iPhone SE 4の発売が間近に迫る中、この手頃な価格帯の新型iPhoneが2,000万台以上販売される可能性が指摘されている。アナリストのミンチー・クオ氏は、新型SEの出荷台数が2025年前半に1,000万台、同年後半には1,200万台に達すると予測。前世代のSEモデルよりも好調な売れ行きを見せるとの見方を示した。

iPhone SE 4がもたらす市場への影響

iPhone SE 4の登場は、Appleの製品戦略において極めて重要な位置を占める。特に、価格競争の激しいスマートフォン市場において、ミドルレンジ帯の製品としてシェアを拡大する可能性がある。

Appleは従来、フラッグシップモデルを中心に市場を牽引してきたが、近年は手頃な価格のスマートフォンに対する需要が高まっている。新型SEの投入は、こうした市場のニーズに応えつつ、Appleのエコシステムに新たなユーザーを取り込む戦略の一環と考えられる。特に、新興国市場や価格に敏感なユーザー層に対して強い訴求力を持つと予測される。

また、今回のSEはiPhone 14のデザインを踏襲しながら、A18チップやUSB-Cポートを搭載することで、最新のテクノロジーを求めるユーザーにも魅力的な選択肢となる。このようなスペック向上は、SEシリーズの長寿命化を図るAppleの意図も反映されていると考えられる。

Apple Intelligenceの導入が示す新たな方向性

iPhone SE 4に搭載される見込みの「Apple Intelligence」は、AppleのAI技術の本格的な普及を示唆している。この機能は、ユーザーの操作を学習し、最適なアシストを提供することで、利便性を向上させる。

従来、AppleのAI技術はSiriを中心に展開されていたが、競争が激化するAI市場において、より高度な機能が求められている。特にGoogleやSamsungが独自のAI技術を強化する中で、Appleもこれに対抗する形でAIを進化させる必要がある。新型SEにおいても、この機能の導入が予想されることで、今後のAppleの方向性を示唆するものとなる。

また、Apple Intelligenceは、デバイスの処理能力を最大限活用しながら、クラウド依存を最小限に抑えることを目的としている。これは、ユーザーのプライバシーを保護しつつ、高速なAI処理を実現するというAppleの戦略と合致する。この機能がどのように進化していくかは、Appleの今後のAI戦略を占う上で注目されるポイントとなる。

Qualcommとの特許紛争の行方とその影響

iPhone SE 4に搭載される予定のApple独自のモデムは、Qualcommとの特許訴訟を引き起こす可能性がある。Appleはこれまで、iPhoneの通信モデムをQualcommから調達してきたが、独自開発を進めることで、依存度を下げようとしている。

Appleが自社モデムを採用することで、Qualcommは大きな収益減少に直面する可能性がある。これを受け、QualcommはAppleに対して特許料の請求や訴訟を通じた対抗措置を取ると見られる。特に、モバイル通信技術に関する特許は非常に重要であり、この問題が長期化すれば、Appleのモデム開発スケジュールにも影響を与える可能性がある。

AppleがQualcommとの関係をどのように調整するかは、今後のiPhoneシリーズの通信技術の進化に大きな影響を与える。仮にAppleが自社モデムの開発に成功すれば、5G通信技術の最適化や低消費電力化が進む一方で、訴訟リスクが高まる可能性も否定できない。この問題は、Appleのサプライチェーン戦略やコスト構造にも影響を及ぼすため、今後の展開が注視される。

Source：Tom’s Guide