Microsoftは、2025年2月にWindows 10向けの新Outlookアプリを強制インストールする計画を進めている。このアップデートはKB5051974に含まれ、セキュリティ修正を含むため回避が難しいとされていた。しかし、新しいOutlookの自動インストールを防ぐ方法が明らかになった。
その方法は、Windowsレジストリの編集による制御である。HKEY_LOCAL_MACHINE内の特定のキーに「BlockedOobeUpdaters」を追加し、値を「MS_Outlook」に設定することで、アップデート後も新Outlookの導入を阻止できる。ただし、この作業は今後のアップデートごとに繰り返す必要がある。
すでに新Outlookがインストールされてしまった場合は、Windows PowerShellを利用して完全に削除可能であり、再インストールも防げる。ただし、旧メールアプリの起動が再インストールを引き起こす可能性があるため注意が必要だ。Microsoftの強制的なアプリ配布に対し、ユーザーの対応策が問われている。
Microsoftが推進する新Outlook強制インストールの背景とは
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Microsoftは、Windows 10のユーザーに対して新Outlookの強制インストールを進めている。これは、従来の「メール」や「カレンダー」アプリの終了を前提とした戦略の一環である。Microsoftは、最新の機能を統合し、クラウドベースのメール管理を推奨する意向を持っており、新Outlookの導入はその流れを加速させる動きといえる。
新Outlookは、Microsoft 365との統合を強化し、Outlook.comを基盤とすることで、GmailやYahooメールなどの他社サービスとの連携も可能にしている。しかし、デスクトップ版Outlookと比較すると機能の制限があり、ローカルでのメールデータ保存やカスタマイズ性の面では劣る。従来のOutlookを利用していたユーザーにとっては、新Outlookへの移行が不便に感じられる可能性もある。
Microsoftが強制インストールを実施する理由の一つは、統一されたユーザーエクスペリエンスの提供にある。異なるバージョンのOutlookが混在すると、サポートの負担が増大し、セキュリティリスクも高まるため、同社は新Outlookへの統合を推進しているとみられる。しかし、この手法に対してはユーザーの管理権限を無視した強引な対応と受け取る声もある。特にWindows 10の延長サポートが続く中、ユーザーに選択肢を与えない強制インストールの是非が問われている。
Windowsレジストリ編集による回避策とそのリスク
Windows 10における新Outlookの強制インストールを阻止する方法として、Windowsレジストリを編集する手段が判明している。この方法では、特定のレジストリキーを作成し、新Outlookのアップデート適用を回避できる。しかし、レジストリ編集は慎重に行う必要があり、誤った変更がシステムの不安定化や起動不能を招く可能性もある。
手順としては、「HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\WindowsUpdate\Orchestrator\UScheduler_Oobe」内に「BlockedOobeUpdaters」というキーを新規作成し、その値を「MS_Outlook」に設定する。これにより、新Outlookの強制インストールをブロックできる。ただし、Windows Updateのたびにこの設定がリセットされる可能性があるため、適用前に再設定を確認する必要がある。
すでに新Outlookがインストールされてしまった場合、PowerShellを用いた削除も可能である。特定のコマンドを入力することで、新Outlookをシステムから完全に取り除ける。ただし、旧「メール」や「カレンダー」アプリを起動すると、新Outlookが再インストールされる可能性があり、慎重な対応が求められる。
この方法が一時的な回避策となる一方で、Microsoftが将来的にさらなる対策を講じる可能性もある。Windows Updateの仕様変更により、レジストリ編集の効果が無効化される事態も考えられるため、常に最新の情報を把握することが重要である。
Microsoftの強制的なインストール方針と今後の展開
Microsoftは、Windows 10だけでなく、Windows 11においても強制的なシステム変更を推し進めている。特にWindows 11の「24H2」アップデートでは、既存のデフォルトアプリを置き換える動きが進んでおり、ユーザーの管理権限が徐々に制限されつつある。新Outlookの強制インストールも、この流れの一環と考えられる。
企業向けのPC環境では、特定のメールクライアントを利用することがセキュリティポリシーの一環となっている場合がある。Microsoftが提供する標準アプリの変更が、業務システムに影響を及ぼす可能性もあり、特に企業のIT部門にとっては対応が求められる課題となる。
また、新Outlookの導入は、Microsoft 365への依存度を高める戦略の一部とも捉えられる。従来のスタンドアロン型アプリを排除し、クラウドベースのサービスを前提とすることで、ライセンス契約やサブスクリプションモデルの拡大を狙っている可能性もある。
今後、Windowsの更新を通じて、より多くのシステム変更が強制される可能性がある。ユーザー側としては、こうした動向に注意を払い、自身の環境に適した設定を維持するための知識が求められる。Microsoftの方針が変わらない限り、強制インストールに対抗する手段の有効性も継続的に検証する必要があるだろう。
Source: PCWorld