バンク・オブ・アメリカ(BofA)は、今後株式分割の可能性が高い銘柄として、ネットフリックス(NFLX)、メタ・プラットフォームズ(META)、イーライリリー(LLY)の3社を挙げた。BofA証券のジャレッド・ウッドワード氏によると、株式分割は企業価値を直接変えるものではないが、過去のデータでは分割後の株価が市場平均を上回る傾向が見られるという。
S&P 500構成銘柄の14%が1株500ドル超となっており、流動性向上や投資家の参入障壁低下を目的に分割が進む可能性がある。BofAの調査では、株式分割後の株価上昇率は1年間で20~25%に達することが多く、これは市場平均の12%を大きく超える。
今回選ばれた3社は、時価総額の大きさや成長戦略が評価されている。ネットフリックスは広告付きプラン導入により収益源を拡大し、メタはAI技術への積極投資が市場の期待を集める。イーライリリーは糖尿病や肥満治療薬の販売好調に加え、AIを活用した新薬開発に取り組んでおり、株式分割による今後の株価動向が注目される。
株式分割がもたらす投資家心理への影響と市場の反応

株式分割は企業の本質的な価値を変えるものではないが、投資家心理に与える影響は無視できない。分割により1株あたりの価格が低下することで、特に個人投資家の参入障壁が下がり、取引量の増加が期待される。この現象は流動性の向上を通じて株価の安定化にも寄与する。また、株価が手頃な価格帯に設定されることで、心理的に「買いやすい」という印象を与える効果もある。
実際、バンク・オブ・アメリカのデータによれば、過去の株式分割後1年間で株価が20~25%上昇する傾向が確認されており、これは市場平均を大きく上回る。このパフォーマンスの向上は、投資家のポジティブな期待感と、新規投資家層の参入による需給バランスの変化が要因と考えられる。
しかし、全ての分割が成功するわけではない。企業の成長性や財務健全性が不十分な場合、短期的な上昇後に反落するリスクも存在する。そのため、投資家は分割そのものではなく、企業のファンダメンタルズや成長戦略を総合的に評価することが重要である。
ネットフリックス、メタ、イーライリリーが分割候補となる背景
バンク・オブ・アメリカが注目するネットフリックス、メタ・プラットフォームズ、イーライリリーはいずれも高成長を遂げ、時価総額の大きさと株価の高さが分割候補としての根拠となっている。ネットフリックスは、広告付きプランの導入により新規ユーザー層を獲得し、収益基盤を強化している。2024年第4四半期には売上高が前年比16.1%増となり、フリーキャッシュフローも14億ドルに達していることが好調ぶりを示す。
メタ・プラットフォームズは、SNS事業の安定収益に加え、AI技術への積極的な投資が評価されている。特に生成AI「Llama 4」の開発は新たな成長ドライバーとされ、2024年第4四半期の売上高は前年比20.6%増を記録。さらに、300億ドル規模の自社株買いと配当による株主還元策も、投資家心理の安定に寄与している。
イーライリリーは、糖尿病治療薬「Mounjaro」や肥満症治療薬「Zepbound」の成功が成長の原動力である。加えて、AI技術を活用した新薬開発が進展しており、今後の収益拡大が期待される。この3社は、いずれも高株価を維持しているため、株式分割による流動性向上の必要性が高まっている。
株式分割と企業戦略の相関性に見る今後の展望
株式分割は単なる技術的な措置ではなく、企業の戦略的意思決定の一環として位置付けられる場合が多い。過去の事例からも、分割が企業の成長ステージや株主構成の変化に合わせたものであることが見受けられる。例えば、成長著しい企業は分割を通じて投資家層を拡大し、より多様な資本調達の可能性を探ることができる。
ネットフリックスの場合、グローバルな市場拡大と広告収益の多角化が進んでおり、分割は新興市場での投資家層拡大を意図している可能性がある。メタ・プラットフォームズは、メタバース事業やAIへの投資により事業領域を拡大しており、株式分割による資本市場での柔軟性向上が成長戦略と整合する。一方、イーライリリーは医薬品開発の成功により収益性が向上し、分割を通じてより幅広い投資家へのアピールを強化する狙いが考えられる。
今後、これらの企業が実際に株式分割を実施するかどうかは未確定だが、市場はその可能性を織り込んで動いている。投資家は、分割の発表が成長戦略の一部としてどのように位置付けられているかを慎重に見極める必要がある。
Source:Barchart