Super Micro Computer(SMCI)の株価は年初来で57%の急上昇を記録し、2025年のS&P500指数においてPalantir Technologies(PLTR)に次ぐ2番目の高騰銘柄となっている。AIサーバー市場での需要拡大がその成長を支えており、同社の長期的な売上高目標は400億ドルと極めて野心的だ。
しかし、株価の高騰とは裏腹に、Super Microは重大な会計上の課題に直面している。2024年6月期の年次報告書と9月期の四半期決算報告の未提出により、ナスダックの上場廃止期限である2月25日が迫る中、市場は警戒を強めている。
ウォール街のアナリストたちは評価を分けており、「買い」「保留」「売り」が混在する状態だ。AI市場の急成長と企業ガバナンスの問題が交錯する中、Super Microの今後の動向は市場の注目を集めている。
Super Microの急成長を支えるAIサーバー市場の拡大
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Super Micro Computer(SMCI)の株価急騰の背景には、AIサーバー市場の拡大がある。AIの活用が急速に進む中、企業は高度な演算能力を持つデータセンターの構築を急いでおり、特に生成AI向けのインフラ需要が急増している。Super Microは、この需要を取り込み、企業向けの高性能サーバーを提供することで競争優位を確立している。
2025年のS&P500において、同社は年初来57%の株価上昇を記録し、Palantir Technologies(PLTR)に次ぐ2番目の好成績銘柄となっている。特に1月下旬からの5営業日で32%の急騰を見せたのは、AI市場の成長期待が一層高まっていることを示している。企業のデジタル化が加速する中、Super MicroはAIサーバー市場の重要なプレイヤーとして存在感を増している。
この成長をさらに裏付けるのが、NorthlandのアナリストNehal Chokshiによる評価の引き上げである。彼はSuper Microの目標株価を54ドルから57ドルに上方修正し、同社のAI市場における競争力を評価した。さらに、Super Microの2026年度の売上高目標は400億ドルとされており、市場は同社の成長戦略に注目している。しかし、こうした成長戦略の実現には、追加の資本調達が必要になる可能性があり、市場の期待と財務戦略のバランスが今後の焦点となる。
上場廃止リスクと企業ガバナンスの課題
しかし、Super Microの成長とは裏腹に、会計上の問題が同社のリスク要因となっている。2024年6月期の年次報告書および2024年9月期の四半期決算報告を未提出のままとなっており、ナスダックの上場廃止期限が2月25日に迫っている。これに対応できなければ、同社の株式は上場廃止となる可能性がある。
Super Microは、これらの財務報告を準備中であり、「全力で取り組んでいる」としているが、投資家の間では不安が広がっている。財務報告の遅延は企業の信頼性に影響を与え、市場の評価に悪影響を及ぼす可能性がある。特に、急成長企業にとってガバナンスの透明性は重要であり、企業価値の維持には適切な会計処理が不可欠である。
ウォール街のアナリストの評価も分かれており、10人のアナリストのうち「買い」が3人、「オーバーウェイト(市場平均より強気)」が1人、「保留」が4人、「売り」が2人と、慎重な見方が増えている。現在の平均目標株価は41ドルで、これは現在の株価水準から16%の下落を示唆している。財務の不透明性が解消されるまでは、市場の警戒感が続くと見られる。
AI市場の成長と財務健全性のバランス
Super Microのケースは、AI市場の急成長と企業の財務健全性のバランスの重要性を示している。AI関連企業は高い成長を期待される一方で、会計処理や企業ガバナンスの透明性が欠如すると、市場の信頼を失うリスクがある。
AI市場は今後も拡大を続けると見られ、特に生成AI分野は数兆ドル規模の市場になると予測されている。Super Microは、AIサーバー市場において高い競争力を持つが、その成長を持続するためには財務基盤の安定が求められる。2026年度の売上目標400億ドルの達成には、投資家の信頼を得ることが不可欠であり、財務報告の透明性を確保することが今後の成長を左右するだろう。
2月25日までに財務報告が提出され、上場廃止のリスクが払拭されれば、市場は再びSuper Microの成長ストーリーに期待を寄せるだろう。しかし、対応が遅れたり、新たな会計上の問題が浮上した場合、急騰した株価の反動が訪れる可能性もある。AI市場の盛り上がりの中でも、企業ガバナンスの重要性が改めて問われる局面となっている。
Source: Wall Street Pit