウォール街の評価と市場心理のギャップ
ウォール街のアナリストは、BABA株について「強気の買い」を維持しているが、目標株価の設定にはバラつきがある。例えば、シティのアリシア・ヤップは138ドルの目標株価を掲げる一方で、バークレイズのジオン・シャオは130ドルに引き下げるなど、評価に微妙な差異がある。これは、企業の成長ポテンシャルを評価しながらも、短期的な利益率や市場リスクを慎重に見極めていることを示している。
市場心理の観点では、アリババ株は依然として過去の規制リスクや景気減速への懸念が尾を引いている。投資家の間では「割安」と見る向きもあるが、一方で「リスクが大きい」との慎重な声も根強い。こうしたギャップが株価のボラティリティを生み、投資判断を難しくしている。
結果として、アリババ株の投資判断は、短期的なテクニカル要因だけでなく、マクロ経済や競争環境を総合的に考慮する必要がある。ウォール街の評価が強気であっても、市場の不確実性が高い状況では、慎重なリスク管理が求められる。
Source: Finbold