Microsoftは、一部のASUS製PCに対して適用していたWindows 11 バージョン24H2へのアップデート制限を徐々に解除し始めた。昨年10月、同社は特定モデルのアップグレード時にブルースクリーン(BSOD)が発生する問題を確認し、該当デバイスのアップデートをブロックしていた。しかし、BIOSの修正が行われたことにより、順次アップデートが可能になる。
影響を受けたのは、ASUSの「X415KA」と「X515KA」。Microsoftによると、これらのデバイスに対し、BIOSバージョン「311」以上のアップデートが適用されることで、問題は解決されるという。今回の修正は「Critical Update(重要な更新)」としてWindows Updateを通じて配信されており、ユーザーが手動で対応する必要はない。
Microsoftは、アップデート制限が完全に解除されるまでに一定の時間を要するとしており、Windows Updateで最新の更新を適用するよう推奨している。また、最新の対応状況については、公式サイトのWindowsヘルスダッシュボードで随時確認可能となっている。
Windows 11 24H2アップデートのブロック解除が遅れた背景
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MicrosoftがASUS製PC向けにWindows 11 24H2のアップデートをブロックしていたのは、ブルースクリーン(BSOD)の問題が原因であった。この問題は、特定のハードウェア構成における互換性の欠如によって引き起こされ、OSのアップデートがシステムの安定性を損なうリスクを孕んでいた。
Microsoftはこうした状況を考慮し、特定のデバイスに対してアップデートの適用を一時的に制限する「セーフガード」措置を実施していた。しかし、問題が確認されたのは昨年10月であり、解決策が提供されるまでに相当な期間が経過している。
これは、ハードウェアメーカーとソフトウェア開発企業の間で、修正プログラムの開発やテストに時間を要したためと考えられる。BIOSの更新によって問題が解決されたものの、Microsoftはなお慎重な姿勢を崩さず、段階的にアップデートを解除する方針を採っている。
この対応の遅れは、PCユーザーにとっては不便なものであった一方で、システムの安定性を確保するためには不可避であったといえる。Windowsの大型アップデートに際して、特定のデバイスが一時的に対象外となるケースは過去にも見られたが、今回のように複数カ月にわたって制限が継続されるのは異例である。
Microsoftは今後、アップデートの適用過程をより円滑にするための仕組みを構築することが求められるだろう。
BIOSアップデートが解決策となった理由とその影響
MicrosoftがASUS製PCのアップデート制限を解除する条件として挙げたのが、BIOSの更新である。BIOS(Basic Input/Output System)は、PCのハードウェアを制御する基本ソフトウェアであり、OSが動作するための基盤を提供する。今回のケースでは、Windows 11 24H2の新機能が特定のBIOSバージョンと互換性を持たず、BSODを引き起こす原因となっていた。
この問題に対処するため、ASUSはBIOSのバージョン「311」以上を提供し、Microsoftはそれを適用することでアップデートのブロックを解除する方針を取った。BIOSの更新はWindows Update経由で提供されるため、ユーザーは特別な手順を踏むことなく修正プログラムを適用できる。
しかし、BIOSの更新は慎重に行うべきものであり、不適切なアップデートが行われた場合、PCが正常に起動しなくなるリスクも伴う。また、BIOSの更新は通常、ハードウェアメーカー側が対応する必要があるため、すべてのASUS製PCに即座に適用されるわけではない。
徐々に配信が進められるため、デバイスによってはしばらくの間、Windows 11 24H2へのアップグレードが制限されたままとなる可能性がある。BIOSの更新がアップデートブロックの解除条件となるのは、ハードウェアとソフトウェアの統合管理が重要であることを示しており、今後のOSアップデートにおいても同様の対応が求められることが考えられる。
Windows Updateの仕組みとアップデート適用の課題
Windows Updateは、Microsoftが提供するOSの更新管理システムであり、機能の追加や不具合修正、セキュリティパッチの適用を担う。通常、更新は自動的にダウンロード・インストールされるが、今回のように特定のデバイスがブロックされるケースでは、ユーザーが手動で適用の可否を確認しなければならない場合がある。
今回のASUS製PCの問題では、BIOSの更新がWindows Updateを通じて提供されたため、多くのユーザーにとっては負担の少ない解決策となった。しかし、Windows Updateの仕組みには課題もある。例えば、企業で利用されているデバイスの場合、IT管理者が一括で更新を制御するケースが多く、適用のタイミングが遅れる可能性がある。
また、更新プログラムが配信されても、インストールが自動的に行われない場合、ユーザーが意図的に適用しなければ問題が解決しない状況も発生する。さらに、Windows Updateは全世界に向けて段階的に展開されるため、すべてのデバイスに同時に適用されるわけではない。
ASUS製PCのアップデート制限が完全に解除されるまでには一定の時間がかかるとされており、影響を受けるユーザーは「設定」>「Windows Update」から手動で更新を確認する必要がある。Microsoftは、Windows Updateの適用プロセスをより迅速かつ安定したものにするため、今後のアップデート配信方式を改善する必要があるだろう。
Source:Neowin