Nvidiaの最新GPU「GeForce RTX 5090」の供給量が急増する可能性がある。リーク情報によれば、データセンター向けGB200チップの需要が予測を下回り、余剰分のウェハーがコンシューマー向けGB202チップへと転用される見通しだ。この結果、RTX 5090の市場流通量は「異常に多く」なるとされ、在庫不足に悩まされていた状況が一変する可能性が指摘されている。
RTX 50シリーズは発売直後から供給不足が続いており、転売市場では価格が高騰。小売業者も数か月間の在庫不足を警戒していた。しかし、今回の増産計画により、Nvidiaのパートナー企業であるMSI、Zotac、Gigabyteなどに大量のGB202チップが供給される見通しであり、約1か月以内に店頭在庫が改善する可能性があるとリーカーは主張する。
また、競合するAMDが今月末にRDNA 4アーキテクチャを発表予定であることも影響を与えていると考えられる。Nvidiaは市場シェアを維持するために供給量を拡大することで対抗する構えだ。GPU市場の競争環境が大きく変わる中、消費者にとっては価格の安定や選択肢の拡大が期待される局面となる。
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RTX 5090の供給拡大の背景 GB200ウェハーの転用が鍵を握る

Nvidiaの最新GPU「GeForce RTX 5090」の供給増加の要因として、データセンター向けGB200ウェハーの転用が挙げられている。これは、Nvidiaの予測を下回ったGB200チップの需要を補填するための措置とされており、TSMCで製造された余剰な4nmプロセスのウェハーがコンシューマー向けGB202チップに再利用される可能性が指摘されている。
これまで、Nvidiaの主力事業はデータセンター向け製品であり、同社の売上の約90%がAI関連やクラウドコンピューティング向けのチップから生まれている。しかし、Blackwellアーキテクチャを採用したB200シリーズの需要が想定より低調であったことで、Nvidiaは生産ラインの効率化を図り、消費者向けGPUの供給を増やす決断を下したと考えられる。
この動きは、Nvidiaのパートナー企業にも影響を及ぼしている。MSI、Zotac、GigabyteといったAIB(アドインボード)パートナーは、追加のGB202チップを受け取る予定であり、各社の製造ラインが強化されることで、店頭在庫が回復する見通しとなっている。これまでRTX 5090は発売直後に即完売し、転売市場では価格が高騰していたが、供給の増加により価格が安定し、市場の健全化につながる可能性がある。
この一連の動きは、Nvidiaが消費者向け市場を軽視していないことを示すものでもある。データセンター向け事業の重要性が高まる中でも、ゲーミング市場における存在感を維持し、競争力を確保するための戦略の一環と見ることができる。
RTX 5090の増産がもたらす市場への影響とAMDの対応
RTX 5090の供給が大幅に増加することで、市場の動向が変化する可能性がある。特に競合であるAMDの動きが注目される。現在、AMDは次世代GPU「RDNA 4」の発表を今月末に控えており、これがNvidiaの増産決定に影響を与えた可能性が指摘されている。
AMDのRX 9070シリーズはRTX 5070 Tiとの競合が予想されているが、もしAMDが1月の時点でRDNA 4を市場投入していれば、Nvidiaの供給不足を突いてシェアを拡大する機会を得られたかもしれない。しかし、結果としてNvidiaは供給を強化し、価格競争において有利な立場を確保する可能性がある。
また、RTX 5090の供給増加により、RTX 50シリーズ全体の価格にも影響を及ぼす可能性がある。特にミドルレンジ市場では、RTX 5070やRTX 5060などの価格調整が行われることで、より多くの消費者が新世代GPUに移行しやすくなると考えられる。
一方で、AMDが価格競争でどのような戦略を取るのかも焦点となる。これまでのリーク情報では、RDNA 4の価格設定に楽観的な見通しは少なく、Nvidiaの価格戦略次第ではAMDが厳しい状況に置かれる可能性もある。ただし、AMDが積極的な価格戦略を打ち出せば、RTX 5090の市場シェア獲得競争が激化することも考えられる。
GPU市場は、供給量の変化と価格戦略がダイレクトに影響を及ぼす分野であり、今回のRTX 5090増産がどのような結果をもたらすのか、今後の動向が注目される。
今後の購入戦略 RTX 5090を選ぶべきか、それとも待つべきか
RTX 5090の供給が増えることで、消費者にとっての選択肢が広がる。しかし、すぐに購入するべきか、それとも価格が安定するまで待つべきかは慎重に判断する必要がある。
まず、供給が増えることで市場価格が安定する可能性が高い。これまで転売市場ではRTX 50シリーズの価格が高騰し、正規価格での入手が困難な状況が続いていた。しかし、供給過多になれば、メーカー希望小売価格(MSRP)に近い価格での購入が現実的となるため、焦って購入する必要はないかもしれない。
また、新製品の発売直後には、独立系メディアによる詳細なレビューが出揃っていないケースが多い。RTX 5090の性能が実際にどの程度向上しているのか、電力効率や発熱問題などの課題があるのかを慎重に見極めることが重要となる。特に、過去のRTX 50シリーズではコネクター問題や供給不足が指摘されており、今回の増産による影響がどのように反映されるかは未知数である。
一方で、次世代GPUへの移行を検討している場合は、AMDのRDNA 4シリーズの価格設定や性能評価を待つのも一つの手段となる。AMDが競争力のある価格を打ち出せば、Nvidiaも追加の価格調整を行う可能性があり、それによって更に有利な購入タイミングが生まれるかもしれない。
結論として、RTX 5090の供給増加は市場にとって好材料であるが、価格動向や競合製品の発表を慎重に見極めることが、最適な購入戦略につながると言える。
Source:Tom’s Hardware