ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイが保有する約3,000億ドルのポートフォリオの中でも、特に割安で成長の可能性を秘めた2銘柄が注目されている。1つは、バフェットが唯一手掛ける小規模銀行株であるアライ・フィナンシャル。同社は自動車ローン事業を中心に再編を進め、金利動向が追い風となる可能性を持つ。

もう1つは、シリウスXM。契約者数の減少に直面するも、広告戦略の強化と新規契約獲得施策を打ち出し、2027年までに大幅な成長を目指している。両社ともにバリュエーションは割安で、配当利回りも魅力的だ。

短期的な株価の変動に左右されず、バフェット流の「長期的価値創造」に沿った投資機会として、これら2銘柄は一考に値するだろう。

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アライ・フィナンシャルが見据える成長戦略 事業再編の狙いとは

アライ・フィナンシャルは、かつてゼネラル・モーターズの金融部門として誕生し、現在では自動車ローンに特化した米国有数のリテールバンクへと成長した。1,400億ドル超の預金を背景に、自動車市場における堅実な融資業務を展開している。同社は近年、クレジットカード事業の売却や住宅ローンの停止を決定し、主力分野に経営資源を集中させる戦略を進めている。

この動きは、銀行業界全体の環境変化を見据えたものだ。米国の金利動向が依然として不安定な中、アライは高い利回りを確保できる自動車ローンに軸足を置くことで、利益率の向上を狙う。特に、同社が提供する自動車ローンの平均利回りは9.09%と高水準であり、融資品質の維持ができれば安定した収益が見込まれる。

市場の注目点は、金利の低下に伴う預金コストの減少だ。金融機関にとって調達コストの低下は利益拡大の好機となるが、アライも例外ではない。現在の株価は予想PER10倍強と割安であり、配当利回り3.2%も投資家にとって魅力的な水準といえる。事業の選択と集中が奏功すれば、バフェットがこの銘柄を長期的に保有し続ける理由がより明確になるだろう。


シリウスXMの成長戦略 広告事業と新規契約獲得に活路

シリウスXMは、米国の衛星ラジオ市場における独占的な地位を持つ企業であり、バークシャー・ハサウェイが35.4%の株式を保有する注目銘柄の一つである。しかし、同社は近年、契約者数の減少に直面しており、2025年の売上が減少するとの見通しも示されている。この課題を打開するため、同社は新たな成長戦略として広告事業の強化と契約獲得施策を推進している。

まず、広告事業においては無料の広告付きプランを導入し、収益モデルの多角化を図る。従来のサブスクリプションモデルに加え、広告収入を拡大することで売上の安定化を目指している。また、自動車メーカーと提携し、新車購入者向けの3年間のディーラー負担型サブスクリプションプログラムを展開。この施策により、新規ユーザーを増やしつつ、長期契約へと移行させる戦略を描く。

シリウスXMの目標は、2027年までに1,000万人の新規契約者を獲得し、2025年比でフリーキャッシュフローを30%増加させることにある。現在の株価は2025年予想フリーキャッシュフローの7.6倍と割安であり、配当利回りも4.1%と高水準にある。財務体質の改善が進めば、短期的な逆風を乗り越え、長期的な成長軌道に回帰する可能性も十分にあるだろう。


長期投資に適した銘柄か バフェット流の視点で考察

ウォーレン・バフェットが重視するのは、短期的な市場の変動ではなく、企業の持続的な価値創造である。今回取り上げたアライ・フィナンシャルとシリウスXMは、いずれも課題を抱えつつも、長期的な成長のための具体的な戦略を打ち出している点が共通している。

アライは、自動車ローン事業に特化することで利益率の向上を目指し、金利低下時の優位性を確保しようとしている。一方、シリウスXMは広告収益を拡大し、新規契約獲得の施策を積極的に進めている。両社とも現在のバリュエーションは割安で、配当利回りの点でも投資妙味があるといえる。

重要なのは、これらの企業がバフェットの投資基準に合致しているかどうかだ。安定したキャッシュフロー、高い市場シェア、競争優位性を持つ企業への投資を好むバフェットにとって、アライとシリウスXMはそれぞれの市場で確固たる地位を築いている点が評価される。短期的な不確実性はあるものの、長期的視点で見れば、堅実な収益基盤と戦略的な経営判断が功を奏する可能性は十分にあるだろう。

Source:24/7 Wall StThe Motley Fool