クラウドデータ企業スノーフレイク(SNOW)は、企業向けデータ分析とAI統合で成長を遂げているが、2024年第4四半期にアルファベットが全保有株式を売却したことで注目を集めている。この決断は、同社がスノーフレイクと提携関係にありながらも、保有株式を段階的に減少させ、最終的に完全売却に至ったことを示す。

背景には、CEO交代や株価変動、AI事業への戦略的シフトがある可能性が指摘される。一方で、スノーフレイクはAI機能の強化と新たなパートナーシップを通じ、2025年には成長軌道を維持しており、投資家にとってその価値は再評価の余地がある。

スノーフレイクの成長戦略と市場での競争優位性

スノーフレイクは、企業向けのデータクラウドプラットフォームを提供し、データ統合・分析・共有の効率化を進めてきた。その中核となるのが、Amazon Web Services(AWS)、Microsoft Azure、Google Cloudといった主要クラウドプロバイダーとのシームレスな連携である。このマルチクラウド対応により、企業は自社のITインフラを問わずスノーフレイクのサービスを利用できるという利便性を享受できる。

また、スノーフレイクの強みは、単なるデータストレージの提供にとどまらず、機械学習(ML)や人工知能(AI)を活用したデータ分析の支援にある。特に、Anthropicとの提携を通じて、AIを活用したデータ処理能力の強化を図っており、「Snowflake Cortex AI」などの新サービスが導入された。この技術革新により、企業はデータの収集・整理だけでなく、そこから高度な洞察を得ることが可能となる。

スノーフレイクの競争力は、価格競争力と使いやすさにもある。顧客企業の中には、従来のデータ管理システムからスノーフレイクに移行することで、データ管理コストを最大50%削減したケースも報告されている。これにより、Hyatt、NBC Universal、トヨタなどの大手企業が同社のプラットフォームを活用し、パーソナライズされた顧客体験やコンテンツレコメンデーションを実現している。

アルファベットの売却決定が示唆する市場動向

アルファベットが2024年第4四半期にスノーフレイク株を完全売却したことは、市場に大きな影響を与えた。2022年初頭に535,604株を取得して以降、段階的に売却を進め、最終的に114,554株を売却することで全保有株を手放した。この動きは、投資家にとって企業価値の見直しを迫る材料となっている。

この売却が意味することの一つは、クラウド市場における競争環境の変化である。アルファベット傘下のGoogle Cloudも、企業向けデータ分析ソリューションを強化しており、スノーフレイクとの競争が今後さらに激化する可能性がある。特に、データ管理やAI分析の分野では、Google Cloudが独自の技術革新を進め、スノーフレイクと競合する場面が増えてきたことが影響したと考えられる。

また、スノーフレイク自体も2024年には経営体制の変化を経験した。フランク・スルートマン前CEOが退任し、新CEOのスリダー・ラマスワミが就任したことは、企業戦略に一定の変化をもたらす可能性がある。アルファベットの売却がこの経営陣の交代と連動しているかは明確ではないが、市場の不確実性を懸念した売却である可能性は否定できない。

スノーフレイクの今後の成長余地と投資リスク

スノーフレイクは2025年度の売上成長率を前年比29%と見込んでおり、アナリストの予測では2027年には売上が55億ドル、フリーキャッシュフローが15億ドルに達する可能性が指摘されている。特に、AI機能の強化により、企業が求めるデータ処理の高度化が進むことで、さらなる市場拡大の余地がある。

しかし、リスク要因も無視できない。株価のバリュエーションは依然として高水準にあり、2025年度のフリーキャッシュフロー倍率は40.6倍と評価されている。この水準は、成長期待が市場に織り込まれていることを示すが、一方で業績の成長速度が鈍化した場合、投資家の期待が裏切られる可能性もある。

さらに、競争環境の変化はスノーフレイクにとって大きな課題である。Google CloudやMicrosoft Azureは、自社のAI・データ分析ソリューションを強化し、スノーフレイクと直接競合する領域を拡大している。加えて、クラウド市場全体が価格競争の激化を迎える中、スノーフレイクが収益性を維持しながら成長を続けるためには、さらなる差別化戦略が必要となる。

以上の点を踏まえると、スノーフレイクの成長可能性は高いものの、投資リスクも無視できない状況にある。市場環境の変化や競争相手の動向を注視しつつ、企業戦略の方向性を見極めることが、今後の投資判断において重要となる。

Source:Barchart