ウォーレン・バフェットが率いるバークシャー・ハサウェイは、堅実なバリュー投資哲学に基づき、数々の企業をポートフォリオに組み込んできた。その中でも特に注目されるのが、シリウスXM(NASDAQ: SIRI)とベリサイン(NASDAQ: VRSN)である。両社は、強固なファンダメンタルズと安定した成長見通しを備えており、市場の変動にも耐えうる競争優位性を持つ。

シリウスXMは、過去1年で株価が48%以上下落するも、バフェットはさらに230万株を追加購入し、合計で発行済み株式の35%を保有。ベリサインも年初来7%の上昇を記録し、長期契約による安定収益が評価されている。これらの銘柄は、バフェットの投資戦略に倣う投資家にとって、ポートフォリオの中核を担う有力な選択肢となる。

シリウスXMの市場優位性と経営戦略

シリウスXMは、米国で唯一のライセンスを取得した衛星ラジオ事業者であり、他の音楽ストリーミングサービスとは異なる市場特性を持つ。この独占的な地位が、同社の競争力の根幹を形成している。特に、広範なカバレッジを誇る衛星ラジオの特性により、インターネット接続が不安定な地域や長距離移動時でも安定したサービス提供が可能である。これが、新車販売におけるプレインストール契約と結びつき、高い加入者維持率を支えている。

さらに、シリウスXMは多様な音楽、スポーツ、トーク番組を提供し、独自コンテンツの強化に注力している。人気パーソナリティの独占契約や、スポーツリーグとのパートナーシップは、長期的なブランド価値を高める施策の一環である。加えて、テスラやリヴィアンとの提携が、EV市場の成長とともに新規顧客獲得の機会を拡大させている。

しかし、同社のビジネスモデルは、自動車業界の動向に大きく左右される。インフレや関税の上昇による新車販売の鈍化は、シリウスXMの新規契約獲得に影響を及ぼす可能性がある。これに対し、同社はコスト削減と新たな収益源の開拓に注力し、2025年末までに年間2億ドルのコスト削減を目標としている。今後、ストリーミング事業の強化や広告収入の多角化が、収益安定化に向けた重要な施策となるだろう。


ベリサインの収益モデルとドメイン市場の変化

ベリサインは、.comおよび.netドメインのレジストリサービスを独占的に提供する企業であり、そのビジネスモデルは長期契約によって安定した収益を生み出す構造になっている。これにより、景気変動の影響を受けにくく、ウォーレン・バフェットが重視する「予測可能なキャッシュフローの確保」が可能となっている。事実、2024年第4四半期の売上高は3億9,500万ドルに達し、安定した成長を示している。

一方で、ドメイン市場の環境は変化しつつある。新規ドメイン登録数は前年比9%増加したが、総ドメイン登録数は2%減少した。この背景には、企業や個人のオンラインプレゼンスの多様化がある。SNSや新興プラットフォームの普及により、従来の独自ドメインを取得する必要性が一部低下している。しかし、.comや.netドメインの信頼性とブランド価値は依然として高く、特に企業向けの需要は根強い。

ベリサインは、この変化に対応するため、価格決定力を活用しながら収益性の維持を図っている。契約期間の長さが安定したキャッシュフローを確保する要因であり、2029年および2030年までの長期契約は今後も同社の財務基盤を支えるだろう。さらに、サイバーセキュリティやDNSインフラの強化が、新たな成長戦略として注目される。競争が少ない市場環境を活かしながら、持続可能な収益モデルをどのように構築するかが、今後の焦点となる。

Source:Finbold