Google Pixelシリーズの特徴的な機能である「Now Playing」が、最近ほとんど正しく機能しなくなったという報告が相次いでいる。この機能は、周囲の音楽を自動で検出し楽曲情報を表示するものだが、ユーザーからは「以前ほど認識しない」「手動検索も機能しない」といった声が寄せられている。

Googleはバグ修正を行ったとするものの、具体的な改善が見られない状態が続く。Pixelユーザーにとって不可欠なこの機能に何が起きているのか、その原因と現状を探る。

「Now Playing」の認識精度が低下した背景とは Googleのアルゴリズムに何が起きたのか

「Now Playing」は、Google Pixelシリーズにおける独自の音楽認識機能として、長年にわたり進化を続けてきた。この機能はオフラインで動作し、音楽データベースとの照合を行うことで、周囲の楽曲を即座に識別する仕組みを持つ。しかし、近年のアップデート後に認識精度が著しく低下したという報告が相次いでいる。なぜ、このような問題が発生しているのか。

Googleは「Now Playing」の内部アルゴリズムを常に改善し、音楽データベースの拡充を進めてきた。しかし、音楽ストリーミングサービスの多様化や、AIを活用した楽曲生成の増加により、従来のデータベース型認識手法では対応が難しくなっている可能性がある。特に、著作権管理が強化される中で、Googleが一部の楽曲データの提供を受けられなくなった可能性も指摘されている。

加えて、Androidのシステムアップデートにより「Now Playing」が参照するデータやプロセスに変更が加えられた可能性もある。Android 15ベータ版では、「Now Playing」に関連するプロセスがクラッシュする問題が確認されていた。Googleはこの問題を修正すると発表したが、根本的なアルゴリズムの変化が楽曲認識の精度に影響を及ぼした可能性も否定できない。

また、Googleが強化しているプライバシー保護の影響も考えられる。ユーザーの音声や環境音をどの程度まで収集・解析するかは、各国の規制によって変化する。音楽認識の精度が低下した背景には、こうした法的要因やデータ処理の方針変更が影響している可能性もある。

現在のところ、Googleは「バグ修正と改善」を行ったと発表しているが、楽曲認識の精度低下が修正されるかどうかは依然不透明なままである。

手動検索も機能不全に Googleの対応が遅れる理由

「Now Playing」は自動認識だけでなく、手動検索機能も備えている。しかし、最近では手動検索すら正しく機能しないという声が上がっている。たとえば、Android Authorityのテストでは10曲を手動検索したうち、正しく認識されたのは1曲のみだった。さらに、ユーザーが特定の楽曲を入力しても、結果が表示されないケースが多発している。

この問題の背景には、「Now Playing」のデータベース更新頻度が関係している可能性がある。これまでGoogleは定期的に音楽データを更新し、最新の楽曲を認識できるようにしていた。しかし、最近の音楽市場は変化が激しく、生成AIを活用した新曲が急増している。これにより、従来のデータベース更新だけでは対応しきれなくなっている可能性がある。

また、Googleのリソース配分も問題視されている。Googleは近年、PixelシリーズのAI機能強化やクラウドサービスの最適化に注力しており、「Now Playing」の改善が後回しにされている可能性がある。2024年4月には、9to5GoogleのAbner Li氏が「Now Playing」の全面的な刷新を求める声を上げたが、それ以降、Googleが具体的な対応を発表した形跡はない。

さらに、Googleは1月下旬に「Now Playing」のアップデートを実施したものの、その内容は主にアルバムアートの追加に関するものだった。バグ修正と称されていたが、手動検索機能の改善には至っていない。ユーザーからの報告によれば、手動検索が正常に動作しない問題は依然として続いている。Googleがこの機能の修正にどの程度の優先度を置いているのか、今後の動向が注目される。

Googleの今後の対応とPixelユーザーが取るべき対策

現在のところ、Googleは「Now Playing」に関する明確な修正スケジュールを発表していない。しかし、問題の報告が相次ぐ中、ユーザーとしてはいくつかの対策を講じることが可能だ。一部のPixelユーザーは、「Android System Intelligence」のキャッシュをクリアすることで楽曲認識の精度が改善されたと報告している。

これは、システム内部のキャッシュが古くなり、正しく動作しなくなったことが原因である可能性を示唆している。また、「Now Playing」の機能を一度オフにし、再び有効にすることで改善するケースもある。これらの方法は根本的な解決にはならないものの、短期的には一定の効果が期待できる。

一方で、Googleが次のAndroidアップデートで「Now Playing」に関する修正を行うかどうかも重要なポイントとなる。Android 16のベータ版では、バッテリー管理機能の強化が予定されており、システム全体の最適化が進められる可能性がある。このアップデートにより、「Now Playing」の認識精度が向上するかどうかが注目される。

また、Googleの公式フォーラムでは、ユーザーからのフィードバックが重要視されている。過去には、Pixelのカメラ機能やバッテリー関連の不具合に対するユーザーの声が反映され、修正アップデートが提供された例がある。「Now Playing」の問題についても、多くのユーザーが報告を続けることで、Googleが優先的に対応する可能性がある。

今後、Googleがどのような対応策を打ち出すかは不透明だが、Pixelユーザーとしては最新のアップデート情報を注視し、必要に応じて代替手段を講じることが求められる。「Now Playing」はPixelシリーズの魅力的な機能の一つであり、その完全な復旧が期待されている。

Source:9to5Google