過去52週間で約9%の上昇にとどまったUber Technologies(UBER)の株価は、S&P 500指数のパフォーマンスを下回る結果となった。しかし、過去2年間で株価は125%の上昇を遂げ、12月の安値からは30%以上反発している。この成長の波に乗る著名投資家が、パーシング・スクエア・キャピタルを率いるビル・アックマンだ。
アックマンは2025年1月からUber株の取得を開始し、現在3,000万株以上、総額23億ドル相当を保有している。彼はUberを「世界で最も優れた経営と高品質な企業」の一つと評価し、長期保有を前提とする戦略を取っている。この評価は、ライドシェアとフードデリバリーの両事業で堅調な業績を維持するUberのファンダメンタルズに裏付けられている。
自己資本利益率(ROE)62%以上、粗利益率22%以上という指標は、成長志向の投資家にとって魅力的な要素であり、アナリストも今後12〜18カ月で株価の15%以上の上昇を予想している。ビル・アックマンの大胆な投資は、Uberの成長ポテンシャルへの確信を示すものといえる。
Uberの成長戦略とビル・アックマンの投資判断
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Uber Technologies(UBER)は、ライドシェアとフードデリバリーの両事業で堅調な業績を維持している。特に、過去5年間で売上が230%以上増加し、自己資本利益率(ROE)62%以上、粗利益率22%以上を記録するなど、財務面での強さが際立っている。この成長の背景には、戦略的な事業展開と市場環境の変化がある。
Uberは近年、コア事業の収益性向上に注力してきた。ドライバーのインセンティブ制度を最適化し、プラットフォーム上の取引コストを抑えることで利益率を向上させている。また、フードデリバリー事業「Uber Eats」の拡大とともに、広告事業の成長が収益の新たな柱となっている。企業向けの配車サービスや物流事業の拡大も収益基盤を強化しており、これがビル・アックマンの長期投資の決め手の一つとなったと考えられる。
ただし、Uberの成長が今後も続くかどうかは慎重に見極める必要がある。競合のLyftやDoorDashの動向、各国の規制環境の変化、ドライバー不足といったリスク要因は無視できない。Uberは今後も市場適応力を発揮しながら、収益性のさらなる向上を目指す必要がある。
Uberのバリュエーションは妥当か
Uberの現在の株価水準が適正かどうかは、投資家にとって重要な論点である。現在のPEGレシオは1倍未満、予想PER(株価収益率)は約30倍とされており、一般的な成長株の水準と比較すると適正、あるいは割安と見る向きもある。
Uberの株価は過去52週間で約9%の上昇にとどまり、S&P 500指数のパフォーマンスを下回った。しかし、長期的な視点では過去2年間で125%の上昇を記録しており、依然として成長の余地があると考えられる。市場では、同社が今後12〜18カ月の間にさらに15%以上の上昇余地があるとの見方もあり、アナリストのコンセンサス評価は「強い買い」となっている。
一方で、ライドシェア市場は規制強化の影響を受けやすく、ドライバーの報酬や法的枠組みの変更によるコスト上昇が利益を圧迫する可能性がある。競争環境も激化しており、Lyftや地域ごとの新興企業との価格競争がUberの成長を制限する要因となり得る。Uberの株価が割安に見えるかどうかは、こうしたリスクをどのように評価するかによって異なるため、慎重な分析が求められる。
ビル・アックマンの投資スタンスとUberの将来展望
ビル・アックマンがUber株を取得した背景には、同社の経営陣への信頼と、今後の成長可能性がある。彼は「世界で最も優れた経営と高品質な企業の一つ」としてUberを評価し、長期保有のスタンスを明確にしている。これは、彼が過去に手掛けた投資戦略とも一致している。
アックマンはこれまで、株価が市場に過小評価されていると判断した企業に積極的に投資し、企業価値を高めることに成功してきた。Pershing Square Capitalの投資先には、ChipotleやHiltonなど、過去に業績回復を遂げた企業が名を連ねている。今回のUberへの投資も、同様の長期的な視点に基づくものであり、短期的な株価変動よりも企業のファンダメンタルズを重視している。
Uberの今後の成長を占う上で重要なのは、競争環境と規制対応の行方である。各国の政府はライドシェア企業に対し、ドライバーの雇用形態や報酬体系の見直しを求める動きを強めている。こうした変化に対応しながら利益率を維持できるかが、同社の中長期的な成功を左右するだろう。Uberが成長の勢いを維持し、投資家の期待に応えることができるか、今後の動向に注目が集まる。
Source:Barchart.com