半導体大手Nvidiaの株価は最近の市場変動の影響を受けているが、エバコアのアナリスト、マーク・リパシス氏はこれを絶好の投資機会と捉えている。彼は、Blackwellチップの出荷遅延や、中国企業DeepSeekの低コストAIモデルの登場が短期的な懸念材料になっているものの、これらの影響は過大評価されていると指摘する。
Nvidiaの強みは、開発者エコシステムとCUDAソフトウェアの圧倒的な優位性にある。さらに、AI市場の拡大は長期的にNvidiaの成長を後押しすると見られており、2025年には株価が190ドルに達する可能性がある。市場コンセンサスも「強い買い」の評価を維持しており、目標株価は現在の水準を大きく上回る。
Nvidiaの成長を支える技術的優位性と市場戦略
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Nvidiaの競争力の源泉は、単なる半導体の性能にとどまらず、エコシステム全体を支える技術と市場戦略にある。同社のGPUは長年にわたりAI・機械学習分野での標準的な選択肢となっており、特にCUDA(Compute Unified Device Architecture)プラットフォームの存在が強みとなっている。
CUDAは開発者にとって圧倒的な利便性を提供し、これがNvidia製品の継続的な需要を生む要因となっている。また、クラウド市場向けのH100チップの普及が進む中で、Blackwellチップの出荷遅延が一時的な障害となっても、ソフトウェアとの統合のしやすさが企業の継続的な採用を後押しする可能性がある。
さらに、AIの商業利用が加速するにつれ、特定用途向け集積回路(ASIC)が台頭するとの見方もあるが、Nvidiaの開発環境は依然として市場に広く受け入れられている。短期的にはASICの導入が一部で進む可能性はあるが、長期的にはNvidiaが提供する総合的な技術基盤の優位性が揺るがないと考えられる。
市場の不安要因を乗り越えるNvidiaの展望
短期的な懸念として、Blackwellチップの出荷遅延や中国企業DeepSeekによる低コストAIモデルの影響が指摘されている。特にDeepSeekのAIは、ハードウェア性能の低い環境でも稼働可能であるため、企業が高性能なNvidia製GPUの代替を模索する動きを加速させる可能性がある。
しかし、エバコアのマーク・リパシス氏は、これを市場全体の需要を促進する要因と見ている。低コストAIモデルが広がることで、AI技術の普及が加速し、結果的にNvidiaの製品需要も増大すると考えられる。また、H100チップの継続的な普及により、クラウドプロバイダーやデータセンター向けの売上成長が維持される見込みもある。
また、Nvidiaの財務面では、過去の決算で安定した成長を示しており、市場のボラティリティに左右されにくい構造を持つ。2025年後半にはBlackwellチップの供給が本格化すると予測されており、同社の売上と利益成長が再加速する可能性がある。こうした展開が実現すれば、株価190ドルというエバコアの見立てにも説得力が増すだろう。
投資判断のポイント 現在の株価は割安か
現在のNvidiaの株価は、過去8年間の平均PER(株価収益率)を下回る水準にあり、投資妙味があると指摘されている。特に、AI市場の成長が続く中で、同社の株価が調整局面にあることは、長期的な成長期待を持つ投資家にとっては好機となる可能性がある。
市場コンセンサスも依然として「強い買い」の評価を維持しており、ウォール街の予測では2024年の利益成長率が約135%、2026年にはさらに43.68%の成長が見込まれている。これに加えて、四半期決算を控える2月26日までの動向が、株価の方向性を決定づける重要なイベントとなるだろう。
ただし、短期的な市場の変動には注意が必要であり、Blackwellチップの供給動向や競争環境の変化を注視することが求められる。それでも、Nvidiaの技術的な優位性と市場でのポジションを考慮すれば、中長期的な視点での投資妙味は十分にあると考えられる。
Source: Barchart.com