MicrosoftがGoogle Chromeのタブレットモードの動作をWindows 11上で改善するための新たな最適化を進めている。従来、Chromeは回転センサーを利用してタブレットモードとデスクトップモードを判別していたが、この方式は現在の多様なデバイス環境に適応しきれていなかった。Windows 11では、Microsoftがタブレットモードの自動判定機能を廃止したことで、ChromeのUXがむしろ低下するという問題も発生していた。
この課題に対応するため、Microsoftは新たなコードをChromiumに追加し、デバイスの変形機能や外部ディスプレイの接続状況を基に、より正確にモードを判定する仕組みを導入した。これにより、ChromeのインターフェースがWindows 11の判定と同期し、タブレットモードへの移行がスムーズになる。また、UIの遅延やカクつきを低減するための技術的改善も施され、タブレットとデスクトップを行き来する際の操作性が向上した。
さらに、Chromeの「シークレットモード」では、Windows 11のメディアプレビューに閲覧履歴が表示されない仕様に変更されるなど、プライバシー面での改良も行われている。Microsoftによるこれらの調整は、Windows 11環境におけるChromeの利便性を大きく高めることになるだろう。
Windows 11のタブレットモード仕様変更が引き起こした課題

MicrosoftはWindows 11で従来の「タブレットモード」を廃止し、デバイスの向きを自動で検出する仕組みに移行した。しかし、この変更はGoogle Chromeのユーザーエクスペリエンスに想定外の問題をもたらした。Chromeは以前から回転センサーを利用してタブレットモードとデスクトップモードを判定していたが、新しい環境ではこの手法が適切に機能しなくなっていた。
特に、2-in-1デバイスやコンバーチブルPCでは、キーボードを折りたたんだ際にChromeが適切にモードを切り替えられず、タッチ操作が快適に行えないケースが報告されていた。これにより、Windows 11ユーザーの間で「Chromeのタブレットモードがうまく動作しない」という不満が高まっていた。さらに、外部ディスプレイとの接続時には、どのモードでUIを適用するかの判定が曖昧になり、使い勝手に悪影響を及ぼしていた。
この問題を解決するため、MicrosoftはChromiumに新しいコードを追加し、タブレットモードの判定に回転センサーではなく、デバイスの物理的な変形機能や外部ディスプレイの接続状態を活用する方法を導入した。これにより、ChromeのUIはWindows 11のシステム判定と同期し、より適切な形で切り替わるようになった。
UIの遅延とカクつきを解消する新たな技術的最適化
タブレットモードのUX向上に加え、MicrosoftはChromeのUIレスポンスにも注目し、改善を進めた。従来、Chromeはフォームファクターの変更時にUIの調整を行う際、遅延が発生することがあった。特に、タブレットモードへの移行時にインターフェースのサイズ変更が適切に行われず、操作がスムーズに進まないケースが指摘されていた。
この問題の一因は、Windows 11上でChromeのUIスレッドが重たい処理と競合し、結果として「ジャンク」(カクつき)が発生することにあった。Microsoftはこれを解決するため、Windows UIハンドル(HWND)をUIスレッド専用にし、他のブロッキングタスクをバックグラウンド処理に移行させた。これにより、ChromeのUIレスポンスが向上し、ユーザーがスムーズに操作できるようになった。
また、Windows 11環境におけるChromeの動作は、これまでデバイスの性能や接続状況に依存する部分が大きかった。しかし、今回の最適化により、Chromeはより効率的にシステムリソースを活用し、タブレットとデスクトップの切り替え時のパフォーマンス低下を抑える仕組みが整った。これにより、タッチ操作のレスポンスが向上し、タブレットユーザーにとってより快適なブラウジング環境が提供されることになる。
プライバシー強化の取り組みとWindows 11の新たなセキュリティ指針
Chromeのタブレットモードの最適化に加え、Microsoftはプライバシー保護の観点からも新たな調整を行った。その一例が、Windows 11のメディアプレビュー機能におけるChromeの「シークレットモード」の変更である。従来、シークレットモードで動画コンテンツを視聴した場合でも、Windows 11のメディアコントロールパネルに履歴が表示される仕様だった。しかし、この挙動はプライバシーの観点から望ましくないという指摘がなされていた。
今回の改良により、シークレットモードでのメディア再生時には、Windowsのメディアプレビュー機能が一切の履歴を表示しないように変更された。これにより、YouTubeやその他のストリーミングサービスをプライベートモードで利用する際、意図しない情報漏えいのリスクが軽減される。
この変更は、Chrome単体の仕様変更ではなく、Windows 11のセキュリティ強化の流れとも一致する。Microsoftは近年、Windows 11のプライバシー制御を強化しており、アプリごとのデータアクセス管理の透明性向上にも取り組んでいる。Chromeのシークレットモードの変更は、その一環として、ユーザーの意図を尊重する形で導入されたものであり、今後も同様のセキュリティ最適化が進められる可能性が高い。
Source: Windows Latest