次世代GPU「RTX 5080」の3DMarkベンチマークスコアがリークされ、RTX 5070 Tiとの差がわずか17%である可能性が示唆された。今回のベンチマーク結果は、Videocardzが非公開メディアのデータを基に報じたものであり、複数の3DMarkテストにおける比較が含まれている。
RTX 5070 Ti、RTX 5080、RTX 4070 Ti Superのスコアを分析すると、RTX 5080はRTX 5070 Tiより11~25%高速であることが確認された。特に「Steel Nomad(4K)」では25%の差がある一方、「Fire Strike(1080p)」ではわずか11%の差にとどまる。価格面では、RTX 5070 TiはRTX 5080より33%安価でありながら、パフォーマンスの80%以上を実現している。
この結果が実ゲーム環境でも同様に反映されるならば、RTX 5070 Tiはミッドレンジ市場で最も競争力のあるGPUとなる可能性がある。
RTX 5080の性能向上は限定的か 最新ベンチマークが示す市場の変化

今回の3DMarkベンチマーク結果により、RTX 5080の性能向上が想定よりも小規模である可能性が浮上した。特に、RTX 5070 Tiとの比較では、最大でも25%、平均17%程度の性能差にとどまることが確認された。前世代のRTX 4080とRTX 4070 Tiの関係では、おおよそ30%前後の差があったことを考えると、RTX 5080の進化幅は相対的に控えめである。
この要因として、NvidiaのGPUアーキテクチャにおける進化が以前ほど劇的でないことが挙げられる。RTX 50シリーズでは新たにGDDR7メモリが採用されているものの、CUDAコア数やクロック周波数の向上幅は限定的であり、それがベンチマーク結果にも反映されている可能性がある。
さらに、最新の製造プロセスによる電力効率の向上はあるものの、ゲーミング用途では既存の最適化技術により、体感できる変化が抑えられていると考えられる。市場の視点では、Nvidiaが従来の「ハイエンドとミッドレンジの明確な性能差を維持する戦略」から「ミッドレンジにも一定の競争力を持たせる戦略」へとシフトしている可能性もある。
RTX 5070 Tiの価格がRTX 5080の約67%でありながら、パフォーマンスの80%以上を提供するという結果は、より広範な層に魅力的な選択肢を提供する意図があると推測される。
RTX 50シリーズにおける価格設定と競争力 コストパフォーマンスの新たな焦点
RTX 50シリーズにおいて、価格設定とパフォーマンスのバランスが改めて重要視されている。RTX 5070 Tiは749ドル(約11万円)と設定されており、これはRTX 5080の999ドル(約15万円)と比較すると約25%安価である。この価格差に対し、性能向上が平均17%にとどまることを考慮すると、コストパフォーマンスの観点ではRTX 5070 Tiが優位であると言える。
従来のNvidiaの戦略では、フラッグシップモデルとミッドレンジモデルの間には明確な性能差が設けられていた。しかし、今回のベンチマーク結果が示すように、RTX 5070 TiとRTX 5080の性能差は比較的狭まり、ハイエンドモデルの価格に見合った価値を提供できるかどうかが問われている。
特に、DLSSやレイトレーシングといった新技術の恩恵を受けるタイトルが増える中で、実ゲーム環境における実際のフレームレート向上がどの程度あるかが、今後の購入判断に大きく影響すると考えられる。加えて、AMDの次世代GPU「Radeon RX 8000シリーズ」の動向も、Nvidiaの価格戦略に影響を与える可能性がある。
現在のリーク情報では、AMDはミッドレンジGPUにおいて競争力のある価格と性能を提供するとされており、Nvidiaが市場での優位性を保つために価格を調整する可能性がある。
RTX 5070 Tiが狙う市場セグメント ミッドレンジGPUの新たな基準へ
RTX 5070 Tiの登場により、Nvidiaのミッドレンジ市場における戦略が再定義されつつある。これまでの世代では、「Ti」モデルは通常の70番台と80番台の中間に位置する存在だったが、今回の3DMarkスコアが示す結果を見る限り、RTX 5070 TiはRTX 5080に迫るパフォーマンスを持つモデルとして設計されている可能性がある。
特に、4K解像度でのテスト結果においては、RTX 5070 TiとRTX 5080の差がさらに縮まる傾向が見られる。例えば「Fire Strike Ultra(4K)」ではRTX 5080が18%上回るにとどまり、「Time Spy Extreme(4K)」でも19%程度の差に収まっている。これは、RTX 5070 Tiがメモリ帯域や電力効率の最適化によって、RTX 5080に匹敵するパフォーマンスを発揮している可能性を示唆している。
また、消費電力が300Wに抑えられている点も、RTX 5070 Tiの魅力の一つである。従来のミッドレンジGPUと比較して、消費電力と発熱のバランスが取れており、多くのユーザーにとって扱いやすい選択肢となることが期待される。
加えて、RTX 5070 TiはAIBパートナー(ASUS、MSI、Gigabyteなど)のカスタムモデルのみ販売されるため、各社の冷却設計やOCモデルによる差異が生まれる点も注目される。総じて、RTX 5070 Tiは「価格と性能のバランスが取れたミッドレンジGPU」として、高い競争力を持つことが期待される。
今後、実際のゲームベンチマークやユーザーレビューによって、その評価がさらに確立されることになるだろう。
Source:Tom’s Hardware