モルガン・スタンレーのアナリスト、エリック・ウッドリングは、Appleの次期モデルiPhone SE 4が市場で好調なスタートを切ると予測している。2025年度の出荷台数は1500万台と見込まれ、これがApple株の強気評価維持の根拠となっている。

6.1インチAMOLEDディスプレイとA18 Bionicチップの搭載に加え、499ドルという競争力のある価格設定が消費者の購買意欲を刺激する見通しだ。米国市場ではiPhone 15 ProやPro Maxの販売が堅調に推移し、AppleのAI機能「Apple Intelligence」も一定の役割を果たしているとされる。

前年同期比で2.7％の販売減少にとどまる一方、国際市場の減少率は6.3％と大きく、Appleの地域戦略の巧妙さが浮き彫りとなった。こうした動向を踏まえ、Apple株の目標株価は275ドルと設定されており、依然として成長余地があると見られている。

iPhone SE 4のハードウェア強化と価格設定が示すAppleの戦略的意図

新型iPhone SE 4は、6.1インチAMOLEDディスプレイとA18 Bionicチップの搭載により、従来モデルから大幅な性能向上を実現している。これにより、ミッドレンジ市場においてもハイエンドモデルに匹敵するパフォーマンスを提供し、幅広いユーザー層へのアプローチを可能にする。

特筆すべきは、これほどのスペック強化を施しながらも499ドルという価格設定を維持している点である。この価格は、最新技術を求める消費者にとってコストパフォーマンスの高い選択肢となるだけでなく、競合他社に対する明確な優位性を確保するものだ。

この戦略は、単なるスペック競争を超えたAppleの意図を反映していると考えられる。特に新興市場や価格感度の高い地域において、従来のプレミアムブランドのイメージを保ちながらも市場シェアの拡大を狙う動きが見て取れる。

iPhone SE 4の投入により、Appleは高価格帯モデルとミッドレンジモデルの両方で収益源を多様化し、安定した成長基盤を築くことを目指していると言える。

米国市場での堅調なiPhone販売が示す地域別需要の変化

IDCのデータによれば、iPhone 15 ProおよびPro Maxの販売は米国市場で堅調に推移しており、前年同期比でわずか2.7%の減少にとどまっている。これに対し、国際市場では6.3%の減少が記録されており、地域ごとの需要の違いが顕著に表れている。

特に米国市場における販売の安定は、AppleのAI機能「Apple Intelligence」の導入や、旧モデルの割引販売が奏功した結果とされている。割引されたiPhone 15 ProやPro Maxは、依然として高性能を維持しながら価格競争力を持つため、消費者にとって魅力的な選択肢となっている。

この動向は、Appleが米国内市場でのブランドロイヤルティと技術革新の両立に成功していることを示唆している。また、AI機能の強化が新たな付加価値として機能し始めていることから、今後の製品開発やマーケティング戦略においても重要な要素となる可能性が高い。

一方で、国際市場における販売減少は、為替変動や地域経済の不安定さが影響していると考えられ、Appleが地域別に柔軟な価格戦略を取る必要性を浮き彫りにしている。

Apple株の成長余地と投資家の期待感

モルガン・スタンレーは、Apple株に対して引き続き「買い」評価を維持しており、1株あたり275ドルの目標株価を設定している。過去1年間で株価は26%上昇しており、現在の水準からさらに7.3%の上昇余地があるとされている。

アナリスト間では18件の「買い」、11件の「ホールド」、4件の「売り」という評価が出ており、市場全体としてはApple株に対する楽観的な見方が支配的である。この背景には、iPhone SE 4の好調な見通しだけでなく、Appleのサービス部門やAI技術の進展が収益多角化に貢献していることも挙げられる。

しかし、今後の株価動向には慎重な視点も必要である。米国市場での安定した需要とは対照的に、国際市場での販売減少が長期的な成長にどのような影響を与えるかは不透明である。また、Apple Intelligenceの技術的進展が市場全体でどの程度の競争優位性を維持できるかも鍵となる。

投資家にとっては、短期的な株価上昇だけでなく、中長期的な成長戦略と市場変動リスクを見極めることが求められる局面である。

Source：PUNE.NEWS