成長株投資で知られるキャシー・ウッド氏が、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)、トースト(Toast)、ショッピファイ(Shopify)の3銘柄を新たに購入した。AMDはAI関連銘柄として注目される半導体メーカーであり、トーストはレストラン向けクラウド型POSシステムを提供する企業である。ショッピファイはeコマースプラットフォームを手掛けるカナダの企業で、いずれも成長が期待される分野で活躍している。ウッド氏の投資判断は、これらの企業の将来性を高く評価したものと考えられる。

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キャシー・ウッド氏率いるARKインベストメント・マネジメントは、破壊的イノベーションをテーマに投資を行うことで知られる。同社の運用するETFは、テクノロジーやバイオテクノロジーなど先進的な分野の企業に重点的に投資しており、投資家から注目を集めている。

今回、ウッド氏が新たに購入した3銘柄は、いずれも成長が期待される企業である。AMDは、AI関連銘柄として注目される半導体メーカーであり、データセンター向けの製品が好調である。トーストは、レストラン向けのクラウド型POSシステムを提供しており、導入店舗数の増加が続いている。ショッピファイは、eコマースプラットフォームを手掛けるカナダの企業であり、オンラインビジネスの拡大に伴い成長を続けている。

ウッド氏の投資判断は、これらの企業の将来性を高く評価したものと考えられる。投資家にとって、ウッド氏の動向は市場戦略を考える上で重要な指針となるだろう。

キャシー・ウッドがAMDを選んだ理由 半導体市場の変化と成長の可能性

AMDは、2025年に入り株価が8%下落し、過去1年間で36%の下落を記録している。しかし、同社の業績は株価ほど悪化しているわけではない。第4四半期決算では、売上高が前年比24%増、データセンター事業は69%増の39億ドルと力強い成長を見せた。一方で、ゲーム向け事業は59%減、組み込み向け事業も13%減となり、事業ごとの明暗が分かれた。市場予想を上回る売上を記録しながらも、投資家の期待には届かず、決算発表後に株価は下落した。

半導体市場全体を見ると、AI関連銘柄の成長が続く中で、競争は激化している。NvidiaがAIチップ市場を席巻する一方で、AMDもAI向けGPU「MI300」シリーズで市場参入を強化している。特にデータセンター向けのGPU市場は今後拡大が見込まれ、AMDが成長機会を得る可能性は高い。ただし、直近の決算後、多くのアナリストが利益予想を引き下げており、短期的には慎重な見方もある。

キャシー・ウッドがこのタイミングでAMDを買い増した背景には、同社のAI市場における長期的なポテンシャルがあると考えられる。株価の下落を割安な投資機会と捉えた可能性も高い。半導体市場の成長と、AMDの戦略が今後の株価にどのような影響を与えるかが注目される。

トーストが注目される理由 レストラン業界のデジタル化と市場拡大

トーストは、レストラン向けクラウド型POSシステムを提供し、事業を急拡大させている。直近1年間で株価は2倍以上に上昇し、導入店舗数は12万7,000店に達し、前年比で28%増加した。これは、レストラン業界全体のデジタル化の流れと軌を一にしている。オンライン注文の増加、決済のキャッシュレス化、業務効率の向上といったニーズが高まり、トーストのソリューションは多くの飲食店に受け入れられている。

同社の成長の要因の一つは、プラットフォームの多機能性にある。会計処理、在庫管理、オンライン注文管理など、レストラン経営を包括的に支援する機能を提供している。加えて、直近の決算では、2四半期連続で黒字化を達成し、収益面でも改善が進んでいる。従来の成長企業にありがちな「売上拡大は続くが赤字が常態化する」といった課題を克服しつつある点が、投資家からの評価を高めている。

今後の注目点は、2月14日の市場終了後に発表される第4四半期決算である。売上成長率が維持されるか、収益性がさらに向上するかが焦点となる。競争が激化するSaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)市場において、トーストが持続的な成長を遂げられるかどうかが、今後の株価動向を左右するだろう。

ショッピファイの再加速する成長 eコマース市場の変革と今後の展望

ショッピファイは、eコマースプラットフォームを提供する企業で、最近の決算では売上高が前年比31%増と、過去3年間で最も高い成長率を記録した。特に北米市場での売上が伸びており、国際市場やオフライン事業でも拡大が進んでいる。かつて成長の鈍化が懸念されていた同社だが、事業構造の変革によって再び成長軌道に戻ったと言える。

収益面でも大きな変化が見られる。フリーキャッシュフローマージンは22%に拡大し、単なる売上成長だけでなく、利益面でも改善が進んでいる。これにより、キャシー・ウッドを含む多くの投資家がショッピファイを評価し、買い増しを進めている。実際に、決算発表後には5社以上のアナリストが目標株価を引き上げ、市場の期待も高まっている。

ショッピファイの今後の成長要因として、エンタープライズ向けの市場開拓が挙げられる。従来の中小企業向けサービスに加え、大手企業にもプラットフォームを提供し、収益基盤の多様化を図っている。また、サードパーティアプリとの連携強化や、新たな決済手段の導入も成長を後押しするだろう。eコマース市場が成熟しつつある中で、ショッピファイがどのように競争優位を維持するかが今後の鍵となる。

Source:The Motley FoolMSN