Microsoftは、Webブラウザ「Microsoft Edge」のユーザーインターフェース(UI)を刷新し、パフォーマンスの向上と設定画面の整理を進めている。新たに導入された内部UIアーキテクチャ「WebUI 2.0」により、特に設定ページやダウンロードパネルの読み込み速度が大幅に改善された。
これにより、Edgeは競合ブラウザであるGoogle Chromeに対抗し、ユーザーエクスペリエンスの向上を図っている。WebUI 2.0の導入により、Microsoft Edgeの設定ページは従来よりも高速に読み込まれるようになった。これは、JavaScriptへの依存を最小限に抑え、HTMLやCSSなどの標準的なWeb技術を活用することで実現している。
特に、メモリが8GB未満のデバイスやSSDを搭載していない環境では、UI表示速度が最大76%向上したとの報告がある。また、設定項目の分類も見直され、「プロファイル」「プライバシー」「外観」などのセクションが整理され、ユーザーが目的の設定に迅速にアクセスできるようになった。
これらの改良により、EdgeはChromeからの移行ユーザーにも違和感のない操作性を提供している。さらに、ダウンロードパネルなどのUIコンポーネントもWebUI 2.0の恩恵を受け、読み込み速度が大幅に向上している。
Microsoftは、今後数カ月以内に履歴やお気に入り、ウォレットなどの他のUIコンポーネントにもWebUI 2.0を適用し、Edge全体のUI応答性をさらに高める計画である。このような取り組みは、ビジネスシーンにおいても生産性の向上に寄与すると期待される。高速で直感的なブラウジング体験を提供することで、業務効率の向上やストレスの軽減につながるだろう。
Microsoft Edgeの新設定UI、従来版との違いとその狙い

Microsoft Edgeの設定画面はこれまで複雑で、目的のオプションを見つけにくいという課題があった。これに対応するため、新たなUI設計では「プロファイル」「プライバシー」「外観」などのカテゴリが整理され、より直感的な操作が可能になった。特に、閲覧データの消去やクッキー管理といった主要な設定へのアクセスが簡素化され、ユーザーの利便性が大幅に向上している。
新設定UIでは、カテゴリごとにクイックアクセスボタンが追加され、主要な機能に素早く到達できるようになった。例えば、従来の設定ページでは「詳細設定」内に埋もれていたオプションが、分かりやすく表示されるようになっている。また、Google Chromeに類似したレイアウトが採用され、他のブラウザから移行した際の違和感を軽減する意図が見て取れる。
これにより、Edgeの利便性は向上するが、一方でChromeとのデザインの類似性が指摘される可能性もある。Microsoftは独自性を保ちつつ、Chromeユーザーを取り込む戦略を進めていると考えられる。今後のアップデートで、さらに細かなカスタマイズ機能が追加されるかどうかが注目される。
WebUI 2.0導入の技術的背景とパフォーマンス向上の仕組み
Microsoft Edgeの高速化を支えるのが、新しいレンダリングアーキテクチャ「WebUI 2.0」である。従来のUIシステムではJavaScriptに大きく依存しており、処理負荷が高いことが課題とされていた。WebUI 2.0では、JavaScriptの使用を減らし、HTMLやCSSを用いた軽量なレンダリングを実現することで、ページ読み込み時間の短縮が図られている。
特に、設定画面やダウンロードパネルなど、頻繁に利用されるUIの応答速度が大幅に向上している。新しい仕組みでは、必要なコンポーネントのみを動的に読み込む「オンデマンドレンダリング」が採用されており、これにより無駄な処理を削減し、ブラウザの軽量化が進んでいる。結果として、Edgeの設定画面の動作は最大30%向上し、特にメモリが限られた環境での改善が顕著である。
この変更は、Chromeを意識したユーザー体験の最適化の一環とも考えられる。Google Chromeはすでに軽量化を進めており、Microsoftとしても同様の最適化を進めることで、ブラウザ市場での競争力を強化しようとしている。今後は、Edgeの他の機能にもWebUI 2.0の仕組みが適用され、さらなる高速化が進む可能性がある。
Edgeの新機能、Chromeとの差別化と今後の展開
Microsoft Edgeは、パフォーマンス向上に加えて新機能の追加にも注力している。例えば、組み込みのビデオレコーダー機能の実装が予定されており、これにより画面録画を専用ソフトなしで行えるようになる。これは特にリモートワークやオンライン会議の記録用途で需要が高まる可能性がある。
また、プライバシー保護の面でも改良が進んでいる。Edgeでは追跡防止機能が強化され、広告トラッキングや不要なスクリプトのブロックがより精度高く実行されるようになった。Chromeは広告配信ビジネスを基盤としているため、プライバシー機能の実装には一定の制約があるが、Edgeはこの点で差別化を図る動きが見られる。
今後、MicrosoftがどのようにEdgeを進化させるかは注目に値する。ChromeとUIの類似性を強めつつも、独自機能を付加することで、単なる代替ブラウザではなく、主力の選択肢としての地位を確立しようとしていると考えられる。Microsoftの次の一手に期待が集まる。
Source:Windows Latest