米半導体大手Nvidiaが、AI関連企業3社の持ち株をすべて売却したことで、これらの株価が急落した。対象となったのはNano-X、Serve Robotics、SoundHound AIで、最大で43%の下落を記録。Nvidiaの四半期報告書によると、同社は新たにAIインフラ企業Nebius Groupと自動運転技術のWeRideに投資を行い、事業の重点をシフトさせている。

今回の売却には、これらのAI関連株が過去1年間で急騰していたことも影響したと考えられる。SoundHound AIは過去52週間で400%上昇し、Serve Roboticsも急騰。Nvidiaは利益確定を進めると同時に、自動運転市場の成長を見据えた再投資を行っている。

市場では、Nvidiaの2025年度第4四半期決算発表を前に、この動きを注視する声が強まっている。Nvidia株は13Fレポート発表後に約1%上昇し、アナリストは引き続き同社の成長に期待を寄せている。

AI関連株の急落  Nvidiaの売却が市場に与えた影響

NvidiaがNano-X(NNOX)、Serve Robotics(SERV)、SoundHound AI(SOUN)の持ち株をすべて売却したことで、これらの株価は急激に下落した。13Fレポートによれば、SoundHound AIは30%、Serve Roboticsは43%、Nano-Xは12%の下落を記録した。この売却の背景には、Nvidiaのポートフォリオ再編があるとみられ、市場は即座に反応した。

これらのAI関連企業は、Nvidiaの支援を受けることで投資家の信頼を得ていた。特に、SoundHound AIは過去1年間で400%の急騰を遂げており、AIブームの波に乗る銘柄として注目されていた。しかし、Nvidiaの売却により、市場はこれらの企業の将来性に疑問を抱くようになり、投資家の売りが加速した。

今回の急落は、AI関連銘柄がNvidiaの影響を受けやすいことを改めて示した。一方で、同社の株価自体は1%上昇しており、Nvidiaの投資判断が市場で一定の評価を受けたことも明らかとなった。Nvidiaの動向が、今後のAI投資の方向性にどのような影響を与えるのか、引き続き注視される。

Nvidiaの投資対象変更 自動運転分野へのシフト

Nvidiaは今回の売却と同時に、新たな投資先としてAIインフラ企業のNebius Group(NBIS)と、中国の自動運転スタートアップWeRide(WRD)を選定した。WeRideはすでにアブダビや広州でロボタクシーを展開しており、Nebius Groupの子会社であるAvrideも米国や韓国で自動運転技術のテストを実施している。

市場調査会社Statistaの予測によると、自動運転市場は2030年までに2兆ドル規模に達するとされ、Nvidiaはこの成長市場に積極的に参入しようとしている。AIブームが続く中で、同社が汎用AI関連株から特定領域にシフトする動きは、競争優位性を確立する狙いがあるとみられる。

今回の戦略転換は、Nvidiaが短期的なAIブームに依存せず、持続的な成長を追求していることを示している。特に、自動運転市場は規制や技術進化の影響を受けやすいが、Nvidiaはすでに車載AIチップ市場で優位性を持っており、その技術力を最大限に活用する考えがうかがえる。

決算発表前の動き Nvidia株の将来を占う要因

Nvidiaは2月26日に2025年度第4四半期決算を発表予定であり、今回のポートフォリオ変更はこの発表を前にした動きとみられる。市場予測では、同社の1株当たり利益(EPS)は前年比61%増の0.79ドルに達するとされ、業績の大幅な成長が期待されている。

ウォール街のアナリストはNvidiaに対し「強い買い(Strong Buy)」の評価を維持しており、目標株価は現在より約30%高い177.43ドルと設定されている。このため、投資家の間では、今回の売却が企業価値向上のための戦略的な動きであると評価する声もある。

今後のNvidia株の動向は、自動運転市場へのシフトがどれほど成功するかに左右される。決算発表後の市場の反応次第では、同社の投資方針がさらに明確になり、新たな投資機会を生み出す可能性もある。

Source:Barchart