Appleは、2025年2月19日(水)に新製品の発表を予定しており、同社のCEOであるティム・クック氏が「ファミリーの最新メンバーを紹介する」と述べている。この新製品は、3年ぶりの刷新となるiPhone SE 4である可能性が高い。iPhone SE 4は、デザイン面で大幅な変更が予想されている。
具体的には、ホームボタンを廃止し、Face IDを搭載した6.1インチのOLEDディスプレイを採用すると報じられている。また、USB-Cポートの導入により、EUの規制にも対応する見込みである。内部仕様としては、最新のA18チップと8GBのRAMを搭載し、AppleのAI機能である「Apple Intelligence」に対応すると伝えられている。
さらに、Apple初の自社製5Gモデムを搭載する可能性があるが、mmWave 5Gには対応しないとされている。価格は約500ドルと予想されており、前モデルの429ドルからの小幅な値上げとなる見込みである。この価格設定により、iPhone SE 4はミッドレンジ市場での競争力を維持すると考えられる。
なお、iPhone SE 4の名称については、「iPhone 16E」となる可能性も取り沙汰されているが、従来の「SE」ブランドが継続されるとの見方が強い。正式な発表は2月19日に予定されており、Appleの公式ウェブサイトで詳細が明らかにされると期待されている。
iPhone SE 4に搭載される可能性があるApple独自の5Gモデムの実力
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AppleがiPhone SE 4に初めて自社開発の5Gモデムを搭載する可能性が指摘されている。これまで同社はQualcomm製の5Gモデムを使用してきたが、独自開発によるコスト削減や性能最適化を目指しているとみられる。しかし、mmWave(ミリ波)には対応しない可能性が高く、通信性能においては限定的な進化に留まると予想される。
Appleが自社開発モデムに移行する動きは数年前から続いており、2019年にはIntelのスマートフォン向けモデム事業を買収している。その後もカリフォルニア州サンディエゴに5Gモデムの研究拠点を設立し、エンジニアの採用を積極的に進めてきた。この流れを踏まえると、iPhone SE 4がApple製モデムを搭載する最初のモデルとなる可能性は十分にある。
ただし、Appleの独自モデムが市場で即座に高い評価を得られるかは未知数である。QualcommのSnapdragon Xシリーズは長年にわたり安定した性能を提供しており、特に電波の掴みや通信安定性の面で定評がある。
対して、Appleの新モデムは初期段階のため、通信品質や消費電力などの課題が残るかもしれない。特に、ミリ波非対応という点は、米国市場などで影響を及ぼす可能性がある。Appleの意図としては、自社モデムをiPhone SEシリーズから導入し、次世代のiPhone 16や17で本格展開する準備を進める狙いがあるのではないかと考えられる。
これは、長期的に見ればQualcommへの依存を減らし、製造コストを抑えつつ最適化を進める戦略の一環である。ただし、初期の独自モデムが既存のQualcomm製品に比べてどの程度の実力を発揮できるのか、実際の性能評価が注目される。
iPhone SE 4のストレージ構成がもたらす価格戦略と競争環境への影響
リーク情報によると、iPhone SE 4の基本モデルには64GBのストレージが採用される可能性がある。この点は、一見すると前世代のiPhone SEと変わらないように思えるが、現在のスマートフォン市場においては競争力を損なう要因にもなり得る。特に、Android端末の多くが128GB以上を標準搭載する中で、Appleが依然として64GBを最低ラインに据える戦略には疑問が残る。
ストレージが64GBから始まることの影響は、主に二つの観点から考えられる。第一に、ユーザーの利便性の低下である。近年のアプリや写真・動画のデータサイズは増加傾向にあり、64GBでは長期的な使用に耐えられない可能性が高い。
特に、Appleの「Apple Intelligence」などのAI機能を活用する場合、ストレージの消費は一層激しくなるため、少なくとも128GBを標準とすることが理に適っている。第二に、価格戦略の側面である。Appleは通常、ストレージのアップグレードに対して高額な追加料金を設定する傾向がある。
仮に128GBモデルが549ドル、256GBモデルが649ドルとなった場合、他社のミッドレンジスマートフォンと比較して割高感が生じる。例えば、OnePlus 13Rは256GBストレージを搭載しながら599ドルで販売されており、コストパフォーマンスの面では優位性がある。
このような状況を踏まえると、Appleの価格戦略は慎重に見極める必要がある。特に、SEシリーズは「手頃な価格のiPhone」というブランドイメージを持っているため、コストと性能のバランスを適切に取らなければ、消費者の期待を裏切ることにもなりかねない。Appleがストレージ構成をどのように設定し、価格をどう調整するのかは、今後の市場動向を左右する重要な要素となる。
iPhone SE 4のデザイン刷新が示唆するAppleの方向性
iPhone SE 4のデザインは、従来のiPhone 8ベースから大きく変更され、全面ディスプレイのOLEDパネルとFace IDを採用する見込みである。これにより、iPhone SEシリーズは従来のホームボタン付きデザインから脱却し、現行のiPhoneラインナップに統一されることになる。この変化は、Appleのデバイス戦略の転換点としても重要な意味を持つ。
これまで、iPhone SEシリーズは過去のiPhoneデザインを踏襲しながら最新のチップを搭載することで、コストを抑えつつ性能を維持する戦略を取ってきた。しかし、iPhone SE 4では新たにFace IDを採用し、ディスプレイもOLEDに変更されることから、コスト削減だけではなく最新技術の普及を狙っている可能性が高い。
特に、Appleは今後のiPhoneシリーズにおいて有機ELディスプレイの採用を進めており、SEモデルにもその流れを取り入れる意図があると考えられる。また、ホームボタンを廃止することで、iOSの操作体系をFace IDベースに統一できる点も重要である。
これにより、iPhoneユーザーのUI/UXが一本化され、Appleのエコシステム内での一貫性が強化される。加えて、USB-Cの採用により、EU規制への対応を進めつつ、MacやiPadとの接続互換性も向上する見込みである。デザインの変化は、Appleの製品ラインナップにおけるSEシリーズの位置付けを再定義するものとなる。
これまでのSEモデルは「廉価版」としての役割が強かったが、iPhone SE 4はデザイン面でのアップグレードにより、より広範なユーザー層にアピールする可能性がある。従来のSEユーザーはもちろん、最新のiPhoneを求めるが高価格帯モデルを敬遠していた層にとって、魅力的な選択肢となるかもしれない。
AppleがiPhone SE 4をどのように位置付け、価格戦略やマーケティングを展開するのかは、正式発表後の市場の反応を見極める必要がある。従来の「低価格なiPhone」というイメージを維持しつつ、最新技術を取り入れるバランスをどこまで保てるかが、今後のSEシリーズの成功を左右する鍵となる。
Source:Tom’s Guide