025年初頭、テクノロジー市場は中国新興企業「DeepSeek」の台頭を背景に静かな滑り出しとなった。しかし、最近の市場調整により、成長著しいAIセクターにおいて割安な有力銘柄を見極める好機が到来している。中でも、圧倒的なAIチップ市場のシェアを誇るNvidiaと、クラウド事業AWSを軸にAI技術の深化を進めるAmazonは、アナリストから高い評価を受けている。

Nvidiaは「Blackwell」GPUアーキテクチャを武器にAIトレーニング速度を飛躍的に向上させ、次世代プラットフォーム「Rubin」でさらなる成長を目指す。一方、AmazonはAWSの利益率向上と新たなAIサービス「Amazon Bedrock」や「Rufus」で市場拡大を加速中である。両社は共に強気の投資対象とされ、今後の市場動向を左右する存在となっている。

AI半導体市場を独占するNvidiaの戦略と競争環境

NvidiaはAI市場において圧倒的なシェアを誇り、GPUを基盤としたAIチップ市場の90%を掌握している。同社の最新アーキテクチャ「Blackwell」は、前世代の「Hopper」と比較してAIトレーニング速度を最大2.5倍、推論速度を15倍向上させるという。こうした技術革新は、Amazon、Microsoft、Google、Metaといった主要クラウドプロバイダーのデータセンター投資拡大と連動し、今後もNvidiaの成長を後押しする要因となるだろう。

さらに、Nvidiaの次世代プラットフォーム「Rubin」は2025～2026年に登場予定であり、AIコンピューティングの更なる進化が期待される。同社の強みは、クラウドプロバイダーとの深い統合関係にある。クラウドベースのGPUインスタンスの93%がNvidiaのハードウェアで稼働していることからも、その影響力の大きさがうかがえる。ただし、競争環境も変化しつつあり、AMDやIntelが独自のAIチップを投入し、シェア争いが激化する可能性は否めない。

また、中国のAI半導体企業が台頭する中、米国の規制強化による影響も考慮する必要がある。政府の対中輸出規制が長期化すれば、Nvidiaの市場戦略にも修正を迫られる可能性がある。こうした外部要因をどのように克服し、技術革新を継続するかが、今後の成長を左右する鍵となるだろう。

Amazonが進めるAI事業の多角化と成長の展望

AmazonはAI技術の活用を事業戦略の中心に据え、クラウド事業AWSを軸にした成長を加速させている。AWSの営業利益率は2024年に37%まで上昇し、売上高は288億ドルに達した。こうした収益の改善は、AI技術の統合による高付加価値サービスの拡充が背景にあると考えられる。特に、生成AIを活用した「Amazon Bedrock」や、ショッピング体験を革新するAIアシスタント「Rufus」の導入が、市場での競争優位性を高めている。

AIによる効率化は、Amazonのeコマース事業にも波及している。パーソナライズドレコメンデーションや倉庫の自動化技術は、業務コスト削減と売上向上を両立させる重要な要素である。また、企業向けの画像・動画生成AI「Amazon Nova」の展開は、コンテンツ制作分野での新たな市場開拓を視野に入れた動きといえる。

しかし、AmazonのAI事業には課題も存在する。AWSの成長が鈍化すれば、全体の収益構造にも影響を与える可能性がある。また、MicrosoftのAzureやGoogle Cloudとの競争激化により、価格競争が発生すれば利益率の低下を招く恐れもある。そのため、AI技術を活用した新たな収益源の確立が、今後の持続的成長の鍵となるだろう。

AIセクターの市場環境と今後の投資判断

AI技術の進展は、データセンターやクラウドサービスの需要拡大を牽引し、NvidiaやAmazonの成長を促している。特に、モルガン・スタンレーの予測によれば、大手クラウドプロバイダーのデータセンター投資は前年比50%増の2000億ドルから3000億ドルへ拡大する見込みであり、これはAIハードウェア市場の成長と直結する要因となる。

Nvidiaは圧倒的な市場シェアを持つが、競争環境の変化や規制の影響を受ける可能性がある。一方、AmazonはAWSを中心にしたAI活用を推進しながらも、クラウド市場での競争の激化という課題に直面している。このため、短期的には市場の成長に乗じた投資妙味がある一方で、中長期的には各社の技術革新や競争戦略が重要な判断材料となる。

アナリストの評価では、NvidiaとAmazonは共に「強気買い」とされており、目標株価も現在の水準から上昇余地があると見られている。ただし、AI市場の成長性に対する期待が過熱しすぎた場合、調整局面が訪れる可能性もあるため、市場の動向を注視しながら慎重な投資判断が求められるだろう。

Source：Barchart.com