最新の市場調査データによると、AMDは2024年第4四半期において、サーバー市場で過去最高となる売上シェア35.5%を記録した。これは前年比+3.7ポイントの増加であり、企業向けプロセッサ「EPYC」シリーズの継続的な成長が要因とされる。加えて、デスクトップおよびモバイル分野でもシェアを拡大し、競争が激化するx86市場において存在感を強めている。

サーバー市場におけるAMDのユニットシェアは25.1%に達し、前四半期比で+0.9ポイント、前年比で+1.6ポイントの伸びを示した。これに伴い、売上シェアも大幅に拡大しており、データセンター向けCPU「EPYC Genoa」や「Bergamo」が主要クラウドプロバイダーや企業に採用されていることが背景にある。

さらに、次世代アーキテクチャ「Zen 5」を搭載した「Turin」シリーズも市場投入が近づいており、今後のシェア拡大が見込まれる。デスクトップ市場では、ユニットシェアが27.1%と若干の減少を見せたが、売上シェアは27.3%と前年同期比+12.1ポイントの大幅な成長を記録。

特に「Ryzen 7 7800X3D」や「Ryzen 7 9800X3D」が高い人気を誇り、小売市場やDIY市場での販売が好調に推移している。また、Intelの第13世代および第14世代CPUに発生している「劣化問題」が一部で指摘されており、AMD製品への関心が高まる要因となっている。

モバイル市場においても、AMDはユニットシェア23.7%、売上シェア21.6%を獲得し、前年同期比+6.5ポイントの成長を達成した。特にAI機能を搭載した「Ryzen AI 300シリーズ」が市場の注目を集め、AMDの競争力向上に寄与している。ただし、新製品「Strix Ryzen AI 300 APU」の供給は依然として限定的であり、量産が進めばさらなる市場拡大が期待される。

全体として、AMDはx86市場での成長を維持し、サーバー・デスクトップ・モバイルの各分野でシェアを拡大。2025年に向けて、Intelとの競争が一層激化する中、AMDの新製品戦略が市場シェアの行方を左右することになる。

AMDのサーバー市場における戦略とEPYCの競争力

AMDのサーバー市場での成長を支える最大の要因は、「EPYC」プロセッサシリーズの継続的な進化にある。最新の「Genoa」や「Bergamo」は、データセンター向けに最適化され、クラウドプロバイダーやエンタープライズ向けに広く採用されている。特に、コア数の多さと電力効率の向上が評価されており、コストパフォーマンスの面でも優位性を持つ。

Intelの「Xeon」シリーズと比較して、AMDのEPYCはプロセス技術の先進性が強みとなっている。TSMCの5nmプロセスを採用したGenoaは、Intelの7nmプロセスを用いた「Sapphire Rapids」に対して消費電力と演算効率の面で優位に立っている。データセンター業界では電力コストが大きな課題となる中で、AMDのアーキテクチャは企業のTCO(総所有コスト)削減に貢献している。

また、AMDは「Zen 5」アーキテクチャを採用した次世代サーバー向けプロセッサ「Turin」の投入を控えており、2025年以降の市場シェア拡大が見込まれる。これにより、より高性能かつ電力効率に優れたサーバーが提供され、クラウド事業者や企業の採用がさらに加速すると考えられる。

デスクトップ市場でのシェア変動とRyzenシリーズの動向

デスクトップ市場では、AMDのユニットシェアは27.1%と若干の減少を見せたが、売上シェアは27.3%と維持された。これは、主力製品である「Ryzen 7 7800X3D」「Ryzen 7 9800X3D」が高い人気を誇ることが影響している。特に、ゲーマーやクリエイター向け市場では、3D V-Cache技術を搭載したX3Dシリーズが圧倒的な評価を受けており、競争力を保っている。

一方、Intelの第13世代および第14世代Coreプロセッサには、オーバークロック時の電圧劣化問題が指摘されており、一部のユーザーがAMD製品への移行を進めている。また、次世代CPU「Arrow Lake-S」については、パフォーマンス向上が限定的であるとの見方もあり、AMDにとってはシェア奪還の好機となる可能性がある。

さらに、AMDは今後「Zen 5」アーキテクチャを採用した新世代Ryzenの発表を予定しており、これがデスクトップ市場のシェア拡大に寄与すると期待される。特に、低消費電力モデルや高コア数モデルの投入が予想されており、Intelとの競争はより激化することになる。

モバイル市場での成長要因とRyzen AIシリーズの影響

モバイル市場において、AMDの売上シェアは前年比+6.5ポイント増加し、23.7%のユニットシェアを記録した。これは、AI機能を搭載した「Ryzen AI 300シリーズ」が市場の注目を集め、搭載ノートPCの販売が好調であることが背景にある。特に、ノートPC市場ではAI処理能力が新たな競争軸となっており、AMDはこの分野で存在感を示している。

しかし、AMDは供給面で課題を抱えており、新世代APU「Strix Ryzen AI 300」の供給が限定的なため、市場の伸びが抑えられている側面もある。そのため、既存の「Rembrandt」「Phoenix」「Hawk」などのAPUを活用しながら、市場シェアの維持を図っている。

今後、モバイル市場では、Intelの「Meteor Lake」との競争が本格化する。IntelはAIアクセラレーションを強化したチップを発表しており、AMDもRyzen AIシリーズのさらなる強化を図ると考えられる。特に、Windows 11がAI機能を積極的に活用する流れが加速する中で、AMDのAI対応APUがどこまで市場を広げるかが今後の成長の鍵となる。

Source:Wccftech