メタ・プラットフォームズ(Meta Platforms, META)は、AI、ソーシャルメディア、メタバースの各領域で戦略的な進化を続けている。2024年には堅調な成長を遂げ、収益は前年比22%増の1,645億ドルに達した。広告事業の強化とアプリ群の拡張が奏功し、株価も年初から21%上昇するなど、市場の期待を集めている。
マーク・ザッカーバーグは2025年を「変革の年」と位置づけ、AI技術の進展やメタバースの発展に向けた投資を継続。最新AIモデル「Llama 4」の投入や、スマートグラスの普及を進め、ソフトウェアからハードウェアまでのエコシステム拡大を目指す。一方、リアリティ・ラボ(RL)部門の赤字継続や設備投資の増加が利益圧迫要因となる可能性があり、短期的なリスクも無視できない。
ウォール街のアナリストはメタの成長戦略を評価し、強気姿勢を維持している。株価の上昇余地は限定的との見方もあるが、AI主導の収益拡大が進めばさらなる成長の可能性が広がる。2025年、メタは市場の期待に応えることができるのか。その行方に注目が集まっている。
Llama 4が切り開くAIの未来 メタの技術革新はどこへ向かうのか

メタは2025年、AI技術の進化に注力し、最新のオープンソースAIモデル「Llama 4」を投入する。これは前世代のLlama 3と同様、段階的なアップデートが予定されており、単一のリリースではなく継続的な機能強化が施される見通しである。Llamaシリーズはメタが掲げるAI戦略の中核を成しており、開発者や企業向けの高性能なAIツールとしての地位を確立しつつある。
さらに、2025年にはAIを活用したコーディングエージェントが進化を遂げ、中堅ソフトウェアエンジニアに匹敵する能力を持つと予測されている。これにより、開発業務の効率化が進むだけでなく、メタの提供するAIサービスの価値が一層高まる可能性がある。加えて、AIの進化はメタの広告事業にも影響を与え、ターゲティング精度の向上やコンテンツ生成の最適化が進むことが期待されている。
メタのAI戦略は、競争が激化するテクノロジー市場において差別化要因となる。しかし、Llama 4が市場にどのようなインパクトを与えるかは未知数であり、オープンソースモデルとしての競争力や他社製品との優位性が問われることになる。AI業界ではGoogleのGeminiやOpenAIのGPTシリーズなど強力な競争相手が存在しており、メタがその中でどのようにポジションを確立するかが今後の成長を左右する鍵となるだろう。
メタバースへの長期投資は実を結ぶか 赤字続きのリアリティ・ラボ部門の行方
メタはメタバース事業に対して一貫した投資姿勢を示しており、2024年のリアリティ・ラボ(RL)部門の営業損失は177億ドルに達した。それにもかかわらず、ザッカーバーグは仮想環境の進化に対する期待を強調し、2025年には視覚品質や機能の向上を図る計画を掲げている。特にVRヘッドセット「Quest」や、仮想空間プラットフォーム「Horizon」の成長が重要な指標となる。
また、メタはハードウェア戦略の一環として「Ray-Ban Meta AI グラス」の普及を推進しており、2025年には500万~1000万台の販売を目指す。これにより、AIとAR技術の融合が進み、メタバースと現実世界の境界を曖昧にする新たな市場が形成される可能性がある。しかし、スマートグラス市場は依然として発展途上であり、消費者の受け入れ方次第では大きな課題に直面することも考えられる。
一方、RL部門の継続的な赤字はメタの財務面での負担となる。AIや広告事業で得た収益をメタバース事業に再投資する構造が続く中、収益化の明確な道筋を示さなければ投資家の不安を招く可能性がある。メタバースの普及には時間がかかるとされており、短期的には利益を圧迫する要因になり得るものの、長期的にはメタの成長戦略の柱となるかどうかが問われる局面を迎えている。
株価上昇は続くのか 投資家が注視すべきポイントとは
メタの株価は年初から21%上昇し、時価総額は1.8兆ドルに達した。この成長の背景には、AI戦略の強化や広告収益の増加、アプリ群のエンゲージメント向上がある。特に「ファミリー・オブ・アプリズ(FoA)」部門の成長が安定しており、広告収益が前年同期比で21%増加した点は投資家にとって重要な指標となっている。
一方で、メタの投資拡大に伴い、短期的な利益率の圧迫が懸念される。CFOのスーザン・リーは、AIとコンピューティングインフラの拡張に向けたサーバー投資が設備投資の主要因であると述べており、コスト増が続く見通しだ。また、自社製AIチップの開発に注力することで外部サプライヤーへの依存を減らす方針を示しているが、これが財務面でどのように影響するかは未知数である。
ウォール街のアナリストの評価は依然として強気であり、53人のうち45人が「強い買い」、2人が「買い」を推奨している。しかし、現在の平均目標株価は737.75ドルであり、現在の株価からの上昇余地は1.8%にとどまる。一方、最高値予想では900ドルに達する可能性が示されており、投資家にとっては長期的な成長性を見極める必要がある。
メタの株価が今後も上昇するかどうかは、AIやメタバース分野での成果がどれだけ早期に表れるかにかかっている。短期的には利益率の低下が懸念されるものの、広告収益の安定性やソーシャルメディア市場での優位性を考慮すれば、メタは依然として注目すべきテクノロジー企業であることに変わりはないだろう。
Source:Barchart.com